2021年12月21日火曜日

災害復旧の考え方:「原形復旧」か「低リスク移転合意」か

 

新聞報道によると災害復旧で現在は「原形復旧」が基本と言うがインフラ整備などで大きな投資が必要だが、普及しても住民が戻ってこないという問題がある。そこで「被災後に元の場所に戻らず、リスクの低い場所に移る」という合意をしていれば移転に支援金を出す制度が検討されているそうだ。 

人口減で作り直したインフラを使う住民がいなくなるケースを予想しているという。 

確かにそれはある。3.11東北地方太平洋沖地震、津波被害で巨額の投資をしている。6mにも及ぶ防潮堤、住宅、商店街など街づくりを高台に移転したが、住民が戻ってこない事例が多いらしい。 

移転してきた住民は復旧作業に協力したボランテイアなどが他県から移転してきたというニュースもあるが、多くの住民は土地を離れ近くの年に移り住んだり、遠く離れた土地で新しい生活を始めた例も多い。復旧に時間がかかれば当然そうなるだろう。 

私も自然災害で被害に会った経験がないが、子供の頃、小さな川が氾濫したが回りは田んぼで問題なかった。ところがその場所が宅地になり多くの人が移り住んでいる。 

今済んでいる東京でも近くに川があり、過去に浸水したこともあるという。ハザードマップを見ると、浸水域に入っている。この10年間水位は警戒レベルにあがったことはあるが、寧ろ街中を流れる雨水での浸水事例が多い。 

巨大地震、津波、豪雨などで被害が予想される場所は代大体予想される。 

地震もさることながら津波被害は大きい。東北地方太平洋沖地震、津波は1100年ぶりの貞観地震の再来だった。先人たちが「これより下に家を建てるな」と言う碑を設置していたし、今回は生徒が20基ほど「津波到来碑」を建て後世に残すと言う。必ず役立てたいが、同じ規模の津波は「1000年先か」と言うことになると今回の悲劇は「すっかり忘れた頃」になる。 

地震による被害の想定は難しい。都市開発で埋め立て地、軟弱地盤、活断層の上に宅地が立っている。河川を埋め立てた都市開発では軟弱地盤で地震の被害が及ぶ。関西で高槻、大阪近辺で発生した地震で京都の伏見が揺れている。淀川を埋め立てての都市開発だからだ。 

急傾斜地の山崩れ事故も多い。平地での宅地開発が終わり、宅地がドンドン山間部の危険な場所に入ってくる。そういう場所に学校や公共施設、介護施設が建つ。今まで何事もなかったから安全と言うわけにはいかない。よく調べると以前にも災害の痕跡が残っているのだ。 

最近は異常気象による局地豪雨、前線停滞での長期の降雨などで水量が危険水を超え堤防決壊などで氾濫、河川の合流地点ではバックウォーターでの浸水が増えてきた。なかなか素人では予想し難い災害である。堤防が水流で抉り取られて決壊する。河川の底に泥がたまって水位が上がり氾濫する。災害はいろんな要因があり判断が難しい。

対策は堤防の補強や浚渫だが、そういう箇所は全国でたくさんあるらしい。問題は費用だろう。 

人口の減少、過疎化地域では積極的なインフラ整備、強化は難しい。住民は当然に弱者になる。 

災害復旧で一番大事なのは「住民のコミュニケーションをどう維持できる復旧になるか」だろう。 

住民が皆バラバラになる。多くの場合一人暮らしの高齢者が残る。災害前よりさらに過疎化が進む。行政サービスも非効率になる。公共交通機関網のサービスも質が落ちる。 

災害復旧ばかりでなく地域復興案を予め検討する価値はあるのではないか。その中から住民のコミュニケーションを重視した災害復旧案が出てくるのではないか。

役所に任せず、住民自身が考えるチャンスではないか。

 

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