三反園・鹿児島県知事が稼働中の川内原発に運転停止要請を九州電力にした。政府は再稼働を推進、規制委員会は新規規制基準による安全審査でも「問題なし」としているが関係者の間では、それぞれ思惑のちがいがあり、各地で同じような運動が展開されている。
その根本には電力会社の情報公開への不信感が強いのだ。
テレビニュースで東電が福島第一原発事故でメルトダウンをひた隠しにしていた件で、追求していた新潟県に謝罪したと言う。事件当時、東電が官邸の要請でメルトダウンには言及しないことにしたそうだ。NHK等のニュースでは解説員がメルトダウンの恐れを解説していたがその解説員も画面から消えた。
ところが三反園知事も難しい立場にある。
運転停止を要請した川内原発1,2号機は10,12月には定期検査で停止する予定だという。黙っていても2ヶ月後には止まるのだ。
一方、三反園知事にしてみれば、先の県知事選で原発反対運動グループが担いだ候補者を下ろして政策合意をしたために運転を停止させなければならないのだ。ギリギリのタイミングでの停止要請なのだ。定期検査での停止とは意味が違うのだ。
九電だって大変な立場だ。市長や県知事に停止させる権限はないが、反原発を訴えて当選した県知事の要請を無碍に拒否することは原発立地県の理解を得られないことになる。
ここは、定期検査による停止を前倒しすべきではないか。
民主党政権時の菅総理が福島第一原発事故に鑑み、東海地震の震源域のど真ん中にある浜岡原発の停止を中電に要請した。中電は相当悩んだが総理の要請に応えて停止した。「総理の要請は重い」のだ。
県知事の指摘事項は、周辺の活断層調査、熊本地震による影響の再点検、設備点検、避難計画への支援体制そして情報発信など原発立地県ではどこでも抱いている県民の不安だ。
これに対して、規制委員会は新基準での審査結果でも「安全に問題なし」と言うが、避難計画などは審査の対象外なので十分な審査をしているとは思えない。
立地地元住民も複雑だ。雇用、街の活性化、地方予算などを考えると再稼働に賛成なのだが、原発から離れている住民などは原発事故→避難→長期の離散など大きな社会問題がある。
一方、今回の熊本地震はどんな影響があったのか。九電によると本震時の地震動は8.6ガル、布田川、日奈久断層帯がM8.1でも100ガル、基準地震動は540ガルを想定、原発は160ガルで自動停止しており今回は大きく下回っていたという。
でも安心は出来ない。1997年の鹿児島県北西部地震はM6.5、川内は震度6弱だった。当然に九電は考慮していると思うが、情報公開は住民の一番の願いだ。
原発は電力会社の経営改善には大いに貢献するが、万一の時は周辺地域を荒廃させる。九電は県民の声に答えるべきだ。
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