岸田総理が掲げた「新しい資本主義」とは何なんだ。確かに国会での岸田総理と野党との論争を見ていてもはっきりしないが、グローバリゼーションで駆逐された「日本式経営」の復活ではないか。
ここ20年ほど成長率、賃金も横ばいで先進国では最低の位置づけのお湯に思えるが、それ以前は「Japan as NO1」に見られるように圧倒的に日本優位だった。ところが、アメリカ式経営を学んだ経営者が評価され株価が経営の評価につながる株式資本主義が蔓延り「日本式経営」は見放された。
その間、外需頼みの日本経済に海外から批判が高まり、内需拡大策が検討され、中曽根内閣のときの前川レポート、福田内閣のときの21世紀版前川レポートが作成されたが成果が見られなかった。
その要因に「企業の儲けを再分配する」システムの構築が出来ていなかったと述懐していた官僚が多かった。
岸田総理の言う「成長と分配」だが、「成長の果実を分配」では、現状のままでは経済成長は覚束ない。何時までたっても成長はないので、分配もない。
国会審議で野党から質問されるたびに岸田総理は気候変動、デジタル化、経済安全保障と言うが、そんなものは今までも提案されていた政策の内容を焼き直ししたものではないのか。
直ぐに目新たらしい成果が出てくる政策ではない。
ここは、税制改革だ。今まで自民党政権は大企業、富裕者優遇税制を実施し、自民党支持を確保してきた。しかし、分配と言うことになると税制の見直しによる富の分配が必要ではないか。国会審議でそれが見当たらない。
今、岸田総理は経営者団体に3%の賃上げを要求している。経済界も業績の伸びている企業が多いことを考えて、出来る企業から賃上げを訴えている。連合も4%を訴える。
分厚い中間層の育成だが、本音は中間層が野党支持に回るのを避けたいだけだ。しかし企業の99%は中小企業だ。「賃上げしたくても財源がない」と経営者は嘆く。優遇税制の恩恵を受けない中小企業への税制の見直しだ。
さらに価格転嫁をしやすくすることだろう。納入する大企業は部品などへの価格転嫁を嫌がる。下請け泣かせの経営からの脱皮が必要だ。農産物にもいえる。農業などの生産者への配慮が必要だ。
「新しい資本主義」は難しくない。「よみがえれ 日本式経営」だ。人件費はコストではない。日本社会の基盤、設備投資だ。
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