2010年6月1日火曜日

老舗百貨店の生き残り策:店子にファストファッション店か高級ブランド店か











都心の百貨店でもそごう、三越池袋などの閉店もあり、売り上げ不振に喘ぐ老舗百貨店であるが、その原因の一つに従来の顧客層も高齢化が進み、その好みに合わせ過ぎたことが、新しい若者の顧客の取り込みに後れを取ったことにもある。

日本百貨店協会のデータによると、平成22年4月の東京地区14社の売り上げは1219億円、前年同月比―4.9%、26ヶ月連続でのマイナスだという。全国の売り上げも4846億円でー3.7%だと言う。コンビニにも逆転された。

百貨店の売り上げも91年の9.7兆円を記録したのを最後に、2005年には7.84兆円、2009年には6.58兆円に減った。5年後には5兆円になるだろうと予想されている。基本的に商売のあり方を考え直さなければならない時期に来ている。「下取りセール」も他の売り場への波及効果はない。

一部、衣料品、時計や装飾品など高級品に買い控えの底を突いた感もあるらしいが、長引く不振に、高価格帯から若者向けのカジュアル衣料への転換が出てきた。しかし低価格路線への加速が収益向上に繋がるかどうかは不明だ。

高級ブランド店の進出が相次いだ銀座も変わった。高級ブランド店は閑古鳥が鳴く店内であるが、ユニクロなどの高機能・低価格商品路線のファッション店は活況を呈している。

百貨店も売り上げ不振打開のために、試行錯誤をしている。マツザカヤ銀座は米のファストファッションストアチェーンのフォーエバー21を店子にしたが、一方で近くのマツヤ銀座は高級ブランド店を店子にしている。

松坂屋銀座に入ってみた。「フォーエバー21」が1~5階に入って、婦人服、洋品雑貨、アクセサリー、紳士服などを扱っている。当然若者で賑わっている。しかし、フォーエバーに通じる従来の婦人服売り場などは、依然お客は少ない。陳列のやり方、扱っている商品の価格帯も異なるが、期待していた集客力も限度があるようだ。

はっきり言って、新エリアと旧エリアでは境界がはっきりしている。フォーエバー21から従来の売り場に客は動いていない。フォーエバー21エリア内で買い物を済ますと、デパートから出て行くようだ。

係の人に「賑わっていますね。従来の売り場もお客が増えていますか」と聞くと、「ありがとうございます。 おかげさまで新宿に3号店がオープンします」という。他の売り場の集客にどう影響しているかは分からないらしい。

一方、高級ブランド店を入れた近くのマツヤは、賑わいは感じられない。高級ブランド店は、なかなか入りにくい。銀座の高級ブランド店は、軒並み閑古鳥が鳴いている様相だ。ドアマンも配置し高級感を出しているが、入りにくい。チョットのぞいて見てみようと言う気がおきず、遠ざかる。

客単価の違いもあるが、老舗百貨店の高価格帯から若者向けのカジュアル衣料への転換は収益向上に貢献できるだろうか。今、銀座から目が離せない。

0 件のコメント: