2016年8月2日火曜日

政策か政局か:安倍総理の党内人事、内閣改造を見る

安倍総理は政策よりも政局に興味を持っているように見えるが、今回の党内人事、内閣改造に関する情報がメデイアで伝わってくるのを見て、安倍総理の重点は政局か、政策かを見る事が出来ないだろうか。

自民党三役の人事は、二階幹事長、細田総務会長、茂木政調会長で決まった。新鮮さのないベテラン重視の布陣、谷垣さんの時も官高党低で政府、官邸の無理難題な政策も党内をまとめてきた経緯がある。代わりに総裁任期の延長論を打った二階さんを持ってきたのだろう。一度自民党を出た二階さんがこれほどの実力者になったとは驚く。何らかの太いパイプを持っているのだろう。

内閣改造も70人の待望組がいるにもかかわらず重要閣僚は留任らしい。注目は自民党内にも多様性がある事を示したいと農水相、防衛相を固辞して閣外に去った石破さんの存在だ。

安倍さんに押しつけられた政策に反対し、その受け皿を作る考えもあってのことらしい。ポスト安倍を睨んでの決断だったのだろう。先の改造では幹事長から新設の地方創生担当相に取り込まれたが、今回は反旗を翻した。「安倍恐れずに足らず」と判断したのだろうか。

留任となった麻生さん、菅さんは抗争の火種を抱えている。麻生さんは消費税10%への増税を先送りするなら衆院解散して信を問えと訴えたが、菅さんは反対した。また麻生さんは財務相だから財政再建派だが、他は安倍さんとおなじ財政出動派だ。経済財政諮問会議でも反対論を打っている。

安倍政権が掲げる政策は、ほとんどが実現に乏しい。期待感を煽って支持率を維持しているだけだ。メデイアの実施する世論調査での内閣の支持率が高いのも「他の内閣に比べてマシだから」が要因なのだ。

経済政策であるアベノミクスの再加速を掲げるが経済の好循環は期待出来ず、経済成長のための財政出動も28兆円を計上するが実質的にはもっと低い。名目3%、実質2%の成長でも2020年でのPBは黒字どころか5.5兆円の赤字らしい。

日銀に任せた2%物価安定目標達成も4回も延期され、達成は覚束ない。追加緩和に行き詰まった日銀は「緩和の効果」を次回会合で検証するという。いよいよ政府と袂を分かつのか。それとも日銀法改正を匂わせて政府が足を突っ込んでくるか。

安倍さんのライフワークだった憲法改正も2/3の議席を確保できても自民党一党では埒があかず、協賛する政党も改正内容では思惑が違っている。国会の憲法審査会に委ねると言うがハードルは高い。

今、16000人が住み再開発が実施されている北方4島返還もプーチン大統領は「返還しない」と言っているのに、安倍政権はロシア外交に重点を置き、経済制裁しているアメリカなどから危惧されておいる。

北朝鮮との拉致問題も北朝鮮は「拉致問題はない」と言っている。核開発反対と相まって期待をつなぐのはいいが、本当のところがどうなのか。

対中国、韓国の問題は習主席、朴大統領の任期中は改善しない。彼らにだって国内問題と絡んで対日政策は重要なのだ。しかしこんな事が後7年も続くのかと思うと唖然とする。民主党政権時、小沢さんが「習さんは次に主席になる大事な人だから」と天皇との会談を強要した事件があった。その結果がこんな事なのか。

対米外交もターニングポイントかもしれない。安倍総理が就任早々にオバマ大統領と会談した時の「ぎこちなさ」は、その後改善され伊勢志摩サミット、広島訪問では良好な関係を遺憾なく発揮した。そのオバマさんも任期は11月まで。

今、大統領選はクリントンさんvsトランプさんだ。トランプさんにでもなれば対米政策も大きく変わるだろう。「アメリカ第一」を主張すればTPPは反対だ。日本はTPPを急ぐと言うが日本だけ先行していいのか。先の国会での審議を聞いていても民主党が「TPPの審議経過」を質問しても「交渉過程には秘密を守る必要もある」と頑なに答弁を拒否し、「提案事項に関して質問してくれ」というのだ。

安倍政権の掲げる政策が今後進むとは限らない。

一方で、日本のセールスマンとして対外経済援助を引っ提げての外交に執念を燃やす。カネをもらえるのだから訪問国は皆歓迎だ。

やっぱり安倍総理は政局にしか興味はないか。

参院での発議条件である2/3の議席も確保できた。衆院選挙に打って出て憲法改正に弾みを付けたいのではないか。橋下さんとも会合をセットしている。

又、自民党一党政権の存続を狙って野党潰しを目論んでいる。野党再編、協調が進まないうちに衆院選でたたきのめしたいのではないか。そうすれば自らの任期の延長も現実味を帯びてくる。自民党内でNO2潰しを目論むのも民主政治を否定した強権政治そのものではないか。


政局にしか興味のない安倍政権を否定し、立憲、民主政治を取り戻さなければならない。

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