2013年6月2日日曜日

経済成長と財政再建の両立:妙手があるのか、悪手なのか

経済再建と財政再建の両立に妙手があるのか、それとも悪手なのか。増税の重要性を説きながら一見相反する政策を促すIMF,一方、内閣府主催の学術会議に出席したコロンビア大学のジョセフ・スティグリッツ教授も増税と経済刺激策で両立を目指せという。

IMFには我が国財務省から多くのスタッフが送り込まれているので、当然財務省の意向に沿った提言になるし、内閣府主催の学術会議に出席するために来日したノーベル経済学賞受賞学者だから日本政府の意向を反映しているわけだ。

消費税増税を前提にした財政再建策だが、まず8%へ向け今秋までに安倍政権は増税へのGO判断を下す必要があるが、判断材料になる経済指標が気になるところだ。

讀賣新聞(2013.6.1)によると、消費支出は1.5%増、有効求人倍率は0.03ポイント上昇、完全失業率は4.1%で変わらず、鉱工業生産指数は1.7%増で実体経済は上向いてきているというが、消費者物価指数は下落が続いている。

指標の数値と生活実感は、チョット乖離が見られないか。

株価の乱高下は海外ファンドに影響されているとは言え、調整局面(?)からどっちの方向(株高か、株安か)に動くのか。今後の消費に影響する事は確かだ。

財務省は増税したいところだろうが、安倍総理の経済ブレーンである浜田内閣府参与は「増税して景気が良くなったと言う例はない」(週刊文春2013.6.6)と消費税増税の先送りを臭わす。

折角リフレ政策によって景気が上向いてきたところに消費税増税では腰砕けになると言うのだ。

誰でも考えるところであるが、IMFや海外の経済学者は増税必須論なのだ。

ジョセフ・スティグリッツ教授は、経済成長できれば税収も増え、財政は改善すると説く。
そのためには成長戦略に注目するという。

でも、成長戦略には財政出動が必要だ。税収の増えない今、赤字国債でまかなうしかない。クルーグマン教授も「今は財政出動だ」と力説するが、経済が成長路線に乗らない限り、赤字の積み増しになるだけだ。

企業だって、長期のデフレ下でも収益が上がる構造を作り、労働者を犠牲にして株主配当、内部留保につとめているが、更に法人税を25%以下に下げろと要求する。

企業は、財政再建、健全化に協力する意思はないのか。国内経済、特に内需拡大のために賃上げ、雇用の確保にどう対応しようとしているのか。

第3の矢の成長戦略に注目が集まるが、企業の投資意欲を注ぐ内容のものがあるのか。

消費税増税は、やれば景気に水を差すことになりかねないし、先送りすれば市場の失望をかうことになる。どちらにしても危険をはらんでいる選択になる。

経済成長と財政再建の両立など不可能と思うが、どちらを優先するかの選択では経済成長路線になるのではないか。それには企業の意識改革が必要だ。生産設備の国内回帰、賃上げ、雇用確保で内需拡大を図るべきでないか。


前川レポート、21世紀版前川レポートによる「内需拡大策」も、企業収益をどう配分するかで頓挫した面もあると言われていることを重視すべきではないか。

0 件のコメント: