2010年6月29日火曜日

その真相?:日本の国家財政の危機という問題




まともな議論もないままに消費税が参院選の争点になってきた。二大政党が消費税10%を主張、その他の党はそれより先にやることがあると批判を強める。しかし、日本の財政がどういう状態にあるのか分からないままに、財政再建を強調する動きが出てきた。

批判の多くは、「財務省官僚による企て」と批判することも理解できる。あれだけ官僚を批判してきた菅さんが、財務省官僚に屈したと言うのだ。

今まで我が国の財政状況がオープンになったことはない。その時その時の課題が、メデイアで報じられるが、そのニュース・ソースも財務省だと言われている。

一方で、相反する見解も出ているし、おかしいと思う点もある。

「財政危機だ」と主張しているが、決してそうではないと言う。日本の国債の95%は日本人が買っている。借金は外国人買いの約5%だという。G20首脳宣言で財政赤字を「2013年までに半減し、16年までに政府債務の対GDP比率を安定化させる」と言うが、日本は例外扱いになった。その原因の一つに国債の95%を日本人が買っていることにある。

又、日本の借金は900兆円と言うが、特別会計などには約500兆円の国の資産もある。
対GDP180%の先進国一の債務国であるが、資産を差し引くと約400兆円で、特に多額とは言えないと言うのだ。

確か日本は米国債を200兆円ほど持っていると思う。橋本元総理が、米国の大学で講演し「日本は債権者として、米国債を売る衝動に駆られたことがある。米国はもっとしっかりして欲しい」という意味の発言をして、何か忘れたが経済指標が下落し、外交で言うべきことではないと批判されたことがある。

ギリシャの財政危機も他人事ではないのは確かだ。ギリシャは日本と経済力が違うのでギリシャのような危機ではないと言う。しかし、ギリシャの財政危機の原因の一つは、公務員の多さ、高給にある。とすると日本だって他人事ではない。

メデイアの報道を見ると、税体系として消費税、法人税など個々の税の比較では日本は低い、高いを比較している。しかし税体系全体ではどうなのか。法人税を下げる穴埋めに消費税増税では、共産党の言うようにおかしい話だ。
さらには、納税の公平感があるのか。昔10:5:3:1と言われたことがあるが、今は余り聞かない。サラリーマンは100%捕獲されているが、自営業や農業は正確に把握されていないという不公平感である。

企業だって税金を納めているのは全体の1/3で、2/3は税金を納めていないとも言われる。宗教法人だっておかしい。宗教にかこつけて脱税行為をしている。その宗教団体が選挙で候補者を公認しているのだから、ついお灸など出来るはずがない。

民主党は、一般会計と特別会計を一本化して、国会で監視できるようにしたい考えがあるようだ。特別会計が財務省の思うが儘の懐であってはまずい。

早く、国の財政、会計を公開すべきだ。何故、財政学者が考えを述べないのか。週刊誌では、問われてコメントしているが、日本財政学会のプログラムを見ても、国の財政を論じた報文は見あたらない。

象牙の塔では、実際に財務省がやっている悪事や絡繰りを見破ることが出来ないのか。

今の経済状況で、増税が是か非か。選挙抜きでも真剣に考えなければならないことだ。生産者、消費者の心理は良くない。雇用もはかばかしくない、低所得化も進んでいる。リストラで収入は減る一方だ。こんな時、消費者は増税されると、更にモノを買い控えるようになる。作っても売れないから生産者はモノづくりを控える。生産者だって消費者だ。モノを買い控える。税収は減る。

一方で、減税すると消費は増えるだろう。今まで買い控えていたこともあって、消費者心理は上向くかも知れない。菅さんは、増税分をうまく使えば効果はあると主張するが、増税が生産者や消費者の心理を好転させる補償はない。

やはり、時間をかけて十分に議論し、低所得者層にも配慮した国民が納得する税制度でないと混乱するばかりだ。

「選挙前に増税に言及するなんてもってのほかだ」とか、「4年間増税しないと約束したのだから、守るのが当然だ」と民主党を問わず非難囂々であるが、日本の国家財政を根本的に考える機会は必要だ。これは税の無駄使い排除と表裏をなす課題である。

あらゆる形の税金が、どう使われているかを知ることは納税者の権利であり義務である。財政学者も堂々と発言すべきだ。そうでなければ学問の価値がない。
写真左:財務省 国家財政の全体像を公開することなく、財政危機で増税を訴える。あらゆる形の税金の使い道を国民に知らしめるべきである
写真右:菅官邸 唐突な消費税10%は、国民の支持を受けられない。当然支持率は下落しかない

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