中国は都合の悪いときは「発展途上の大国」を主張する。一方で経済大国意識で世界覇権を目指すが、先進国ははじめ世界に脅威を与える。先の習主席の欧州訪問でもG7でイタリアが初めて「一帯一路」構想にサインしたが、マクロン大統領、ドイツメルケル首相、EU首脳らとの会談ではマクロン大統領が警戒感をにじませた。
GDPは1200兆円でアメリカに次ぐ世界第2位、借金は対GDP比255%と見られている。日本は550兆円で対GDP比245%、中国の経済規模がうかがわれるが、これで成長率6.5%で世界経済をけん引していくのか。
地球温暖化対策ではCO2排出量が世界第1位でありながら削減計画は「発展途上国」なみだ。これではトランプ大統領が怒るわけだ。都合の悪いときは「発展途上国」を主張するが「大国」意識は捨てていない。
そんな時、今開かれている中国との「ハイレベル経済対話」で日本の河野外相が中国に注文を付けた。
産経news2019.4.14によると、河野外相は冒頭「中国はGDPが世界第2、途上国の域を超えて世界経済をけん引する存在、多国間の課題や協力についてより大きな貢献を行っていく責任がある」と発展途上国と主張する中国に経済大国にふさわしい公正な貿易、投資環境の整備を求めたと言う。
これに対して中国は「多国間貿易を支持し開放的な世界経済を構築する」と応じたという。
経済問題なので日本は10都道府県にまたがる農産物輸入停止措置の早急な解除を求め、中国は一帯一路の枠組みの中で第三国市場協力の推進を日本に求めた。
他にも中国に進出する日本企業のハイテク技術の中国への強制的移転の是正や牛肉輸出の権益協定を議題に、中国は5Gで特定の企業を排除するなと言う。
新聞で報道された事案について拾ってみたが、中国の世界進出、米国の主権にとって代わろうとする覇権拡大には警戒すべきである。
「一帯一路」構想では財政危機にある新興国に経済援助する目的で港湾整備などで貿易振興を図ろうとしているが目的な別にあり、中国の軍港化が疑われている。
巨額の経済支援は債務問題を抱え今、援助されている国で問題化している。インドネシア(?)では計画が中止された。あるところでは計画がとん挫し技術者が逃げたという報道もある。
こういったことをきっかけに計画、投資の透明化が叫ばれるようになった。日本の企業が貢献できるチャンスも出てきた。安倍総理も「一帯一路構想への協力は計画の透明性が条件」と言う。
宇宙開発にも積極的に出てきている。何時だったか人工衛星の破壊実験にも成功したというし、今まで見たこともない月の裏側を探索して見せた。
原子力開発にも積極的だ。読売新聞2019.4.14によると運転中の原子力発電所は45基、建設中が11基、アメリカ、フランスに次いで3位になり「原発強国」への道を進んでいる。
驚いたことに海上浮動原発で離島や洋上へのエネルギー供給が可能になるというが、アメリカは南シナ海での設置建設に触れ領有権の主張が一層強まるだろうと警戒している。
米国に代わろうとする覇権主義は国内財政危機の国に経済支援する計画で拡大を図っている。欧州を見ると非共産圏ではギリシャ、G7国では初めてイタリアにくさびを打ち込んだ。欧州各国はどこも財政危機にある。IMFやEUに支援を申し込んでいるが要求されるのは財政縮小だ。国内生活は疲弊し国民は政府を批判する。当然のことながら中国が触手を伸ばす。
国際法を無視した海洋開発、魚などの乱獲、海洋資源の開発と好き勝手なことをやっている。東シナ海でエネルギー海洋開発、日本近海での乱獲などあげたらきりがない。
これからも注目される世界経済成長の牽引車になれるのか。
先進国が景気下降、成長率減速に悩む中で中国は6.5%と気を吐く。リーマンショック時は、6.7%で落ち込む世界経済をけん引してきた。設備投資で鉄鋼品を製造したが後になって滞貨になり世界に安価な鉄鋼製品をたたき売りしたことで鉄鋼製品の値崩れを起こし顰蹙を買った。
中国は共産主義国政府だ。自国のためなら何でもすることはできるが、公表されている指標への信頼度が問題だ。本当はそれほど良くはないという見方が専門家の間で出ている。
ドルvs元もアメリカが問題視する元安政策の疑いもある。トランプ大統領はドル高を嫌っている。
日本に対しても為替条項を押し付けようとしている。これを飲むとアベノミクスで金融緩和のために日銀が国債や株を大量に購入しているが、これが為替操作をみなされるのだ。
それと、発展途上国にありながら国連安保理では常任理事国で拒否権を持つ。世界の紛争を解決しようと国連が動くも中国、ロシアがことごとく反対するので国連中心の紛争処理ができないのだ。
中国はあらゆる面でアメリカにとって代わろうとしているが、世界のリーダーになるのはそれなりの品格が要求される。「発展途上」の「大国」で好き勝手なことをやってはいけない。
中国は2030年代にはIMFなどの本部が北京に移る可能性も出ている(拠出金による)。しかし米国に代わって世界のリーダーになるには今の政治体制では難しいだろう。
関連記事
2018.8.13掲載
今日の新聞を読んで(173):中国・習主席の「身の程知らず」の強国路線
0 件のコメント:
コメントを投稿