2021年12月16日木曜日

メルケル・独前首相を思う:大事なのは政治家(首相)の価値観か

 

朝日新聞2021.12.14の経済気象台の「成長に欠かせないもの」でのメルケル独前首相は政治や経済より「精神的価値観」、人として書いてはならない価値観を大切にし、もっとも弱い立場にある人々や次の世代に寄り添ったと評価している。 

これは日本にとっても大きな教訓で歴代首相は成長をメインとした政策を掲げているが肝心の心を打つ理念に乏しいと批判する。 

メルケルさんで思い出すのはG7かG20だったか忘れたが、多国間交渉を拒否し先進国間の協同歩調を否定するトランプ前大統領の席に近づきトランプさんの翻意を迫るシーンが世界に発信された。先進国、欧州のリーダー的存在だ。 

そして世界各国がコロナ対策で右往左往しているとき、ドイツはロックダウンを実施したが、その時「自由は尊い。東ドイツで不自由な生活を強いられていた経験から自由を束縛することは忍びないが、コロナ対策で実施せざるを得ない」とドイツ国民を説得した新聞出でていた。 

「さすがだ」と感心した。以前、メルケルさんは東ドイツで物理学の教授をしていたという。理論整然とした説得は国民の理解を得たのだろう。 

しかし難民受け入れでは国内で大きな批判となり国民の支持を失い2年後に政界引退を表明し16年の政治を終わりきっぱりと身を引いた。 

安倍さんが総理を辞めても最大派閥の長として居座り、憲法改正、安保外交で発言しているのとは大違いとメルケルさんを評価している。 

翻って、我が国の首相はどうか。国家一大事の時に出てきた首相は、それなりの「理念(?)」を持っていたか。 

終戦直後、憲法草案を検討した幣原首相は「世界に中の日本」を考え、戦後日本が世界に存在を示すには「戦争放棄」しかないとマッカーサーに提言した。むしろマッカーサーは驚いたという。それが憲法第9条となり、その後、日本が世界に信用を取り戻し、経済発展へと導いた。 

こんな首相がいるかと思っていたら、安倍前首相がいる。安倍さんは日本が世界に存在感を示すには世界紛争にも米国などと協同歩調取るために集団的自衛権行使、自衛隊の海外派遣などの道を開いた。今、米vs中露で世界紛争は厳しさを増す。それに日本なりの姿勢を示したのだ。多くの「負の遺産」を積み上げたが、功績もあるのではないか。 

田中角栄さんは「雪国の国民のために」と日本列島改造論を打ち出し、成長の一端を担った。当時の通産省の役人が作成した政策だが田中さんの意向を汲んでいた。 

中曽根さんは「日米同盟強化」か。時の米大統領レーガンさんに働きかけた。訪日時は自分の別荘に招待したほどだ。その後の自民党政権は「日米関係の強化」に腐心した。 

いろんな首相が出てきた。所信表明演説の最後の「理念」らしい言葉を吐いているが、あまり記憶にない。インパクト不足か。

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