2021年12月22日水曜日

小さな記事の大きな課題(57):「盛り土」に関わる法の整備で「やり得」を許すな

もう40~50年前だろうか。青森岩手県境の大規模不法投棄が見つかった。関東圏から大量の廃棄物が持ち込まれた。そして瀬戸内海に面した直島でも関西圏から大量の廃棄物が持ち込まれ 処理に巨額の税金が投入され、今は現状を取り戻しているようだ。

建設残土、廃棄物の不法投棄は後を絶えない。あちこちの盛り土が残っちりらしい。新聞報道では都道府県が総点検し約3万6000か所のうちで約2万8000か所で点検結果、届け出がなかったり不備が見つかったという。

今までの不法埋め立ての経過を見ると、一見埋め立てに適しているように見える谷津や山間部の土地の所有者は、金もうけになるのならとOKする。埋め立て業者は最初は建設残土などの一時置き場と言ってみたりするが、次第に廃棄物の混ざったものを埋めるようになり、最後は廃棄物埋め立て地になる。

気が付いた住民が警察や役所にクレームをつける。しかし、直接盛り土を埋め立てに関する法律がないために廃棄物処理法の最終処分場の構造基準などを準用するので説得力に欠ける。業者は「ハイハイ」と言うことを聞くように見えるが、そこは連戦練磨の人物だ。約束など守らない。

いろんな違反を繰り返し、最後はどうしようもなく、姿を消す。行政が原状回復を指導するが儲けたカネなどあるはずがない。他の事業で損しているのだ。業者に資力がなく、環境汚染が続けば行政が税金で原状回復する。

結局は業者の「やり得」で終わる。

今回の熱海の土石流事故は死者も含め大きな損害を出した。当然に住民は裁判を起こす。一方業者は責任回避に出るか。

今回の事件からやっと行政が動き出した。

「盛り土」に直接関わる法の整備をするというのだ。他の法令を準用する必要がないために関係者もわかりやすい。責任回避など出来なくなる。

どんな内容になるのか定かでないが、「盛り土」の定義、埋め立て地の定義から始まるだろう。許可制度、構造基準、排出者、埋め立て処分者の責任の明確化だ。マニフェストでどこの誰が排出し、誰が運搬したか、きちんと最終処分されたことを確認したか。行政指導での原状回復義務も大事だろう。

建設残土と言っても有価物でゼネコンなどと建設工事をし排出される残土は「工事間利用」と言って他の建設現場などとの土のやり取りが検討されている。私も現役時代に土木工事をやったがゼネコンはそこのところはしっかりしている。

一番危険なのは小企業、個人業者が法に反する行為をすることだ。

決して「やり得」にならないように先手を打った対応が必要なのだ。


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