2011年6月4日土曜日

菅内閣不信任決議案でわかった議員の政治力の劣化



あの程度の詰めに甘い鳩菅合意の覚書と鳩山さんの意見発表で賛成から反対に一気に流れが変わったことは、民主党内の「菅降ろし」の本気度を疑う結果になった。今回の菅内閣不信任決議案の採決に至る民主党の右往左往、自民党も提出に当たって一枚岩でなかったことを考えると何かしら国会議員一人一人の政治力の劣化が見えてくる。

最後まで賛成に拘ったのは、小沢さん側近の松木さんと離党宣言していた神奈川県比例区選出の若手議員の2人だけ、後は欠席した15人。民主党でも80人は賛成すると見られていたので、大勢はあわよくば「否決」で終わりたいと言うのが実情だったのだろう。

退陣があやふやな確認事項を「退陣表明」と捕らえ、賛成から反対に回った民主党国会議員の優柔不断さには呆れかえるが、回避できた菅総理の上機嫌な顔と対称に、はしごを外されたと批判された鳩山さんの顔は浮かれない。案の定、早期退陣を拒否した菅総理は、「退陣時期」で野党から追及を受ける羽目になった。

一方、自民党も「退陣のきっかけを作った」と評価するも、政権時代が懐かしい長老、派閥の領袖クラスのベテランに尻を押されての不信任案提出は、否決されたことで自民党内でもベテランと中堅、若手議員の間で溝が深くなった。

今回の騒動は、権力闘争の様相を呈し国民からも「何をやっているんだ」と批判が厳しい。

考えてみれば、国会議員の政治力も落ちたものだ。

国会議員一人一人が信念に基づいて行動すべきであるが、どうしても数人のリーダーの下で群れて動く。グループ、派閥でまとまって行動するから個人の責任は希薄になる。

自分たちが選んだ総理をどうして短期間に簡単に批判するようになるのか。選んだ「選択責任」は誰がどう取るのか。

国会議員になった以上は、総理を目指すのは当然であるとしても、何故指導力、資質に欠ける人材ばかりなのか。自ら総理の座を狙って行動する人、棚ぼた式に落ちてくるのを待っている人、今まで名前は売れていなかったが総裁選、代表選に出て2番手を確保しようとする人。いろんな人がいるが、人の痛みが分った苦労人はいない。カネを集め、数で勝負するのが一番手っ取り早い事を考えると、政治資金規正法違反疑惑も無くならない。

今回の不信任案提出でも、復興・復旧に向けた対応が遅い理由に関連法案の整備、瀬尾率が遅れていることが上げられている。

しかし、国会は国の唯一の立法機関(憲法第41条)で、法律を制定する事が出来る。国会議員が集まって知恵を出し、官僚の力を借りて法律案を作成することだって出来るのだ。何故、政府の法案整備の批判ばかりするのか。

勿論、今の国会での法案提出は内閣提出法案が圧倒的に多い。憲法で政府が提出する規定はないが、内閣法第5条で内閣に発案権が認められている。批判する前に国会議員同士でどうして法案提出の動きがないのか。

官僚に手伝ってもらってもいい。法案を作成する能力、調整する能力を持った議員であってほしい。
国会議員の政治力が問われた今回の菅内閣不信任決議案の採決だった。


写真:不信任案騒動が青樹不信を高める原因になっていることを認めた枝の官房長官 2011.6.3 TBSニュース23

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