新元号「令和」の発表の後、安倍総理が記者会見で「令和」に決めた願い事を談話で公表した。「令和」に込められた春の訪れ、大きな花を咲かすことが安倍政権でできるのか。
安倍総理の談話の一部を紹介しよう。
悠久の歴史と薫り高き文化、四季折々の美しい自然、こうした日本の国柄をしっかりと次の時代へと引き継いでいく、厳しい寒さの後に春の訪れを告げ、見事に咲き誇る梅の花のように一人一人の日本人が明日への希望とともにそれぞれの花を大きく育てることができる。そうした日本であってほしいとの願いを込め「令和」に決定した(大手新聞WEB版より)。
安倍総理が自ら書いた文章ではないため談話に責任など感じないだろうが、読みげて恥ずかしくなかったか。あるいは責任を新たにしたか。
平成の30年間はどんな時代だったか。テレビは特集番組で回顧している。しかし、ここ10年ぐらいの間にいろんなことを経験した。
平成は「失われた30年」といわれた。昔のことは忘れたが、「経済一流、政治二流」と言われたこともあったが、長い間円高、株安で苦しめられたし、自民党政権、民主党政権でひどい政治を見せ付けられた。民主党政権は「悪夢のよう」と安倍総理は言ったが民主党に政権交代される前の自民党政権も「悪夢」だった。
世界一の借金王といった小渕さんが倒れた後、密室の協議で森さんが総理を託されたが、「神の国」発言などで失脚、小泉純一郎さんが颯爽と登場「自民党をぶっ潰す」「反対するものは抵抗勢力」とレッテルをはり長老支配に終止符を打った。
郵政民営化など改革に手をつけたが何のことはない米国からの改革要求事項に沿っていたのだ。外圧に弱い日本の政治をあらわにした。
続く安倍第一次政権はお友達内閣の不祥事続き、年金問題で体調を崩し政権を放り出した。
続く福田さんは本格派内閣が売りだったが政界は「いつ解散総選挙か」が話題になり自分は選挙の顔ではないと辞任、続く自民党内のたらいまわしで麻生さんが登場、経営者の経験を活かした政治が期待されたがリーマンショックで日本経済は大きな痛手を受けた。解散より経済再建を優先したが解散時期を先送りしたために機を失し「政権交代してみませんか」をキャッチフレーズに国民は「この辺で民主党に政権を」ということになり小選挙区制のうたい文句である「政権交代しやすい二大政党制」を実現したかに見えた。
しかし、財源の確保もできていない大風呂敷の政策がばれ、菅政権のときは未曾有のM9の日本海溝型巨大地震とそれに伴う巨大津波、それに伴って東電福島第一原発は安全対策を怠ったためにあってはならない原子炉のメルトダウンを起こしてしまった。菅政権の震災対応が批判を浴び辞任、後を野田政権が継いだが、松下政経塾出身に期待されたが「いつ解散総選挙」かの圧力に屈して野党の自民党総裁だった安倍さんとの党首討論で「約束してくれれば明後日解散します」と宣言し解散総選挙、結果自民党に政権を奪取された。
経済再建、震災復興が重要政策であったのもかかわらず、「いつ解散総選挙か」で与野党が攻防していた姿にはがっかりしたものだ。
そして安倍第2次政権の始まりだ。腹の具合はどうだと心配されながら6年も続いている。政権の重要な職務をお友達で占める側近政治、内閣人事局発足で官僚を完全に管理でき忖度行政がはびこった。
一方、民主党は下野しその後、分裂、解党、新政党への立ち上げと右往左往するうちに安倍総理は大義名分のない総選挙に打って出て野党の力をそぎ、安倍一強政権を築く結果になった。
長期政権に気をよくした自民党は党の規約を変更し総裁を2期から3期に延長し、さらに4期、安倍4選を目指す動きを二階幹事長が主導している。
安倍総理は権勢を振るっているように見えるが、内政、外交では行き詰まっている。
異次元の金融緩和で円安、株高に誘導でき企業、富裕層は大もうけできたが何のことはないアベノミクスのためではなくすでに欧州では日本の為替、株価に投資家は注目していたのだ。ただタイミングが合ったまでだ。
市場にカネを流しても物価は目標とした2%に達しない。6年たった今でも1%前後だ。だから何時日銀が緩和縮小するか迷っている。其のうちにまた世界経済の景気後退のリスクが出てきたために金融緩和継続ということになった。
日銀、政府も新しい金融政策を採るよりも今の政策を継続しているほうが安心なのだ。
日本の経済基調を「緩やかな回復」といっているが輸出、生産も期待できない。
国内経済の成長には内需拡大が必要だが、儲かる事業が見当たらない。必然的に企業は内部留保する。賃金は上がらず家計は厳しい。ゆとりがないので消費に回せない。貯蓄は1800兆円を超えているという。
消費を伸ばすために政府は経済界に賃上げを要求、官製賃上げといわれたが今年は経済界も独自の方法をとるらしい。アベノミクスのトリクルダウンには期待できないが安倍政権は地方創出でアベノミクスの成果を津々浦々までと繰り返す。
19年度予算は101兆円を超えた。税収も増えてはいるが赤字財政に変わりはなく今年も32兆円の赤字で、EUのルールである財政赤字対GDP比3%ルールを越えている。
財政再建をするというと社会保障費の削減で弱者に負担を強いる。一方防衛費は中国の脅威をあおって対GDP比1%枠を反故にした。トランプ大統領に米朝会談で拉致問題に触れてくれることを頼むために巨額の防衛費をトランプ大統領に手土産げする。だからトランプ大統領は会談の最初に拉致問題に触れたと返事する。
若者世代が安心して結婚、子育て、良質な労働力の再生産ができるような政策が必要だが、待機児童、共稼ぎなど問題が多いが働き方改革で対応しようとしている。しかし、問題は企業の考え方、対応次第だ。
得意とする外交も成果が出ない。北方4島返還問題ではプーチン大統領が曲球を投げ安倍総理が引っかかった。平和条約締結後に2島返還も怪しそうだ。
北朝鮮の拉致問題も「今度は私が金委員長と向かい会う」と威勢のいいことは言うが北のメデイアは日本批判一辺倒だ。これでできるはずがない。
対中国は面倒だ。久しぶりの会談で握手するが終わってみてもなんら状況に変化が見えない。中国の脅威をあおって軍事費を拡大するだけだ。自分の選挙区にイージスアジョアを設置すると言い出した。
トランプ大統領とはいい関係を築いているように見えるが決してそうではない。対日貿易赤字で何を言ってくるかわからない。日本が主導するTPP,EPAで成果を挙げているがアメリカにとってはまずい結果をもたらしている。「アメリカ第一」を標榜するトランプ大統領が黙っているはずがない。
「大風呂敷」「論争つぶし」「取り繕い」戦法で野党の攻勢を回避する安倍総理の国会審議では本当の政策論争はできない。
こんなことで厳しい寒さを後、春が訪れ大きな花が咲く日本の未来が期待できるのか。
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