2010年10月27日水曜日

民主党政権は、日本をどう導こうとしているのか




政権交代すれば、「ムダの削減で16.7兆円がたたき出せる、官僚主導から政治主導へ、子ども手当、農家戸別補償、米軍基地の県外、国外移設、クリーンで開かれた政治、4年は増税しない、高速道無料化、郵政見直し」出来るのであれば「面白い、やらせてみよう」と思い民主党支持に走ったのも無理はない。

半信半疑でも自民党政権が続くよりマシだと思った。

しかし、そう思うようには行かなかった。約束した政策を遂行しようにも財源がない。事業仕分けに期待したが、浮いたカネは1兆円足らず。米軍普天間移設問題でも県外、国外と言っても何の可能性もない主張だった。かえって日米関係を拗らせる結果になった。

「クリーンな政治」も鳩山、小沢の2トップにかかってきた政治資金疑惑は、両者の説得力のない言い訳で支持を失い、失脚する目にあった。「開かれた政治」もうまく行くはずがない。自民党政権時代と変わらない状態だ。かえって野党に転落した自民党の方が正論を吐く始末だ。

兎に角、出てくる総理、鳩山、菅さんの指導力の無さ、政策発言のブレが指摘され、バカだ、チョンだの批判が続き、海外に向けても大いに国益を損じている。

安全保障の問題は、米軍の抑止力が問題になり、その間隙を縫って中国が尖閣列島周辺に進出し、漁船が領海侵犯、船長、船員を逮捕し、国内法で処罰しようとしたら中国が猛攻撃をしてきた。あわてた政府は中国の恫喝に腰折れ、地検の判断(?)で処分保留のまま釈放してしまった。もう国内法で処することは出来ない。相手はVサインで大歓迎を受けた。

国益、日本の漁民の安全をどう考えているのか。国会での審議で丸山さんが「このままでは中国の属国になる」と批判したら仙石官房長官は「すでに中国の属国になっている」と答えた裏話を曝露した。

マニフェストで菅総理は現実に直面し、大幅な方針転換を試みているが、「政権交代時の約束は何としても守らなければならない」という党内反対派に押されてギクシャクしている。野党からは、党内で考えをまとめろと逆襲されている事態はみっともない話だ。

民主党のアキレス腱となった「政治とカネ」の問題は、小沢さんの強制起訴に至り、民主党を右往左往させている。常識で考えれば、ここは一旦離党すべきであるが小沢さんには、その気がない。小沢さんはかえって政局のカードに使おうとしている。

政治資金でどんな反省をしているのか。民主党は企業献金の全面禁止にしようとしていたのではないかと思っていたら、党財政の安定化の理由で企業献金を再開するという。小沢さんが幹事長だった時よりも緩和したことになる。

菅さんは「一に雇用、二に雇用、三に雇用」と訴えているが、円高、株安もあって景気回復には至らず、支持率下落の要因になっている。アメリカのオバマ大統領も同じ要因で中間選挙では負けそうだ。

円高は収束する気配がない。菅さんが財務相だった時より10円高くなった。「必要なときは対応する」と口先だけかと思っていたら、一度介入した。しかし、市場も舐めている。効果は一時的だった。世界の動きから介入は難しくなっている。折しもトヨタは1ドル=80円で設定するという。

東京の株式市場もアメリカの動向に大きく影響するが、円安では株価は上昇する。経済界も為替対策を熱望しているが、日本単独ではお手上げ状態だ。

太平洋地域の貿易自由化を柱とするTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)への検討を始めているようだが、農業自由化には反対する動きもある。

民主党の政策に整合性がない。財政健全化を訴え増税の検討を始めようと菅さんが主張したが、民主党内でも4年間は増税しないという約束に反すると反対している。自民党は財政健全化法案を用意しているが、民主党は乗れそうにない。国会運営の駆け引きに自民党は、子ども手当、農業戸別補償のバラマキ予算の廃止を持ち出している。

民主党と野党の攻防は続くが、民主党には党内野党がいる。いわゆる小沢系グループだ。菅政権は国会では野党を、党内では小沢系グループを野党に政策の調整をして行かなくてはならない。

これでは何も出来ないことだ。民主党も自民党も選挙戦では「国民のため」と言いながら内実は政権闘争をやっている。

一度、民主党政権は国民に謝罪し、「日本をどうしようとしているのか」「どう導こうとしているのか」しっかり説明すべきではないか。
写真左:首相官邸 総理は日本のビジョンを示せ
写真右:民主党本部 政権政党として、党内で政策の統一を図れ、小沢系グループは党内野党なのか

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