2019年4月3日水曜日

辺野古移設工事での軟弱地盤対応:専門家は「違和感」あり、門外漢も「おかしい」と思うが政府は強行する


辺野古移設工事をめぐり、国会内での野党の会合で日大・鎌尾準教授が工事の流れに「違和感」ありと批判したそうだが門外漢にとっても「おかしい」と感じる工事だ。十分な軟弱地盤対策が必要なのにもかかわらず計画を強引に進める政府のやり方は無謀としか言いようがない。

新聞報道によると、鎌尾さんは軟弱地盤を政府が認める前から指摘していた研究者らしいく「学生に土木工事を教える立場から見ても工事の流れに違和感がある」と批判したそうだ。そして地盤沈下の影響を最小限にするよう件としっかり意思疎通を図るべきだという(朝日新聞2019.4.3)。

しかし防衛省は「考え方に違いがある」と反論するが、説得力に大きく欠ける。

公共事業を進める場合、地元の人たち、専門家の間では地盤や周辺の地形から災害の発生を指摘する声があるが、事業者はそんな意見に関係なく事業を勧める。ダム工事の場合、奈良県川上村の大滝ダムは専門家の地すべりの指摘を無視して失敗し、群馬県で進んでいる八ッ場ダムの完成も近いが地元では地すべり災害が危険視されている。

大滝ダムの場合、立地は急峻な傾斜地に囲まれ岩崩れでできた地形だ。各所に地割れが見られダム完成後の試験貯水段階で水位が上昇するにしたがって斜面に地割れが発生し、住民が非難する事態になったそうだ。湖底でも地割れ(?)で水漏れが発生しているらしい。その後どうなったかは知らないが計画前から専門家が指摘していたとおりになったのだ。

八ッ場ダムも計画から50年以上過ぎてやっと本体工事に着工した。周辺は砂防ダムも多く、岩崩れでできた地形で地割れもあり貯水を始めると斜面では地すべりが発生すると住民や高校の地理の専門家が指摘していた。

住民の反対運動も激しかった。当初は建設反対だったが、民主党政権で「コンクリートから人へ」のキャッチフレーズでダム建設中止になったら、今度は「建設賛成」の運動が起き、結局は民主党政権で建設継続となった。

ここでも驚くことがあった。計画してから50年以上もたっているのに、ダム本体工事周辺のボーリング調査がされていなかったことだ。ダム本体工事着工の前にボーリング調査をした。本来であれば計画時にまず本体工事周辺のボーリング調査をやるべきではなかったのか。おまけに計画が遅れ、変更もあって事業費は2倍になった(2400億円から4800億円に?)。

辺野古移設工事も沿岸周辺の地盤については専門家の間で軟弱地盤が指摘されていたが政府は工事を強行した。今回政府が改めて調査して公表した結果、軟弱地盤は70~90mと深く広範囲であることがわかった。総計で約8万本の現場打ち支持杭になるらしい。工事には4ヶ月かかる。政府は施工技術には実績ありというがこれほどの深さはないだろう。今の建設重機では対応できないのではないか。

折角滑走路を建設しても沈下して機能しない。さらに海岸沿いでは巨大津波、台風時の高潮などの影響はないのか。

これだけの軟弱地盤工事が必要になるのであれば工事事態をまずご破算にすべきではないのか。防衛省の「問題があれば又、対応」では継ぎ足し継ぎ足しの移設工事になる。

公共投資で杜撰な計画、投資の代表例になる。

最後に鎌尾さんは「土木工事でない工事が行われている」を戒めたが、其のとおりだ。


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