黒田・日銀総裁の「値上げ許容論」が意外にも批判多発で撤回する羽目になった。おそらく参院選も控え、政界にも異論が出たためだろう。政府も「黒田総裁の発言」では収拾がつかなくなったのだろう。
しかし、問題は日銀内での政策検討に「値上げ許容論」が展開されていたことは、余りにも庶民生活とかけ離れた議論で驚く。値上げに対する「許容度」ではなく「忍耐度」ではないのか。日銀の職員は高給取り、退職金も多く、世間とかけ離れている。値上がりなんて問題ないのだろう。
私も毎日近くのスーパー2軒を買い物で利用している。しかし不思議に値上げの状況が伝わらない。「値上げしました」の表示が見当たらない。「ステルス値上げ」もあるのでわからないのだろうか。
しかし、買い物客は値段を見ながら買うかどうかを迷っているようにも見える。買い控えもしているのだろう。きちんと買い物をメモして無駄使いをしないようにしている消費者もいる。
黒田総裁の発言の根拠という東大渡邊教授のインタビュー記事が目に止まった(朝日新聞 2022.6.9)。
渡邊教授は「自分の本意から離れていない」と黒田発言を擁護していた。しかし、「消費者は値上げに渋々耐えている」というのだ。値上げに耐えていることはわかるが、それを許容しているというとどうなるか。
渡邊教授の狙いは「今まで値上げに用心深かった日本人が、欧米人並みになって来た」ということを主張したかったのだという。
消費者ばかりの問題ではない。業者も「値上げすれば客が減る」ことを心配するあまり値上げに踏み切れないという事情もある。原材料、人件費、物流費が上がれば即値上げできる欧米とは違うのだ。
原材料などが値上がりして物価が上がることと、物が売れるようになって物価が上がるとでは違うだろうが、あらゆることに対応できるようにしなければ世界の動きについていけない。日本経済特殊論では遅れをとるばかりだ。
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