2019年4月29日月曜日

中国は「一帯一路」で世界制覇できるか

朝日新聞 2019.4.27

トランプ大統領が「保護主義」で世界の協調路線を崩す時に、中国は「一帯一路」政策で世界を制覇しようとしているのではないか。2015年には60か国だった「一帯一路」参加国が今、126か国になり今回、2回目の国際フォーラムが開催された。

共産圏、アフリカ、中東、非共産圏そしてG7の一角まで食い込んできた。国内財政危機で悩む諸国が経済成長をめざしインフラ整備をする財政支援を中国が担っているのだ。その「一帯一路」構想のプロジェクト請負契約は2000件以上、請負残高は13兆円と言われる。

中国だってGDP1200兆円の世界第2位の経済大国であるが借金は対GDP比255%と言われている。どこに資金があるのか。

シルクロード基金の他に参加国に資金拠出を要請している。融資金利を下げるために国際開発金融機関や参加国の金融機関に参加を要請、悪評だった「ひもつき融資」も制限するという。

さらに「債務の罠」とか不透明な事業計画には、国際ルールや標準を幅広くいけ入れると言う。逆に言うと今までは中国の意向に沿った高利率での資金提供で、債務返済ができないときは関連港湾周辺の土地を中国に99年間運営権を譲るというか、奪われた結果も出ていた。

今回参加企業は約7兆円の事業を契約したというから各国の要望は大きいのだ。それだけ経済成長の支援を求めているのだが、港湾施設が整備されても船は横図家せず、中国の艦船が停泊する光景が見られるらしい。

要は中国が世界制覇のために要所を自国の軍港化に仕立てているのだ。

慌てたトランプ大統領は「インド太平洋インフラ構想」を建て、約7兆円を出資するという。日本にも協力を要請しているが、安倍政権は「一帯一路」にも理解を示し今回は二階さんを代表に送り込んだ。

「事業の透明化」が日本参加の条件らしいが、日本企業は東南アジアなどのインフラ整備事業は欲しいだろう。今まで日本企業が丁寧な事業協力をしていたが、ある時突然に事業主体が中国に寝返って苦い経験もしている。資金の貸し付けで中国が優位な条件を出したらしい。ところが工事は途中で頓挫するケースもあるらしい。

最近習主席が欧州を訪問した。G7メンバーのイタリアが参加することになりEU,フランス、ドイツも驚く。EUの中心国フランスのマクロン大統領は警戒感を強める。マクロン大統領はEU改革を訴えている。圏内の国の財政支援の在り方など見直さないと、困った国がすべて中国を頼るようになりかねない。

トランプ大統領も「保護主義」「アメリカNO1」「多国間交渉から2国間交渉」など自説を強引に押し通し今までアメリカが築いてきた協調路線を崩すことを続けると中国の思うつぼだ。世界地図が中国寄りの国で埋め尽くされることにもなりかねない。

しかし、中国が世界制覇、世界のリーダー国になるためには現政治体制ではダメだろう。自由貿易を訴えるのであれば政治も自由主義でなければ付いてくる国も減ってくるのではないか。

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