2019年4月15日月曜日

中央銀行の独立性:金融政策の信頼性の確保のために、FRB? 日銀?


世界経済が下降リスクに直面しながら中央銀行の金融政策の舵取りが重要になってくるが、その信頼性を確保するためには中央銀行の独立性を確保する必要があるが、米国そして日本も政府が中央銀行に口出しする事態が続いている。

そこで欧州中央銀行のドラギ総裁が「FRBの独立性」に言及したのだ。それによると「世界で最も重要な国の中央銀行の独立性を懸念し独立性が失われれば金融政策の信頼性を損なう」と記者団に述べたそうだ(読売新聞オンライン2019.4.15)。

ドラギ総裁はFRBパウエル議長とトランプ大統領の関係を懸念しているのだ。

FRBが金融政策で雇用、物価の安定という使命を全うするためにはFRBに最善の方法を選ぶ自由が与えられなければその責任は果たせないのだ。

今、トランプ大統領はFRBが適切に仕事をしていれば株価だってもっと高く、成長率も3%どころか4%になっていただろうとパウエル議長の利上げを批判している。

確かにFRBは金融政策の正常化を目指しいち早く量的緩和の縮小、出口戦略に取り組み数回の利上げに踏み切った。ところが最近になって景気の後退で利上げも4回から2回へ、長期金利も2.5%で打ち切る方針だった。

ところがトランプ大統領はパウエル議長の利上げの動き批判的で利下げを要求していた。

更にFRBの理事には自分に近い人物を送り込んでいたのだ。誰が見てもFRBがトランプ大統領に牛耳られかねない状況に懸念を抱く。

この状況は日本でもいえることだ。

日銀の金融政策は安倍総理の頑なな「2%物価目標」「異次元の金融緩和」に大きくゆがめられていないか。

緩和な量的緩和を継続していた白川前総裁の首を切ってまで「異次元の金融緩和」に積極的(?)な黒田総裁を送り込み、慎重派理事の任期終了のたびにリフレ派理事を選任した。今は9人すべてがリフレ派だ。

「2%物価目標達成」に拘る安倍総理も野党議員が国会で量的緩和縮小に迫ると「2%物価目標達成」「私の任期中に何とか」と答弁するも「日銀の黒田総裁に任せている、信用している」と責任回避だ。

金融政策は日銀の専権事項でありながら安倍総理の顔色をうかがいながらの舵取りを強要される。

政策も底をつきおまけに銀行経営に支障が出てきたが、続く世界経済の下降リスクで異次元の量的緩和を継続だがその国債、株の大量購入もアメリカが経済対話で「為替条項」を要求してきたために認めるとアベノミクスの破たんになる。

パウエル議長、そして黒田総裁も厳しい立場に置かれているのだ。中央銀行の独立性の是非が後世に評価されることになる。




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