2016年8月17日水曜日

経済財政諮問会議に見る2030年への改革像

2030年の経済構造を展望した改革像を描くには、一時始めたが今は止めている民間交流との復活、規制官庁から育成官庁への転換、第3次安倍内閣の目玉政策である「働き方改革」など労働市場をドライビングフォースとして改革を進めるというのだ。

日本の経済政策は今後どうなっていくのか。脱デフレ、2%物価目標、内需拡大、社会保障と税の一体改革と課題は多いが、経済の好循環は今のところ期待出来そうにない。そんな時、経済政策をリードする経済財政諮問会議の動きを議事録(平成28年度第14回)で見てみた。

新内閣に期待する今後の取り組みについて、民間議員から5つの重点課題への集中的な取り組みが要望されている。

1点目は600兆円経済に実現、2点目は「働き方改革」、3点目は財政健全化、2020年までにPBの黒字化、4点目が世界経済の安定、持続的は発展への貢献、そして5点目に2030年の経済構造を展望した改革の全体像のとりまとめだ。

今までは2020年を目標年度に掲げてきたが、それ以降の姿が見えにくいとの指摘もあるので2030年まで視野を広げて展望を描き、そこからバックキャストして改革を進めるというのだ(以上 議事録より)。

民間議員から、今労働市場は中小企業、派遣、パートで労働力不足、賃金上昇の傾向が続いているが、これが経済全体に広がり生産性向上も含めて「働き方改革」を進めていってほしいと言う。

この「働き方改革」は、担当大臣は加藤1億総活躍社会担当相だが、厚生労働大臣も関わり、寧ろこちらが主務ではないかと思うのだが、担当大臣が2人では主導権争い、成果をどちらが取るかでうまく行くのかと心配になる。

その塩崎厚労相が「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会で最終報告をまとめたという。今後はAI技術で飛躍的の技術革新がおき、時間、空間制約が激減、既成観念から解放された多様な働き方のチャンスが拡大するという。同一労働同一賃金、三六協定改革、高齢者雇用促進、賃上げを支える高い生産性実現のために政策を総動員するとも言う。

しかし、政策を総動員すると言っても今までにも出て来た政策ではないのか。何故今まで出来なかったのか、その検証が必要ではないのか。

塩崎大臣は同時に重要なことを指摘している。

医療系ベンチャー企業を積極的に育成する為に規制から育成へシフトすると言うし、社会福祉法人の飛躍のためには人知れず存在しているR&D投資の規制も見直さなければならないと言うのだ。

だから厚労省は規制官庁から育成官庁を目指すというのだ。正論だと思うが、今まで改革が出来なかったのは既得権益者の抵抗があったのではないか。厚労省にはこういった構図が多すぎる。本当に突破出来るのか。

それを受けて麻生財務相が「「育成する」と言うが、そういう人材は役所にはいない」と、金融庁発足時の経験を話した。

民間との交流の必要性を経産大臣が言ったが、民間のことが分かっていないから経産省は経済政策の立案が出来ないのだという発言はもっともだ。一時、民間交流が実施されていたが、いつの間にか中断した。それをさせなくしてしまったのは役人の方で原因は「規制」にあると麻生財務相は言い、大事なのは、もっと柔らかい頭で民間と接しなければいけないのではないかと指摘する。

新聞報道などで麻生さんは財務省の立場で、安倍政権内でも政策に違いが出ているようだが、麻生さんの主張には一理ある。

民間議員が面白いことを言っていた。

アベノミクスの3本の矢は、3つの矢を放ったとメデイアは報じるがこれは間違いで、3つの矢を束ねたと言うことで金融政策、財政政策、規制改革を束ねてやらないといけないと言う。しかし、束ねても11本がしっかりせず、綻びが出てくれば束ねても威力は落ちるのではないか。

最後になったが、この会議の始めに日銀・黒田総裁が提出資料に基づいて金融政策、物価について説明している。それによると、日銀の最近の金融政策を説明したが、次回の決定会合で量的・質的金融緩和導入後の政策効果について、総括的な検証を行うと言う。

更に2%物価目標については2017年度中に2%程度達成出来るとみているが、海外経済の不透明感で見通しの不確実性があるとも言うが、民間エコノミストは達成に首をかしげる。

最近の新聞報道で黒田総裁がGDP成長率に違和感のある事を発言していた。日銀は新しい手法で試算しているようだが、GDP算出基準を変えてでも成長率を上げようとしているのか。兎に角、金融政策成果の検証結果を待ちたい。

最後に安倍総理が総括している。


最優先課題は経済で目指すは、GDP600兆円、希望出生率1.8%、介護離職ゼロ、この目的に向かって挑戦、最大のチャレンジは「働き方改革」だという。長時間労働の慣行を断ち切り多様な働き方を実現する実行計画を年度内に策定せよという。併せて、2020年の先を見据えて未来のあるべき経済構造を展望し、今必要な改革に取り組むことが重要であると言う(以上 議事録より)。

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