読売新聞 2023.2.6 |
ロシアのウクライナ侵攻が純粋科学の分野にも影響してきたのか。悪いのはプーチンであり、研究者ではないと思うのだが、素粒子研究の総本山、CERNで研究論文でウクライナの研究者がロシアの研究者との共著に反対し、約250本の論文が未掲載になり、若手研究者の業績発表に痛手となっているという。
新聞では、世界各国から16000人が実験に参加、日本でも400人、ロシアは800人、ウクライナ人は40人が研究に従事し、1つのテーマでも数1000人が共著者として名を連ねるので共著を反対されれば影響は大きい。
読売新聞の調査では約250本の研究報文に影響が出ているという。若手研究者にとっては研究実績を示す大事な報文なのだ。
今、「物質は何からできているか」(ハリー・クロフ著、柏書房 2023.10)を読んでいるが、そのプロローグにCERNのことが記述されている。
筆者は素粒子物理の研究者で博士課程の2年生、CERNで研究の一端を担っていたのだ。ポスドクの研究者らが世界70か国のだいがくに在籍している物理学者やエンジニアが、フランスとスイスの国境の地下100mに前兆27km円型加速器LHCで原子よりも小さい粒子同士を激突させビッグバン直後の状況を一瞬のうちに再現しようとしているのだ。
4基の検出器が設置されているがそれぞれの仕事に20年近くかかわっているのだそうだ。
陽子を加速させ光速に近い速度で4カ所で陽子を正面衝突させ、宇宙誕生の1兆分の1秒後の以降の物質を作り出そうとしているのだ。研究者は化学、原子物理学、核物理学、素粒子物理学、天体物理学など多義にわたる研究者が研究に没頭しているのだ。
この著書の中で「最後の材料」の章があり、ヒッグス粒子の話が載っている。この粒子の存在が認められれば自然界の2つの力の起源と素粒子がもつ理由が明らかになるというのだ。
あらゆる物は原子からできている。原子は原子核と負の電荷を持つ電子からなる。原子核の中は陽子と中性子からなり、それはアップクオーク、ダウンクオークでできている。だからすべての物質は電子、アップクオーク、ダウンクオークの3つの素粒子からでき、これに電磁気力、強い力、弱い力があり弱い力も大きな質量を持っていなければならない。
ヒッグス場が宇宙全体にスープ状に広がり、そこを通ると質量を与えるというのだ。物質の素粒子にも質量を与える。これがなければ私たちの知る形の世界はないというのだ。
こういう重要な研究をCERNで働く研究者は担っているのだ。
我々人間も、周りの物質、宇宙も究極の単位、電子、アップクオーク、ダウンクオークからなり、すべてが同じ物理法則で動いているのだ。国ごとにいがみ合いなどあってはならないのだ。
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