2012年11月22日木曜日

日本経済成長(再生)戦略:何故、国会での議論が深まらないのか


安倍自民党総裁の日本経済成長戦略が脚光を浴びているが、何故、国会審議で経済対策の審議が深まらなかったのか。自民党は政権公約を発表し名目3%以上の経済成長、物価上昇率目標2%、日銀法改正、防災、減災対策としての公共事業の10年間集中計画などを掲げた。

市場は22日午前も、82円45~50銭、株価は9331円03銭をつけ相変わらず円安、株高の状態をつづけている。

各党も選挙を控え、経済対策を争点化しようとする動きも出て、やっと日本経済の再生に向け議論が深まることが期待できる。

しかし、これらの政策課題は、先の国会でも審議されたはずだが、一向に盛り上がりがなく、政府は役人のペーパーを棒読み、日銀は従来の考えを繰り返し正当化するばかりだ。

デフレ脱却、経済成長にはインフレターゲットの設定が要求されたが、日銀はあくまで目途だという。目標にすると達成に責任を持つことになるからだ。

「日銀の政策は効果があったのか」との質問に、白川さんは「そのときそのときで状況は違うが、効果があるものと思って実施している」と答えていたが、市場が反応しないのだから効果はなかったことにならないか。それとも市場の反応以外に物価の安定で効果があったのか。

自民党の中川さんが、日銀の責任を追及していた。決定会合の議事録を見ても公開が遅いし、どの委員がどう判断したかの掲載がなく総裁が多数決で決めている。これでは各委員の責任が分からないという。

デフレ対策では、マネーの流通量が関係するが、欧米中央銀行の流通量を見ても日本は一番少ない。欧米はリーマンショック直後、大量に流通量を増やしているではないかと追求するが、日銀は対GDP比では日本が一番高い率を維持していると従来の考えを繰り返すだけだ。

お互いに自分の都合の良いデーターで主張し合っているだけだから始末が悪い。日銀には「相手のデータをどう読むか」の判断が欲しい。

また、日銀が言う事を聞かないのであれば、日銀法を改正するぞと脅して質問を終わった議員もいたが、今、自民党は日銀法の改正も公約に記している。

1998年の日銀法改正で、独立制が認められて以来、デフレ社会から脱出できていないので、日銀せいではないかと考えている輩も多い。

その白川日銀総裁の任期も切れるので、次期総裁人事が見物だ。

景気停滞脱出には、公共事業による財政出動で景気を下支えすることも一つの方法だが、財政再建と絡んで議論がチグハグになる。自民党は今後10年間で200兆円の防災、減災対策の国土強靱化を提案している。

自民党政権時代に「上げ潮派」と言われた議員が、財政出動で経済成長を促す政策を訴えていたが、安倍総裁も財政出動を考えているのだろう。

建設国債の日銀の直接引き受けを提案し、「やってはならない禁じ手」と批判されると「そうはいっていない」と発言がトーン・ダウンした。

民主党政権は財政再建で、公共事業費も大幅に削減しているが、どうなるのだろうか。

要は、雇用を創出できるかどうかだ。大企業が儲かるだけの政策は避けなければならない。

そして、消費税増税、TPP,脱原発もただの理念だけでなく、経済成長、雇用創出の絡みで議論しなければならない。

国会審議もお座なりの審議ではなく、P→D→C→Aサイクルを回し、実りある国会審議であるべきだ。

委員会審議では質問者もテレビ中継があることを念頭に、質問を補完するボードまで用意しての周到さであるが、「これはここまでにして」、「時間がないので次に行きます」、「どうしても意見が合いませんね」で終わってはいけない。

安倍さんが「従来とは次元の違ったデフレ対策」と言っているのだから、国会も「従来とは次元の違った」審議をやってほしいと思う。

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