2019年4月8日月曜日

欧州では英国は外様、英が離脱してもEUは構わないのか


英国は欧州統合の動きの中で外様的存在だったのだ、そのため自国の自主性が保たれないと見ると離脱の動きを見せる。今、英国のEUからの離脱の協定案が英国議会の否決でメイ首相がピンチになっている。

議会制民主主義を標榜する英国の政治に何があったのか。離脱派は「民意を尊重しろ」とメイ首相の協定案にNOなのだ。すでに3回になるが「合意なき離脱」と異常事態になりかねない。かたくなに安易な離脱を認めないEUの姿勢だから延期や先送りになると欧州議会への英国の参加が反対される。

離脱の是非を問う国民投票は僅差で「離脱」が決定したその背後が朝日新聞(2019.4.5)の北大・遠藤先生の寄稿記事「EUは崩壊しなくても」と高久記者のEU統合の背景記事を見ると欧州にあって英国は外様の立場であり独仏のように統合に中心的働きはしていない。

だからEUの移民政策に前のめりの政権に対しては自主性を取り戻そうとEU「離脱」の動きに出た。欧州と言いながら日本と同じ島国なのだ。

確かに記憶ではECからEU、ユーロ圏拡大のときの英国の動きはおかしかったことを覚えている。

EUは前身のひとつである欧州石炭鉄鋼共同体が1952年ドイツフランスなど6カ国から始まりECを経て1993年に通貨、安全保障政策統合を目指し12カ国でEUが発足した。そして2002年共通通貨、ユーロ圏拡大で英国をはじめ28カ国、5億人が関税撤廃、モノ、人の自由な移動を認めた。

統合の中心は独仏で英国は足を引っ張ることをやった。

1973年、ECに加盟、すぐ条約再交渉、拠出金を返せと予算を問題にした。でもEUが通貨、政治統合を始めると圏内にとどまった。

EUの政策で東欧からの移民を受け入れた英国も安価な労働力は国民の職を奪った。主権を取り戻そうとEU離脱を図ったのだ。

今まで政権から疎外されていた国民が行動を起こした。EUの移民政策に前のめりの政権に対してEUを嫌う行動に出たのだ。本音では残留を希望するが今回は「離脱」にかけた結果、僅差で離脱が決まった。国民投票後、「やってしまったか」と反省だ。離脱のメリット、デメリットの情報が十分に国民に公開されなかった反省も大きい。

英では離脱、残留が拮抗しているが、EU加盟国はEUを肯定、ユーロ加盟国も肯定しているというので英国と同様の動きはないと言いEUが潰れることはないらしい。

しかしフランスのマクロン大統領が予算などで改革案を提案しているように問題は抱えている。

圏内の不備、域内の人の移動をつかさどる体制の機能不全、非自由主義的な民主主義の勃興、米欧関係の悪化など深刻な問題を抱えているのだ(遠藤)。

遠藤先生は、離脱のニュースは英国のドラマとともにEU側の状況をあわせてみて初めて、全体を理解することができるという。

今日(2019.4.8)の朝日新聞に「漁業EUに奪われた」「離脱「失うものは何もない」「EUのなのか異論も」「都市と地方分断」といろんな面から英国のEU離脱が論じられている。

離脱をめぐる支持の推移では離脱が40%と減る中で残留が45%前後で推移している(朝日新聞2019.4.8)。

グローバリゼーションも自国の政治、経済を考える時、「主体性」の要求が強くなっている。自分の国のことは自分たちで決める。当然のことで正論であり、見直しの時期に来ている。富める国が貧しい国を守ることの難しさをさらけ出す英国のEU離脱騒ぎだ。

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