2010年5月26日水曜日

事業仕分け:自主的な事業の見直しが何故起きないのか


事業仕分けに賛否両論あるが、我々に知らされず、監査も受けないまま見過ごされてきた官僚による省利省益の構図が目の当たりになってきたことは、一つの業績である。

思うに、「国民のため」の使命はかけらも見受けられない。

いつも問題になるのは、一等地に事務所を構える等事務所経費のこと、天下り役員の高額の報酬、事業内容など目的基準の曖昧さ、単価の高さ等である。

しかし、税収が支出を大きく下回る税収不足のこの期に及んでも、自主的に経費削減などの見直しがされていない。交付金、助成金を受ける本省からの指示がないことや場合によっては法律の改正が必要なモノもあるだろう。或いは自分たちに不利な仕事は不作為を決め込んでいるのかも知れない。そして先輩達のやったことを忠実に受け継ぎ、見直し、改善は官僚にとっては御法度である。官僚トップからの指示がなければ、自主的には動けないのだろう。

行政刷新会議のHPでは、事業仕分けの内生化、定常化に向け自主的に各省が行なう、行政事業レビューがあり、自主的な見直しが求められている。厚生労働省の長妻さんのように、事業仕分けに先立ち自主的に見直しをしたという例もあるが、公開の事業仕分けでは、説明員らから何ら目新しい説明はない。

廃止と宣告された事業の説明担当者が「もっと説明に時間が欲しかった」と言うが、簡単に説明できないところに、その事業の必要性が疑われるのだ。

公開の事業仕分けの結果「廃止」と決まった事業が政治主導で復活した例も、先の事業仕分けでは出てきた。「何のための事業仕分けか」と言うことになる。枝野行政刷新相の話では「一度廃止と決まった事業を、復活させる為には、それなりの説明責任がある。それがなければ、支持率を下げるばかりだ」という。

事業仕分けが、支持率を上げる道具に使われていることは明白であり、その魂胆が分かってきたので熱も冷めてきたのだろう。

事業に向けた説明員側の工夫、見直しの努力が見あたらない。説明員である官僚側が、シャーシャーと古くさい理由を挙げる場面にあっけに摂られた。宝くじ事業で、「何故、役員の平均年収が1940万円と高額なのか」と尋ねられた説明員の鹿児島県知事が「簡単な話、人数が少ないからです」と答えたのには、会場から失笑がもれた。公益法人には、人件費枠がありそうだ。

一等地に事務所を構えなければならない理由に「多くのお客がある」などと答えていた説明員には呆れかえる。民間会社が事務所経費を削減するために、利便性の良い場所から本社機能を他の場所に移す努力をしたことが参考になっていない。

税金で、景気とは関係なしに経費が使える「親方日の丸」体質丸出しである。

でも、今回はチョッと違っていた。一般参加者から不規則発言があったし、「廃止」宣言で拍手が起こったことだ。説明員も一般参加者のこういう行動に国民の怒りを感じるべきである。
写真:事業仕分け第2弾の結果を報じる読売新聞

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