2021年8月18日水曜日

第6次IPCC報告:やっぱり「人間活動の影響疑いなし」か

 

新型コロナウィルスとは別に自然災害が目立ってきた。ギリシャ、トルコ、カナダでは熱波による山火事が多発50年に一度が4,5倍になっているし、日本、ドイツ、中国を襲っている線状降雨帯による豪雨被害は10年に一度が1.5倍になっているらしい。 

氷山が溶け、海面上昇で水没する危険がある島では移住が必要だという。北極圏も温暖化で氷が解け、北極航路の開発が進む。 

海水温の上昇は、台風の発生、規模を大きくしている。そして海流の変化は漁業にも大きく影響する一方で、南の魚種が北上している。珊瑚の死滅も進む。 

一方で、温暖化の利点もある。今まで寒冷地で出来なかった農産物が可能になる。

メリットもあるがデメリットの大きい地球温暖化の主因が「人間活動の疑いなし」というのだ。前回までは「可能性が極めて高い」評価だったので自然変動説などを一蹴したことになる。 

自然変動説を唱えていたのはアラスカ大の赤祖父先生だ。CO2などが地球温暖化に影響しているとしてもその割合は1/6、残り5/6は自然変動だと言う。そのうちにどちらかはっきりすると言い切っていた。 

気候変動枠組み条約会議では今世紀末までに上昇を2度未満、1.5度以内に抑える目標だった。しかしCO2排出量をゼロにした場合でも今世紀後半には2度前後の上昇に達する可能性を指摘している。 

環境問題は国民に訴える政治テーマとしてはうってつけだった。いろんな問題が出てきては消えていったし、今でも対応が続いているものもある。産業公害問題から地球温暖化問題へ政治の軸足が代った。。 

地球温暖化が政策課題として取り上げられるまでは、これと言ったテーマはなかった。1992年のリオデジャネイロでの地球サミットには日本から竹下さんが参加した。大物政治家のお出ましだ。1997年には京都サミットCOP3が開催され日本がリーダーシップをとる動きになった。

ところが地球温暖化問題が各分野の専門家の検証を経る前に政治課題として先行することになった。国民が一致して取り組むCO2など温暖化原因物質の排出量を減らす運動になったのだ。 

自然変動説だと人間の力ではどうしようもないが、CO2などの排出の人為説になると政治課題としてはうってつけだ。ところが産業発展とも関連し先進国ではすでに大量のCO2を排出し経済成長に貢献した。しかし後進国はこれから発展しようと考えていたときだから排出規制には異論が出る。 

中国がトップクラスの排出量でありながら「発展途上の大国」を主張し厳しい規制を逃れようとする。新興国は逆に経済支援を要求、利権争いが始まった。こんな状況だからトランプ前大統領はルールが公正でない理由で議定書から離脱したが、バイデン大統領は復帰した。 

こういう状況だから2050年までに実質ゼロなんて目標は期待できない。国民一人ひとりの省エネだけでは解決しない。石炭火力、太陽光、風力など自然エネルギー、原子力、電気自動車など国の産業構造をどう変えていくかが問題なのだ。 

地球温暖化原因物質の排出割合が少ない日本がいくらがんばっても世界的な排出削減は少ない。中国、アメリカなど排出量の大きい国が真剣に取り組まなければならないのだ。

 

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