2012年5月9日水曜日

小沢陸山会事件で指定弁護人控訴:政治資金規正法の趣旨からも当然の判断


小沢元代表陸山会事件の第一審判決で指定弁護人の控訴期限である9日、どう判断されるのか注目していたが、午後1時5分ごろテレビのスーパーで「控訴」のニュースを知りホッとした。第一審判決は、犯罪事実は黒に近いが法廷戦術で被告人が勝った感じがしたからだ。

今回の小沢元代表の政治資金規正法違反事件の虚偽記載は形式犯で修正報告で済む問題だと軽視する発言を小沢元代表は繰り返していた。

政治資金規正法は、政治家が公明正大な政治活動をやっているかどうかを国民が容易に判断できる資料として政治資金収支報告書の提出を義務付けている。民主政治にあっては政治家の憲法とも考えられる最重要法でありながら、ザル法の代表例になっている。

政治家が、自らに責任が及ぶのを避ける趣旨の法になっているからだ。小沢元代表は法廷闘争としてなのだろうか、「知らない」、「秘書に任せていた」、「今の今まで一度も見たことはない」、「ほとんどの国会議員がそうなのではないか」と供述していた。

刑法の犯罪構成要件では「意思があったか」、「認識していたか」などが重要な要件になるが、小沢元代表はことごとく否定したようだが、裁判所は「供述は信用できない」と判断した。

会計処理について、虚偽記入を認定しているが、小沢元代表が違法な処理だとは認識していなかった可能性があるとして「共謀」を否定した。「知らぬ」と言い通した小沢元代表側の作戦勝ちだったのか。

判決要旨を読むと指定弁護人の主張が採用されながら、結果は「無罪」という不可解な一審判決に対して、大方の国民は「説明できていない」と言う。

「無罪」判決にもかかわらず、国会では野党から証人喚問を要求されるなど、小沢元代表の説明責任が問われ続けている。

政治資金規正法の趣旨からしても控訴は当然の判断だ。

検察審査会による強制起訴での無罪判決で検察審査会制度自体の問題も提起されているが、今回の小沢元代表越山会事件は、検察官は不起訴にしたが裁判で疑惑をはっきりさせるべきだという国民の判断なのだ。

「国民がしっかり監督しなければ、政治家、官僚は盗人になる」とは、足尾鉱毒事件で被害者の側に立って救済に走り回った田中正造さんが100年以上前に警告した言葉だ。

今もその重要性は生きている。

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