2017年11月23日木曜日

低成長社会の到来?:誰が高成長を望んでいるのか

少子高齢化、人口減で縮小する日本市場に代わり企業は海外生産、海外市場を目指す。日本は低成長社会の到来と思うが誰が高度経済成長を望んでいるのか。

一時は生産や開発は日本国内中心の社会を構築しようとした高度経済成長は終わったのか。

「デフレではないがデフレを脱したとは言えない」が政府関係者の口癖だ。確かに経済関連の数値を見ると「アベノミクスにより景気は着実に回復、雇用も大幅に増加している」という(自由民主 数字で見る安倍政権の成果2017.9.30)。

それによると安倍政権交代前と後を比較している。「経済再生、デフレ脱却」で、名目GDPは493兆円→543兆円、株価8664円→20397円、有効求人倍数0.83→1.52倍、正社員求人倍率0.5→1.01倍、雇用は185万人増という。

選挙用に都合の良い経済指標を使っているが、GDP成長率は掲げられていないが16年度は実質1.3%、名目1.6%、民主党政権時は実質成長率1.6%だったが今の成長率は1.4%で民主党政権の時が良かったという。

物価上昇率を見ると17年度の見通しを下方修正し1.1%から0%台後半だという。何時になったら2%を達成するのか。日銀は19年度頃と6回先送りした。追加緩和は見送ったが緩和策は継続する。欧米の中央銀行は緩和縮小、利上げを狙っているのだから日銀は何を考えているのか。

物価上昇を2%達成するには成長率は3~4%必要と言われているが専門家は難しいと言う。

それでも低成長から高成長を目指すが誰のためか。日本市場は少子高齢化で規模が縮小する。だから海外市場を目指す。外食産業の経営者が面白いことを言っていた。「これからは少子高齢化だ。胃袋は減る一方で胃袋の能力も落ちてきている。良いはずがない」と。

大手小売業は一斉に日常品の値下げに踏み切った。店内には値下げの札が貼ってある。高齢者、低所得者にとっては有り難いことで売り上げも増えているらしい。GDP成長率にどう寄与するか分からないが政府はGDPの計算値を変更し600兆円を目指すらしい。

日本経済の低迷はプラザ合意にあると言う見方もある。当時ドル高でこれを是正するために集まって協議されドル安政策をとることになった。そのために円高を招き日本は長期に低迷することになった。

それが安倍第2次政権で円高→円安で輸出産業を始め景気を取り戻し、今の日本経済だ。

金融緩和、公共投資などの財政出動→需要増→企業業績回復→設備投資、賃上げ→個人消費増→経済成長、好循環を描いているが、国内需要増は難しい。市場にカネをばらまいているがM&A、海外投資、企業の内部留保は400兆円を超えダブついている。政府は内部留保を賃上げに回せと、賃上げ3%を目標に達成していない企業の法人税優遇措置を止めるという。

国内需要増は、輸出で儲かっている日本に対して海外から改善のクレームがついている。前川レポート、21世紀版前川レポートで改善策を答申したが、いずれも失敗している。理由に企業の儲けを家計に再分配するシステムが欠けているのだという。

麻生さんは「財政出動に変えてこれからは民間出動だ」と経済財政諮問会議で発言したことがある。内部留保も批判していた。

ところが国内需要も問題なのだ。中小企業の経営者が「儲かる仕事があれば借金してでも投資する」と言っていたのを覚えている。その儲かる商品を生み出すのが大変なのだ。

日本企業が努力して生み出したテレビなど家電製品、半導体部門などが次次に韓国、中国の企業に安く売却されていることには危機を覚える。

無理に高度経済成長社会を目指すのではなく、低成長社会にどう対応していくかだ。


政府は自分たちが打ち出す政策で脱デフレ、高成長を生み出したと成果を強調したいのだろうが、そうは問屋が卸さないのだ。

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