何故、日本は賃上げできないのか。米国は恵まれない国民に手を差し伸べるトランプ旋風に対抗して米経済界は「脱株主第一、従業員、地域に貢献する経営」を掲げた。一方、日本も同調する姿勢を示し「賃上げできる企業は率先して3%賃上げを」と提言した。
しかし、なかなか賃上げは進まない。急激な物価上生もあるが、それに答える賃上げが出来ていないのだ。安倍政権、岸田政権も経済界に賃上げを要せ押している。
過去に人件費に大きく影響するシーンが3回あった。その時の社会情勢はなんだったのか考えてみると良い。
池田総理時代の所得倍増できた時代、30%の賃上げが出来た時代そして人件費はコストの経営が蔓延った時代背景だ。
池田政権時代がどうだったか分からない。それでも所得倍増論を打ち、国民の信頼を勝ち取った。池田さんは「貧乏人は麦飯を食え」と言った時代もあり大きな方針転換だが経営者は従ったのだ。GDP規模の小さい日本の経済成長には家計の所得(可処分所得)を上げる必要があったのだろう。
成長の前に分配ありだ。宏池会出身の岸田首相も「分配」に重点を置いたが、何故か途中で成長の果実を分配すると言い出した。これじゃ期待できない。
現役時代に30%賃上げが成功した。何時も渋ちんの経営者が何故。今までほしいと思っていたが買い控えていた商品を皆買うようになった。これも経済成長への一歩だったのか。メーカーも新製品を出し購買意欲をそそった。
しかし、今度はグローバリゼーションで米国流経営が蔓延った。米国でM&Aを取った若き経営者が羽振りを利かした。
日本企業も海外の企業と競争を強いられ、当然にコスト競争になる。固定費に占める人件費は非常に高い。コストカットに手をつけるには人件費しかない。海外へ展開、下請け化、非正規従業員の採用、人員削減だ。パソナのような派遣業が幅を利かした。
企業は儲けに結びつかない安全、品質関連部門を手抜きした。それが今、日本を代表する大企業が不良品処置に困っている。社長自ら記者会見で謝罪する羽目になっている。
労働組合も弱体化した。企業は非正規従業員、派遣業を利用しているので労働組合の勢力は落ちてきた。以前は組合の役員は出世コースに乗ったものだった。
連合も立ち位置があいまいになっている。労働組合の弱体化で今は700万人、公明党と同じ陣容だ。社民党なども衰退している。
何時も春闘になると、「先行き不透明で賃上げは無理」とか「ないものはない」と言っていた経営者だが、量的緩和策で市場に流れたカネは企業の内部留保に積み増しだ。ないのではなくあるのだ。
何処かの企業が賃上げを打てば、競合企業も賃上げをせざるを得な苦なる。賃上げをしなければ優秀な社員は集まらない。特に製造業の賃上げは重要だ。
賃上げで経済成長は経営者の考え方一つだ。従業員、社員、労働者を犠牲にして収益を上げる経営者は立ち去れ!。
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