もし小池新党構想がなかったら野党第一党だった民進党はどういう道を歩んでいたか。新聞報道では今、無所属の会で民進党席の岡田さんが政権交代出来る野党を目指し民進党、希望の党の合流による新党構想を打ち上げている。
私も野党の結束が自民党安倍政権の暴走を止める手段だと思っているから2019年の参院選前に再度の新党構想には賛成だ。しかし民進党分裂時のしこりがあり簡単にはいかないだろう。
それだけに小池新党「希望の党」の設立、破綻には怒りを覚える。泥船状態の前原・民進党が生き残りをかけて進めたのが小池新党への全員の参加だった。前原さんも全員参加に拘ったが、実際には「排除」の理論が優先した結果、挫折することになった。
そこで民進党は(1)細野さんらを中心とする数人のグループ、希望の党結成メンバー、(2)積極的解体論を主張していたグループ、良かれ悪しかれ希望の党に参加したグループ、参院議員のグループ、(3)排除の理論で参加を拒否されたグループ、希望の党に参加しなかったグループに別れた。
細野さんらのグループは民進党にいても立場がなくなったグループで離党が囁かれていた。ところが細野さんが離党してもついてくる仲間はいなかった。
積極的に解体論をぶった連中も自ら旗揚げして同志を集結する度胸はなく、仕方なく希望の党へ移ったように見えた。前原さんの希望の党への全員参加構想では前原さんの立場もあり判断を誤ったと会談に同席した連合会長が述懐していた。面白いことに民進党参議院議員は民進党に残った。
排除されると考えたリベラル系議員は枝野さんの立憲民主党設立に加わった。枝野さんはこれを機に政界で名を馳せる事になった。
一方、民進党を背負ってきた総理経験者、重鎮連中は民進党席を持ったまま無所属の会を結成した。
続く衆院選で希望の党は100人以上の候補者を立てたが当選したのは50人程度でほとんどが民進党出身者、小池さん子飼いの議員は数人しかおらず、小池さんは敗北を認めて都知事職に専念すると宣言した。当然の成り行きだ。
選挙結果は立憲民主党が僅差で希望の党に勝ち、野党第一党になった。
互いに50人程度の野党が第一、第二党では心細い。政権交代出来る野党を創るのは、立憲民主党、希望の党、民進党、無所属の会が結集しなければならないのは明らかだ。
民進党と希望の党、無所属の会は新党構想に向け議論を進めるようだが、「排除」された側の立憲民主党には抵抗がある。また集まることには政治倫理に欠けると国民に理解されない恐れがあると言うがもっともな考えだ。
評判の悪かった民主党から民進党に党名を変えて出直そうとしたが民進党では生き残れないと考えた議員がほとんどだったが、民進党から希望の党に移った議員も選挙では「どうして変わったのか」と有権者から詰問され、「そこは聞かないで」と逃げた議員もいた。
希望の党に移っても地方組織は不十分で次の参院選でどう戦うか、小池さんは「私の力も影響した」と言っていたが、もう小池さんには頼れないし、そんな力は小池さんにはない。
立憲民主党は頑なに合流を拒否しているが、民進党、希望の党、無所属の会だけでも新党構想に参加したらどうか。そして保守系リベラルを目指したらどうか。リベラル色を強めれば立憲民主党の存続価値も落ちてくる。
自由党の小沢さんに声をかけているようだが、小沢アレルギーは強い。国民も「又、壊されるのでは」と思っているかも知れない。
民進党、旧民進党員には「好き勝手なこと」を言ってまとまりのない政党に見えたが、今後はキチッとした政策で意思統一すべきだ。目標が一致していれば目指すプロセスで異なるのは仕方ないことだが、民進党は目標がそもそも違っていたのだ。これでは国民は信じない。
岡田さんや、野田さんにも期待したいし、優秀な政策マンが多いのも確かだが党運営では課題を残す。野田さんは民主党を潰した悪者のように言われているが、私は「政治を前に進める」ことの出来る総理だったと思う。野田さんは勝ち目のない選挙に打って出たのではない。あの時点は「何時、解散するのか」が野党である自民党の攻撃目標だった。あの時点で解散せず、伸ばし伸ばしにしていたら国民の反発を食うばかりだった。
安倍さんは日銀に異次元の量的緩和策を強要し、円安、株高で日本経済は復活したように思えたが、野田政権だって日銀に前原さんを送り込んで市場にカネを回すように強く要望し、当時の白川・日銀総裁も緩和ではあったが量的緩和策を採用していたのだ。そこが生ぬるいと自民党が突いたのだ。
アベノミクスで異次元の量的緩和策として年間80兆円も市場にカネを流し続けているが、今出口戦略が問題になってきた。発行残高の4割を占める400兆円以上もの国債を日銀が保有しているのだ。
日本経済への悪影響を考えると日銀の打つ手はあるのか。
民主党時代の菅政権で、あってはならない巨大地震、巨大津波で大きな被害を被り、更には福島第一原発での原子炉破壊による放射能汚染は取り返しのつかない事態が続いている。
その時、菅さんは自民党総裁に対して政界挙げて超党派での対応が必要だとして副総理格で原発対策対応で閣僚として参加してくれないかと要望したが、自民党には「民主党政権に力を貸すだけ」と反対意見があり拒否したのだ。何と了見の狭い自民党ではないか。
民主党政権が続いていたらどうなったか。世論調査では安倍内閣支持の理由に「他の政権よりマシ」と自民党支持者の44%が答えているが、民主党・野田政権が続いていたらどうなっていたか。考えてみたらどうか。
苦境に立ったときの政権は正しい判断が出来なくなる。
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