頼みの成長戦略は、経済界の構造改革、企業経営の意識改革ではないか。アベノミクスの効果がもう一歩と言うところで、政権は法人税下げ、投資減税そして産業競争力化法案まで用意して経済の成長を刺激しようとしているが、企業の動きは鈍い。もう政治頼みは限界ではないか。
経済界が要求する法人税下げ要求だって、一方では消費税増税し増収分を法人税下げに当てる格好になれば、大企業優遇策としか思えず、国民の理解は得られない。要求する法人税下げ後に何か展望でもあるというのか。
長期デフレから脱却出来ず、消費が低迷する要因は、誰が見ても賃金が上がらないことだ。
企業は低成長下でも利益を上げる構造を作り上げ、株主配当、内部留保は280兆円にも達する。その裏には、徹底したコストダウンすなわち人件費削減がある。
クルーグマン教授も言うように労働者を犠牲にして企業が儲けを確保しているのだ。
家計収入が増加しなければ、アベノミクスの効果も半減し、政権に対する信頼も下落すると見て安倍政権はベースアップ要求時に経済界に賃上げを働きかけたが、一時金では応える企業が出ても基本給上げには抵抗する。
トヨタの会長は「賃上げより雇用の確保が優先する」と新聞で語っていたが、期間工など非正規従業員の確保で、賃上げを回避しているのではないか。トヨタが一世を風靡した生産革命(?)「カンバン方式」も無駄を徹底的に排した生産方式で、究極の人件費カットの悪い例だ。皆が教えを請うたために人件費削減が蔓延した。
安倍政権は、政労使で賃上げについて検討しようと協議会を開くらしい。使用者側には経団連トップなどが考えられている。
でも今の経済界のトップは、「おねだり」ばかりのトップであって、自ら構造改革しようとする意識にかける。
先になくなった経済同友会代表幹事だった品川正治さんは、人を痛めつけたり、幸せにしない国も会社も存在意義はないと日本的経営の否定に疑問を呈し、「誰のための改革か」と批判を止めなかったという(朝日新聞 2013.9.6「評伝」)。
経済界は、失われた「良き日本的経営」を取り戻すために企業経営者は経済の構造改革に自ら挑戦してはどうか。
もうこれ以上、政治には頼れないのではないか。日本経済の構造改革は企業経営者の意識改革からだ。
今までの前川レポート、21世紀版前川レポートを見ても、うまくいかなかった理由に企業の儲けを家計にどう再配分するかで合意できなかったことが上げられていた。
企業の経営側の意識に問題があったのではないか。いや、まだあるために成長戦略が足踏みしているのではないか。政治にばかり問題があるわけではない。
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