2019年4月25日木曜日

原発に対する「安心・安全」:規制委、テロ対策未完なら運転停止命令


原発施設に対する規制委の考え方が厳しくなってきた。期間内にテロ対策を実施できなければ運転中の原発の停止を命じるというのだ。これにより再稼働中の9基が運転停止しなければならなくなる。原発再稼働を進める安倍政権にとっては痛手だ。

原発に対する「安全・安心」では福島第一原発の放射能事故を思い出す。未だかって解決できていない問題が多い。政府の地震調査委員会が15mの巨大津波の危険を予測した時、東電は率先して防潮堤強化対策を実施すべきだったが、土木学会に検討を依頼したり、業界内へ「東電は対策せず」の情報を流し主導(?)した経緯がある。その結果があってはならない大事故を招いた。

そのこともあってか規制委は厳しい決定をした。当然だろう。

テロ対策の現状は、期間が来年に迫る原発もあるが対応できず1年の延期を要望したらしい。それに対して規制委は「不適合状態を見逃すことは到底できない」と言うし、「差し迫って訴えれば何とかなるだろう」という業者の姿勢を厳しく批判した。

委員全員が延長反対だったことを受け、業界は「早期完成に向け最大の努力をする」と言わざるを得なかったのだろう。

今までは業者の要望を聞き入れることが多かった。問題は安倍官邸がどう動くか。

原発と言う巨大技術の「安全・安心」に対して私たちはどう向き合えばいいのか。ちょうど今読んでいる「京大変人講座」で「人間はおおざっぱがちょうどいいーー安心・安全は人類を滅ぼす(那須耕介)」を読んでみた。

食品不正を主に論じているが、原発の安全・安心にも通じるものがある。

安心、安全を確保するために国にルール作り、法制化を頼っている。特に高度の専門性を有する原発については当然のことだろうが、ルールを守っていれば「安全・安心」になり、守っていなければ「危険」と言うことになりかねない。

先生は「自分で確かめて判断することを放棄したことにならないか」と警告する。食品だったらそうかもしれないが、原発だったらどうか。国や原発事業者に重要な情報を握られ、隠されていては判断もできない。

特に原発の場合は原子力三原則があり、「情報公開」が重要になるがここが不十分だ。あの時、NHK解説者が早い時期に「メルトダウン」の発生を警告していたがいつの間にか映像から消えた。誰かの主導で情報隠しを企てたのだ。

当時の民主党の菅政権だったが、菅首相が官邸にいては現場の状況がわからないと自衛隊のヘリコプターで現地に飛んだことが批判されていたが、責任者としては現地の状況を把握することは大事なのだ。

どうしても専門家任せ、国任せになる。安全性を見極めたいために原子力規制委員会ができ検討している。

でも、安全を確保しようと思うとキリがないのも確かだ。専門家に言わせると100%は無理だが60%は可能らしい。

専門家や国が保証してくれたところでその信憑性、信頼性すら判断することができないと無限に不安が広がるというのだ。

だから「本当に気になること」「どうでもいいこと」の取捨選択をやらなければならないが、自然にやっているのだという。

福島第一原発事故に触れ、「本当に心配することは何か」「追及すべき安全とは何か」選択する力が大事なのだという。

原子力発電の安全・安心については原発事業者、規制委員会委員、経済産業省、設置自治体など関連する機関、担当者に如何に信頼を置くかだ。「○○村」間隔はご法度だ。

その意味では今回の規制員会の判断は正しい。


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