2019年4月3日水曜日

世界の潮流は「疎外された人たちが行動」?:米の「アメリカ第一」、英の「EU離脱」しかり、では日本はどうなるか


朝日新聞 2019.4.3

世界の潮流は二大政党制に限界、変化する支持層が政権の政策で「疎外されたり、取り残された」と感じる人たちが行動に出たのだ。イギリスでのメイ首相によるEU離脱協定での右往左往、米国のトランプ大統領により世界を混乱させている「アメリカ第一」も其の潮流である。

では、日本はどうなるか。安倍一強支配で疎外されたと感じる国民は統一地方選、参院選を控えどう行動するか。

朝日新聞(2019.4.3)の「袋小路ブレグジット」でオックスフォード大ジェフリー・エバンズ教授とのインタビュー記事が目にとまった。

イギリスのメイ首相のEU離脱協定が議会で否決され続けていること、トランプ大統領の「アメリカ第一」が国民から支持されている政治的背景が同じなのだ。

イギリスの場合、問題は移民受け入れの是非をめぐり保守党、労働党ともに党内が分裂状態で社会のあり方で保守主義と進歩主義の分裂があるという。労働党のブレア首相(当時)はEUの移民受け入れに傾き想定以上の受け入れを進めたし、保守党のキャメロン首相(当時)も親EU政策だ。そのために移民への不安が増し、国民はEU嫌いになっていった。

今まで疎外されていたと思う英国民はEU離脱の是非を問う国民投票で行動に出たのだ。議会で協定案が否決されるたびに賛成、反対の票差は縮小しているというが英国内では離脱派の声は衰えていないという。

英国議会はメイ首相の協定案を否決するが代替案は出せていない。民意がまとまらないのだ。

私たちの国会議員が国会が休憩になるたびに英国を訪問し二大政党制、議院内閣制、議会制民主主義を学ぼうとするが、その箔もはがれてきたか。

一方、アメリカのトランプ大統領もラストベルト地帯で衰退する産業、失った雇用を取り戻すと訴え今まで疎外されていた国民がトランプ支持に回り泡沫候補から大統領に当選するや「アメリカ第一」を掲げ世界の政治経済に大混乱をきたしている。

移民の受け入れは米国民の雇用を阻害するとしてメキシコ国境に壁を作ると誓ったが民主党が予算を認めないと見るや緊急事態宣言をだした。

対米貿易で黒字になっている国は一網打尽に二国間交渉でバランスを取り戻そうとしている。そのやりすぎが世界経済を下降局面に導いている。欧州の経済不安とともにトランプ不況だ。

そして日本はどうか。

安倍政権の企業の法人税下げ、優遇税制、富裕層への優遇税制で所得格差が拡大、都市と地方の地域格差も問題になり選挙のたびに地方創生、アベノミクスの成果を津々浦々までと声を張り上げるが6年たっても改善しない。

被災地の復興事業は進むが人口は減る一方で真の復興にはなっていない。基本的には人口減少地域なのだ。

それでも若者や高齢者に自民党支持率は高いという。世論調査の政党支持も自民党は35%に対して他の野党は数%止まり。無党派層が40%を占める。だから、何かあるとポピュリズムで意外な展開になるが、残念ながら今の野党は弱体化している。メデイアのニュースも野党のだらしなさを強調するだけだ。

「取り残されている国民」が反対行動を起こす手段がないのだ。小選挙区制による二大政党制も機能せず安倍一強政治を許している。若者も「他の内閣よりまし」が安倍政権支持の理由なのだ。

その行動を起こす取りあえずの手段が統一地方選、参院選だ。変化を求めるか、安心のために無風を維持するか。注目しよう。

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