2016年11月8日火曜日

経済成長?:イノベーションを強調するが「人間の仕事」はどうなるのか

経済成長停滞打破で学者らはイノベーションを強調するが、労働人口が減っていると言っても「人間の仕事」はどうなっていくのか。非正規労働者の増加、外国人労働者の導入、同一労働同一賃金、最後には「働き方改革」、長時間労働の廃止などを掲げているが、逆に考えると「人間としての仕事」が蔑ろにされていないか。

電通が違法長時間労働で強制捜査され、サラリーマンの朝早く出勤し夜遅く帰る現象は変わらない。父親母親が協力して育児しようと言うもこんな事では出来っこない。母親の加重労働は続く。今まで成長を担ってきたトラック郵送も運転手の高齢化、過酷労働でなり手がなくピンチだという。

成長分野だという介護では時間給1000円弱で職員の募集、不足を外国人労働者の導入を計画、ロボットが介護を支援するという。そんな介護が期待されているのか。

仕事もろくになく、賃金も安ければ若者は結婚する気になれない。人口減で出生率を1.4から1.8に上げ人口1億人を確保すると政府は言うが、結婚したとしても生活難で幼児を殺すことになる。そういう事件が多いのには驚く。おなじような年齢の孫がいると大きなショックだ。

今のような状況では子育てもうまく行かない。親は仕事に追われ、家庭の事を顧みなければ子どもは夜遊び、生活は乱れ「いじめ」は絶えない。学校や教育委員会は「兆候はなかった」と責任回避する。相談を受けていた福祉事務所、役所も「もう一歩突っ込んでいれば」と残念がる。

今のままでは良質な労働力を再生産することが出来ない。一番被害を被むるのは企業家、経営者だが、それが分からず搾取を繰り返す。

誰かか「今の経済は労働者からの搾取で成り立っている」と言ったが正論だ。

米国大統領選でトランプさんは「隠れトランプ」も考慮すると優勢だという。何故、トランプさんが支持を得ているのかというと「労働者の不安」に耳を傾け、移民から仕事を取り戻し、寂れた炭鉱、鉄鋼の街を活性化してくれそうな期待があるのだ。大学卒など中間層の支持を得ているとも言うが「人間の仕事」が重要な課題なのだ。

経済成長は「成長率」=「労働生産性向上」+「労働人口増加率」と習った。

今、経済成長率として各国2%を目指すが日本はマイナス成長から1%と言ったところか。「労働人口増加率」はマイナス、「労働生産性の向上」はイノベーションで1.5%位を期待されている。そんな事を考えると成長率は1%前後だ。

よく言われているイノベーションも、今までは供給側にたった生産設備等の改良で生産効率を上げることだった。今もロボット化が主要なテーマになっている。大学と企業が共同開発すべきだとか、大学の研究を企業が採用すべきだと知識人は強調する。でも「人間の仕事」はどうなるのか。生産性の向上は可能だが、人間が仕事から追われる。

一方、イノベーションも需要側にも必要なのだ。プロダクトイノベーションと言うらしい。消費者が欲しがる財、サービスの提供だ。企業家は「欲しがる物が見つからない」と嘆く。これを作れば売れるという事が分かれば借金してでも投資すると言う。企業の内部留保が380兆円にもなろうとしているが投資先が見当たらないのだ。経済団体は運転資金の6割に当たるので問題ないという。

人間らしい仕事がない→賃金は下がる→家計収入はおちる→消費は伸びない。社会保障面で不安が消えない。アベノミクスを加速と言うが税収は落ちている。国民には負担を強いるが法人は優遇される、そんな政治が良いとは思わない。


「人間らしい仕事」「人間らしい生活」を取り戻した社会の構築が重要になる。

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