2017年11月30日木曜日

大企業の安全、品質意識の劣化:原因は経営者の業務になっていないことか

大企業の安全については経営者に「業務上」の予見可能性を裁判所が認めないことにあるのではないか。更に多発する品質捏造については社長など経営者が日常業務としてタッチしていないのだ。

驚く程の大企業の不祥事が続く。榊原経団連会長の出身企業東レの子会社も会長が在任中に品質不正をやったという。どうしてこうも品質、安全について不祥事が発生するのか。いつものことだが責任は現場にあり、社長は記者会見で謝罪するのだ。「知らなかった」と。

神戸製鋼、日産、スバル、三菱マテリアルそして東レ子会社の品質管理での不祥事も現場だ。国の立ち入りや内部告発でばれてしまった。中には製品の提供を受けた企業からの問い合わせで品質の捏造が分かった例もある。

現場では分かっていても一歩現場を出ると何をやっているのか把握が出来にくいのだ。

企業毎に代表的製品の製品規格は決まっているが、ユーザーからの特殊な品質を要求される場合が多い。それ毎に製品規格をルールに従って制定後出荷していては時間がかかりすぎる。

そこで「特認」が始まる。製品規格を外れるがユーザーの要求には合っているのだ。

そもそもISO9000番シリーズなどでの品質は社内ルールに従って制定し製品になる。新規なものはPDCAで改善していく。関係者は営業、製造、品質、その他必要に応じて他の部門も加わるが、本社は事業部長だろう。でも事業部長が自ら検討はしない。認め印は営業関係者が打つのだ。

だから社長など経営者が関与することはない。不祥事の責任は工場の関係者がとらされる。

安全も同じようなものだ。JR西日本の宝塚線の事故、福島第一原発事故も大きい事故では社長などの責任が問われているが裁判では「業務上」で日常の仕事ではないし、予見性を求めるのも難しいと言うのが裁判所の判断だ。
だから企業の経営者が責任をとらされることがないから一向に事故は減らない。現場担当者段階で終わるのだ。

ところが今、中央道・笹子トンネル事故で、社長が業務上過失致死傷で書類送検されたという。下請け関連会社の社長だろう。予見立証が問題だ。

安全は勿論だが、世界で日本企業の有意性は品質にあったと言うが今は地に落ちているのか。

名誉挽回には社長など経営者が品質にも最大の責任をおわすべきではないか。

社長が安全、品質で責任をとらされることになれば企業のあり方も変わってくるはずで、安全、品質確保にはもってこいだ。


裁判官の社会性が問われる。

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