2019年4月13日土曜日

スズキの検査不正を考える:何故相次ぐ企業の不正、ISO9001は機能しないのか


スズキ、日産、スバルそして大和ハウス、レオパレスとそれぞれの業種を代表する企業の不正が続いている。何故、他社の不正から自社の見直しができなかったのか。ISO9001シリーズを取得していても防止できなかったのか。

製品の品質を設定し、それを確保するための手段に不正があったら品質不良の製品をお客様に提供することになり損害を与えることぐらいわかるはずだが、何故、不正が絶えないのか。

現役時代にISO14001取得に関与したが、品質は生産工程で確保するもので検査工程ではないのだ。それが生産工程で手を抜いておまけに検査工程でも手を抜くとどういうことになるかぐらいは、一般従業員に限らず経営者なら誰だってわかるはずだ。

リーマンショック以来、競争のためにはコスト削減は必須だが、やり方が間違っていた。

スズキのHPによると、CSRへの取り組みとして「消費者の立場になって価値ある製品を作ろう」と言いこれを「社是第一」にすると言う。そして品質マネージメントシステムとしてISO9001を国内6工場、海外4工場で取得、四輪車世界生産台数の93%に該当するのだ。

そして「スズキ生産方式」を採用、生産の効率化で年3%のコスト削減を目指すという。生産の効率化は検査員の削減など検査工程での手抜きで始まった。まともにやればコストがかかるというのだろう。

でも、ISO9001では無理な検査法、品質確保に無理があれば見直しできるはずだ。なぜ、見直しをしなかったのか。

そして企業のトップである経営者がどう関与しているのか。製品の品質は本社の事業部長クラスが担うことになる。ではトップにはどう報告されていたのか。

よく不祥事が起き、会社が記者会見するときに社長が出席して謝罪する。記者から「社長はいつ知ったのか」と質問され、「報告は受けていない」「何も知らなかった」と責任回避することがある。社長が認めると全社的問題になるので現場の課長クラスで止めようとする。

これは特に安全ではよく使われる。大事故を起こしても社長など経営トップまで責任追及はなく、担当課長と実際に担当者で責任を負うケースが多い。判例も経営トップに日常業務として安安全確保はないという。だから製品の品質にもそういえるのだろうか。

スズキのHPを見ると、2018年9月26日には「燃費、排ガスの採取検査に対する再調査報告」があるが、これは8月9日に燃費、排ガスの確認実施した報告で国土交通省から指摘され再調査したものだし、2019年4月12日には「完成検査における不適切な取り扱い調査結果」が掲載されている。

こういった不祥事対応で従業員に教育が徹底されているのか。ISO9001では定期的な教育、そして企業内の定期的な内部監査が決められている。そういったことも徹底されていなかったのか。

そして重要なことだが、手を抜いたことによるしっぺ返しは大きい。企業のイメージダウンとともに巨額な対策費用が掛かるのだ。スズキの場合設備更新に5年間で1700億円、リコールで800億円かかるという。大きな損害だ。それも負の遺産だ。

大和ハウスも環境マネージメントシステムISO14001を取得、HPによると「アスフカケツ」で価値の創出を謳っているが、防火基準、施工不良が見つかった。

内部通報があり社長まで報告されながら社内対応に2年もかかった。その理由を記者会見で精査に時間がかかったし、チェック体制の甘さを指摘していた。

ISO14001では内部からの異常報告や外部からの苦情はその手続き、処置、報告の手順が決められ迅速に処理、対応されることになっているはずだ。なぜ、2年もかかったのか。その間に不正は増えているのだ。

レオパレスも建築基準法違反が多数見つかっている。耐火性能、基礎工事に回収が必要と言うがHPからISOの取得は確認できなかった。

ISO取得はマネージメント上の利点は大きいがシステムを維持するのも大変だ。内部監査、定期的な外部監査があるがどうして不正がみつからなかったのか。検査データがすべて偽造されていたのか。そうすることにも時間がっかるのだ。

最近の日本を代表する企業での不正が多いことに不安を感じないか。



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