讀賣新聞(2016.8.22)の「地球を読む「国内財政リスク正視を」」での吉川洋先生の「注視すべきは日本経済のリスクではないか」という説に賛成である。政府はアベノミクスの成果が出ていないのを世界経済の不透明さに求め、日銀も2%物価安定目標未達を世界経済の不透明さに求める。
日本経済を主導(?)する経済財政諮問会議の議事要旨を読んでいてもその事はありありと分かる。政府、日銀はいろんな政策を総動員しているが思うように行かないというのだ。
今の英国のEU離脱の影響とリーマンショックの影響の比較をして、リーマンショックは欧米の不良債権が一気に表面化し金融危機、世界同時不況をもたらしたが英国のEU離脱のショックは日本と世界経済に与える影響は小さいというのだ。
確かにリーマンショック時、金融庁長官だった与謝野さんが「大したことはない。ハチの一刺し」とコメントしていた。民間経済学者は「後々実体経済に効いてくる」と異論を唱えていたが、与謝野さんの読みは間違っていた。これが我が国の専門家なのだ。
政府、日銀は英国のEU離脱が日本経済、世界経済に影響するとみて政府は28兆円に上る財政出動をしているが、ドイツ、フランスをみても補正予算で財政出動などしていないし、米国はFRBが利上げのタイミングを狙っている。というのだ。
先の伊勢志摩サミットでは安倍総理が世界経済へのリスクを訴え財政出動を提案していたが、参加国の首脳の一部には世界経済のリスクの考え方に異論を唱えていたほどだ。
2%物価安定目標未達、アベノミクスの成果が見えないためにエンジンをフル稼働し財政出動で再加速すると威勢のいいことを言う。
でもこれにも疑問が出ている。結局は赤字の積み重ねに鳴る危険が大きいのだ。
寧ろ日本は日本経済のリスクに目を向けろという。
財政赤字をどうするのか。1050兆円を超えGDPの200%と世界一悪い状況だ。あのギリシャより悪い。
消費が伸びないのは社会保障など将来に対する不安があるからだ。それを払拭する政策が必要なのだ。日銀の目指す2%物価安定目標も2%の上昇が暮らしの豊かさに直結するのかと疑問を呈している。マイナス金利だって成果よりも金融機関の経営を悪化させているという。市場にジャブジャブ流すカネは404兆円にも達した。
カネを流しても物価は上がらない。逆に物価が上がると暮らしが良くなると言う保障でもあるのか。国債価格は大丈夫なのか。信用を失うと一気に下落し金融騒動になる。出口戦略だって何も言われていない。
「働き方改革」で長時間労働を抑制するとも言う。同一労働同一賃金、中小企業は人手不足、賃上げの傾向が出ていると経済財政諮問会議で言っていた。これを踏み台に一気に改革を進めようというのだろうが、そんなにうまく行くのか。
経済政策の成果が出ないのを世界経済の不透明さにせず、政府、日銀は日本の財政、金融のリスクを正視しろと言う。
久しぶりに真っ当な意見に出くわした感じだ。
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