2019年4月16日火曜日

米が「為替条項」で円安けん制:民主党政権では円売りドル買で、安倍政権では量的緩和で円安へ


米が貿易赤字の解消に向け日本に日米貿易交渉で円安誘導をけん制する「為替条項」を求めるとムニューシン財務長官が発言したという。為替介入と言うと民主党の菅、野田政権で口先介入も含め話題になったことを覚えている。安倍政権になってからは直接的円売りドル買いではなく、アベノミクスの量的緩和で円安に誘導した。

カナダ、メキシコはNAFTAで中国は貿易協議で進んでいる。日本は日米貿易交渉で提案されるのだ。

ところが、米の「為替条項」を認めると市場に大量のカネを流し円安にもっていく政策が使えなくなるのだ。ズバリ言うとアベノミクスへの挑戦なのだ。と言うことは安倍政権への挑戦になる。

量的緩和政策で円安、株高になり輸出産業を中心に日本の企業は息を吹き返した。株高にもなり企業の収益は向上した。その日銀の金融政策が使えないようになる。

世界経済は下降局面で他の中央銀行は、量的緩和への復帰、利上げの中止、利下げで対応できるが日銀は打つ手がなくなる。

民主党政権の時はどうだったのか。為替は80円台、株価は10,000円台だった。今は110円、112円から109円、100円割れも目前なのだ。

自民党政権から引き継ぎ民主党政権は自民党のばらまき予算に対して財政再建を掲げ、消費税3%から5%へ、財政赤字削減を目指したが、緊縮財政、増税は国内需要を減少させ、輸入減も加わり貿易は黒字だ。円高は輸入品価格を下げ、物価を下げた。インフレを危惧した日銀は金利を下げず、金融緩和を拡大しなかった(緩やかな金融緩和を継続したのだ)。

円高は企業収益を悪化させ株価も下落した。でも世界不況で円売りにはならず、もうこれ以上円は下落しないだろうと投機筋は考え円買い、過剰な円高になり日本だけ円高不況だったが、欧州の投機筋は円安トレンドで急速な円安になった。そこに自民党安倍政権の異次元の量的緩和がタイミングよく出てきただけなのだ。

これが民主党政権から安倍自民党政権に交代する直前の為替の動きだろう(ネットで関係記事を参考にした)。

もうちょっと民主党政権時のことを見てみよう。

鳩山政権での藤井財務相は「通貨安政策には反対」鳩山総理も「輸出に頼らず、内需拡大」を主張、投機筋は円買いで円高になった。あるとき円が急伸したために藤井財務相は「一方に偏っている」とけん制すると89円台に戻すこともあった。当時は輸出産業は90~95円と見ていたのだ。

2010年、菅政権の時、野田財務相は為替介入を実施、6年ぶりに円売りドル買いを実施した。直前に82.9円だったのが84円、85円になった。株価も9500円に上昇した。

次いで2012年、野田政権の時、75円台で介入78円でやめたことがあった。当時予算委員会で介入を聞かれた安住財務相が75円台で介入したが水準ではないと弁解したが市場は疑心暗鬼だったという。介入水準が不明なのだ。

この辺の経緯は思い出す。

円売りドル買いの介入も効果が薄く、一時的であることから口先介入で市場をけん制することもあった。政府による為替介入は市場を歪めることになりやってはいけないと当時は思った。介入を繰り返すの「市場の見えざる手」が働かなくなり異常な状況を固定することになる。

それほど為替は経済に大きく影響する。教科書では国の経済力は為替に反映する。円高は日本の強い経済力を反映しているのだと思っていたが、良し悪しなのだ。

アメリカが安倍政権に突き付ける「為替条項」で日本経済の動きに注目だ。また「内需拡大」が言われるのか。今まで一度も真剣に検討されたことはない。


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