また憲法記念日がやってきた。特に今年は現憲法を愛された天皇、皇后が生前退位される意義ある年になるのだが、萩生田自民党幹事長代行がおかしなことを言いだした。
国会での憲法審査が野党の反対で一度も開かれず、安倍総理がご執心の憲法改正が進まないことを忖度し「無理無理することはできる」「新しい時代になるのだから少しワイルドな憲法審を自民党は進めなければいけない」と発言したそうだ。
国体が変わる(あるいは決める)大事な憲法改正を「ワイルド」に進めるなんてどういうことか。小さなことは問題にせず、思い切ってできる方法でやろうということか。
また、野党が反対していることを「国民の主権を奪っている」とも言っている。自民党は主権者たる国民から選ばれ多数の議席を得ているが自民党のやろうとすることに野党は足を引っ張っているということか。それでも野党も主権者たる国民から選ばれているが少数派だ。少数派が多数派を制していることを批判しているのか。
でも考えてみよ。憲法改正は主権者たる国民の要望としては最下位の範疇だが、安倍総理にとっては最上位のテーマなのだ。ギャップがありすぎないか。
現行憲法制定の時のことを考えてみよう。もちろん明治憲法からのことだから国体も大きく変わる比較にはならないだろうが重要なことは安倍総理など言う専門家でない人間が短時間に作成した「押しつけ」憲法ではないことだ。
GHQから政府に憲法改正草案作りが指示された。政府をはじめ各分野の専門家が草案を作成し世に問うことになった。その中から政府案(?)をGHQに提示したが、この案だと民主政治に遠すぎると判断されGHQが独自に作成することになったらしい。
その時、幣原総理はGHQのマッカーサーに「戦争放棄」「軍隊を持たない」ことを規定するように提案したそうだ。戦後の日本が世界で活動するためにはこれしかないと考えたからだ。
今、安倍総理は自民党草案に自衛隊を明記するよう要望した。これからの日本の世界での役目は自衛隊を規定することにより違憲論を終止させ、さらに自衛隊が海外で平和維持活動ができるように整備したいのだろう。中東紛争の時アーミテージ氏の「show the flag」を思い出せ。
GHQ案が政府に提案され各分野で検討課題が出て調整、修正し、何回もGHQと調整作業した後で成案が出来上がった。
新しい国会も開かれ審議され現・平和憲法が制定され国民から広く愛されている。
だから今回の憲法改正も自民党案ではなく、政府が委嘱した機関が草案作りをすべきではないか。ワイルドな審議などご法度だ。今の自民党草案など読む気にもならない。
その機関に安倍総理が要求する改正項目を検討させればいいじゃないか。
専門家の作成した草案を国会に提出し、国民に開示して広く議論を進めるべきではないか。
まわりに気を配りすぎて遅々として進まない事に業を煮やし自民党憲法改正推進本部のメンバーを交代させ下村さんが本部長に就いたとたんに「野党は怠慢」発言でさらに野党を硬化させた。
自民党という公党が検討しているからこそいつまでたっても進まないのではないか。
もっと公的機関で広く意見を集め草案作成できる体制にもっていくべきで、ワイルドな進め方などご法度だ。
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