2010年12月26日日曜日

政権交代を狂わすマニフェストと小沢さんの存在


「マニフェストに拘っていると政権が持たなくなる」と言う内容の記事を以前書いたが、2011年度も赤字国債発行額が税収を超える総額92兆4000億円の予算案が閣議決定したが、不健全財政も2年目に入った。

統一地方選を控えて衆院選の時のマニフェストを実施に移そうとすると、財源不足で四苦八苦し、埋蔵金頼みの予算編成もここが限度だという。

子ども手当、農家の戸別所得保障、高速道段階的無料化、埋蔵金発掘、普天間移設問題での「県外、国外移転」など自民党政権の政策とは差別化を図ったマニフェストを公表した。年金問題など国民を裏切る自民党政権時の不正もあって自民党政権は大きく信用を失ったが、一方で民主党のマニフェストは、メデイアでも大きく議論されるところとなった。

高速道無料化問題は、発案者と自民党議員や猪俣さんがその可能性、考え方の違いを主張し合ったが、利用者負担が当然と思っていても無料化できるのであれば無料の方が良いに決まっている。その絡繰りの是非が分からず、社会テストという中途半端な政策に為ってきた。。

何故か民主党が執念を燃やす子ども手当は子供をもつ親でも反対する程の政策であり、戸別所得補償と共に自民党支持基盤崩しの色合いが強かったし、そうなった。

官僚主導で国民には知らされない巨額の財源が特別会計に眠っているというセンセーショナルな話は注目を集めた。約200兆円になる特別会計だから、10%節約しても20兆円は浮く勘定になると私も考えた。しかし、財務省のHPの特別会計を見るとそれぞれ用途の決まっているモノなど、安易に崩して使えそうなモノは見あたらない。事業仕分けでもあぶり出された。

又、我が国の安全保障に係わる在日米軍再編成での普天間移設問題は、自民党政権下でまとまっていた日米合意を、対等外交の名の下で「県外、国外移設」に大きく方向転換し、挙げ句の果ては日米合意に戻った。鳩山政権の失策であったが、尖閣諸島における中国の無謀な領有権主張をはじめ、外交上の失点に繋がった。

経済政策としては、「強い経済、強い財政、強い社会保障」の実現を目指し、今までの経済ではない「第3の道」を提案した。増税で得た資金を雇用を生む成長分野に投入するというものだ。増税で得た資金を正しく使えば成長する都主張したが、今の経済状態で増税は禁物だとする主張と真っ向から対立するモノだ。橋本内閣で増税し、景気が失調した苦い経験がある。

自民党が財政健全化法案を出しているように、我が国の借金は900兆円に及ぼうとしているが、政府が持つ資産を考慮すると約600兆円で心配することはないと主張する学者もいる。しかし、先進国でワースト1であることに違いはない。

社会保障を目的とした消費税増税で対応しなければ財政再建は覚束ないと自民党は10%を提案した。一方民主党は4年間消費税は上げないコトを公約にしたが、ここに来て菅総理は増税に言及し、自民党案の10%を参考にすると唐突な提案で、参院選に大敗した。

野党である自民党がどんな税率を提案しようが、国民はあまり反応しないが、政権与党の発言には国民は大きく反応した。自民党も言っているのだから影響は同じだろうと考えた菅さんは間違っていた。

提案した公約を頑なに守ろうと赤字国債を発行し財政健全化に逆行する民主党政権に、マニフェストの見直し、優先順位を付けた堅実な予算執行を求める意見もあるが、統一地方選を控えた政権にとっては財政健全化を犠牲にしてでも票を取りに行きたいのだろう。

ここは、国民がしっかり考えなければならないところだ。

先の衆院選での政権交代は、出来もしない民主党のマニフェストへの大きな期待、「自民党政権ってそんなに悪かったのか」という自民党に対する嫌悪感、「政権交代しようではありませんか」のムードにながされ、それに選挙制度の特異性から民主党に大きな勝利を与えてしまった。

有権者は、民主党マニフェストを理解していたわけではない。中央ではメデイアがマニフェスト論争を繰り広げるが、地方ではニコニコ笑顔と握手戦術で名前を売ることしかやっていない。「自民党政権は・・・」、「子ども手当は・・・」、「政権交代してみようではありませんか」を言っていれば、通行人から「がんばって」と握手を求めてくる異様な情景が見られた。

民主党新人候補は、小沢軍団という選挙のプロ(?)が付き、手取足取り指示してくれる。記者に「ノーハウ?」と聞かれ、「企業秘密」を答えていた。小沢さんは選挙の神様ではなく、低俗下させている元凶なのだ。

そして今、小沢さんを抱える民主党は党内抗争中で分裂の危機にある。一度提案したマニフェストを頑なに守ろうとして財政赤字を膨らましている。折しも世論調査では自民党が支持を逆転した。

成熟した熟議は、成熟した選挙民に選ばれた成熟した国会議員からでないと期待できない。

周辺に惑わされず、候補者が何を主張しているのか。しっかり確認することだ。
写真:左中央奥に自民党本部、右中央奥に民主党本部

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