安定的な「2%物価目標」にこだわり、日銀は自らの首を絞めている状況にないか。日本経済は「緩やかな回復基調」というが2%物価目標は遠く低金利政策を当分の間継続としていたが今回は「2020年春ごろ」まで継続というが、2021年度の物価見通しは1.6%、ではいつまで異次元の金融緩和を続けるのか。
2021年は特に政変らしいものがなければ安倍総理の任期が来る。安倍総理がリーダーシップを取りどうするか決めるのか。
日銀法(2,3,4条)では日銀は通貨、金融の調整に自主性を持ち、政府と意思疎通し物価を安定させ国民経済に資することとなっている。
ところが各国中央銀行が独自性を持っているかというと疑問だ。アメリカでもトランプ大統領がFRBの利上げに猛反対し、FRBは金利を据え置いた。
日本はどうか。白川元総裁の「緩やかな金融緩和」に安倍総理は我慢できず日銀総裁を更迭してまで「異次元の金融緩和」を強行し、替わった黒田総裁が「2年で2%」を打ち出したが先送りの連続だ。
白川さんは「とりあえず1%をめざし、次の目標を考える」と主張したが政権は認めなかった。
何故、2%でなければならないのか、1%、1.5%ではダメなのか。
以前国会で民進党の前原さんが、安倍総理に「何故2%なのか」と質問したとき、安倍総理は「2,3,4%といろんな数値を専門家は言っているが、一番達成の可能性がある2%にした」と答えた。前原さんは「その程度の理由か」と呆れ返り「今後も追及する」と締めたが、その後2%について議論したのを聞いたことがない。
その後、国民民主党の議員が「緩和縮小、出口戦略」について安倍総理に質問した時、安倍総理は「私の任期中(2021年)に方向性を出したい」と言いながら「黒田総裁に任せている」と責任逃れの感じだ。
その2021年の物価予想は前述の1.6%なのだ。安倍政権にとってもアベノミクスの是非が問われるのだ。
デフレ脱却→インフレ→物価上昇→経済の好循環のパターンも崩れる。消費者は購買を控える。価格は下がる。給料は上がらない。いつも言われていることだ。
企業のもうけを家計に再分配する。そのために税制の抜本的見直しが必要だ。法人税下げ、法人、富裕層への優遇措置など広く見直すべきではないか。それは有権者が行動すべきだ。一時政権交代で民主党が政権に着いたとき「コンクリートから人へ」、事業仕分けなどチャンスもあったが大風呂敷は信頼を失い、旧民進党の不調が続いている。
一方、欧米の先進国の中央銀行と日銀のこれからの世界経済下降のリスクに対する対応が違っている。欧米中銀は利上げを控え、場合によっては緩和の方向も出てくるという。しかし、日銀には選択肢が少ない。今でも副作用が目立ってきた。国債市場、株式市場、銀行経営に大きな影響が出てくるのだ。
日銀はいつも「緩和策の継続」で市場の安心感を誘っているがいつまで通用するか。
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