2019年4月10日水曜日

今日の新聞を読んで(235):G20大阪の成否は米中、多国間共通問題に取り組めるかどうかだ


大阪G20首脳会議議長国である日本が米中の中をどう取り持ち、世界で蔓延する保護主義vs自由貿易、格差拡大、不平等など多国間での共通課題としてどう取り組むことができるかが成否にかかっている。

統一地方選(前半)は地方の支えで自民党保守が勝利したように見えるが自民党内での安倍総理の立場も盤石ではない。内政外交ともに成果の出ない安倍総理が迫る大阪G20首脳会議をどうかじ取りしていくのか。

グローバリゼーションによる格差拡大、不平等の顕在化で各国政府は対応せざるを得なくなったが国内では既得権益者、富裕層の抵抗、財政問題も絡んで遅々として進まず、外にその責任を転嫁する結果、アメリカの保護主義に対して世界市場が必要な中国や先進国は自由貿易を主張し対立構図にある。

国内での格差是正、不平等を所得再分配、福祉政策で対応するが恩恵を受けられない国民は「疎外されている」と感じる比較的大きな中間層が出来上がった。

読売新聞(2019.4.7)「地球を読む」で国際通過研究所渡辺理事長の「反多国間主義 分配無策「外」に責任転嫁」を読んでそう感じた。

貧しい国から豊かな国に移民が流れる。移民の流入は就業の機会を失い、賃金を低下させる。疎外されたと感じる国民が行動に出た結果、トランプ大統領を誕生させ、「アメリカ第一」「保護主義」の台頭となり今、世界をひっかきまわしている。イギリスでは移民受け入れを維持しようとするEUを嫌い「国の主体性」を訴え疎外された国民がEU離脱に動いた。

グローバリゼーションも国内の所得再配分政策が無策であればあるほど反多国間主義が増幅され、国際関係に負の影響を与え世界全体の成長に深く関係してくるという。

そういった環境下で多国間が協調し、世界経済の舵取りをしなければならない時に大阪G20首脳会議が開催され、日本が議長国になるのだ。

IMFは世界経済の減速傾向を発表した。世界全体では0.2ポイント下げ3.3%の成長率で中国を除いてはすべて減速になるといい、IMF専務理事のラガルトさんは「世界経済は細心の注意を要する時期に来ている」と警鐘を鳴らした(朝日新聞2019.4.10)。

欧州経済の景気後退、英のEU離脱の行く方、米中の貿易摩擦と経済成長の足を引っ張る要因が多いが、まずはトランプ大統領と友好関係(?)にある安倍総理が米中の中を取り持って貿易摩擦解消にどう切り込むことができるか。日本の役割が期待される。

米国の経常赤字解消、トランプ大統領の保護主義vs自由貿易、二国間交渉vs多国間交渉、米国の巨大ITへの課税、日本で顕在化しているが中国でも進む高齢化問題と主要なテーマは限りない。

ところで所得再分配政策は国内政策でも最重要政策だが、昔から言われているにもかかわらず一向に改善しない。

以前にも日本は外需に頼る経済運営を海外から厳しく警告され時の政権が取り組み前川レポート、21世紀版前川レポートが提言されたが、成果を見ていない。失敗の要因は企業の儲けを家計に再分配するシステムができていないことだった。

今になっても輸出を中心に企業業績は向上したが、儲けを家計に分配せずに内部留保している。安倍総理は官制賃上げで家計所得、消費を伸ばし経済の好循環を目指したが経済界の賃上げにはそれぞれ思惑がからみ十分な成果には至っていない。

世論調査、選挙での有権者の要望する政策のトップは「雇用」であり「地方の活性化」、格差是正なのだ。ベースアップは人件費増として固定費に大きくかかわる。

世界経済をはじめ将来に不安を抱える現況にあっては経営者も決断できないのだ。

所得移転でやれることは、大企業への法人税下げや優遇税制、富裕層への優遇税制の見直しなどやれるものはまだある。問題は既得権益者の抵抗だろう。それを押さえつけてでも実施する強い政府が必要だが、政権維持のためにできないのだ。

またそういう政策を掲げて選挙を戦う政党、候補者も見当たらない。共産党ぐらいか。

国内的にも世界的にも思い来った政策転換ができる状況にないのが現状だ。


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