安倍政権は「働き方改革」を最大のチャレンジと言うが、根本的には経営者の問題、グローバリズムを止め日本式経営を取り戻すときではないか。経済界は政権に改革、規制緩和を訴えるが政治の問題ではなく、企業経営、経営戦略としてどう取り組むかではないのか。
そのためには国内でどの企業が先陣をきるかだ。皆、様子見をしているから一向に改善の兆しがない。長く経済同友会で代表幹事をやった品田さんが「政府にばかり頼ってはいけない。自分達でやらなければ」と言う意味のことを言っておられたが、正論だ。
讀賣新聞(2016.8.13)のスキャナーで「働き方改革 首相本気 経済界も協力」の記事が目についた。
安倍第3次政権は「未来チャレンジ内閣」と言うが、出て来た政策は古くから言われている内容ではないのか。経団連会長や連合会長を含めた「働き方改革実現会議」を設置すると言うが同じようなメンバーで何が出来るのか。
リーマンショック後、中小、家内工業の経営者は四苦八苦しながらも大企業と違って納税義務を果たし危機を乗り切っている例が多い。そういう日本的経営をやっている経営者を重要視したらどうか。
「同一労働同一賃金」は民主党政権でも言われていたことだが、何の進展も無いのか。多くは人件費のコストアップで経営者が嫌がっているのではないか。
何故、日本が新興国の人件費と競合させなければならないのか。賃上げは企業の儲けの再分配、伊藤忠の創業者の伊藤忠兵衛は「利益三分権」といって使用人にも儲けの分配を実施した。
非正規労働者の賃金も日本は正規労働者の0.6と言われているが欧米では0.7~0.9で大きな開きがあるし、時間給だって日本はやっと平均877円になったが、アメリカでは1500円という。時間給を上げると経営が苦しくなるというが海外と比べてどうして大きな差があるのか。
長時間労働も解決していない。リーマンショック後、リストラが進む一方で企業の仕事量は増えている。「仕事は増えるが人は減らす」では、長時間労働になる。超過勤務で体調を崩して元も子もない。
人口の減少は、消費も停滞するし、労働力の供給のも支障を来す。成長力の大きな障害になる。
成長率は[労働人口増加率]×[生産性向上]だ。労働人口増加はマイナス、生産性向上はAI、自動化技術などに負うことになるのだろうがアベノミクスの好循環に向け政府も力を入れている。
でも何が生産性の向上につながるのか。それは政府の政策ではなく、経営者の問題ではないのか。
グローバリズムに囚われず、古き良き日本式経営を取り戻し、利益の再分配、雇用の確保、出生率の向上は「将来の良質の労働力」を確保するもので有り
その利益は経営者に帰するのだ。
今の日本社会、経済、労働を改善するのは偏に経営者の責であり、判断なのだ。
どの企業が飛び出すか。注目だ。
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