2016年2月10日水曜日

日銀よ 何処へ

「日銀よ 何処へ」、最近日銀の政策決定会合を見ると、そんな気がしてくる。安倍総理のアベノミクスの金融政策に応えた日銀の量的・質的金融緩和政策は最初、一時は円安、株高基調に変わったことで効果があったように見えたが、今では効果もなく日銀の金融政策だけでは2%物価安定目標達成は無理になってきた。

景気は「緩やかな回復基調」というが原油下落、新興国、中国経済の減速、更には利上げを始めた米国経済も思わしくない状況下では経済成長のエンジンはなくなった。

日銀は相変わらず量的・質的金融緩和で国債類の買い入れを進め、景気の停滞感が出ると黒田総裁は「躊躇なく対応する」と市場に期待感を匂わす。

でも打ち出す追加緩和も「補完措置」、「マイナス金利政策」で行き詰まり感が出て市場を混乱させる結果になっている。

日銀の政策決定会合では2%物価安定目標達成を急ぐリフレ派が慎重派の反対意見を凌駕した今回のマイナス金利政策は失敗した感がする。

このマイナス金利政策は賛成5vs反対4、審議委員は9人で総裁を含め5人が政府寄りのリフレ派だ。だから五分五分の勝負で総裁が賛成に回って決まったようなものだが、反対のうちの2人の任期が満了する。政府はリフレ派を任命しようとすれば7vs2でリフレ派が圧倒的に優勢になる。

経済政策など全員が一致など考えられない。10人10色とは言わないが、同じ経済指標下でもそれぞれの考え方、見方が違うものだ。

ところで日銀の仕事は銀行としての業務を持っているが、物価の安定によって国民生活に寄与することだが、バブル経済のコントロールには中央銀行は失敗している。

朝日新聞夕刊(2016.2.8)の「バブルをたどって」によると、中央銀行はバブルの対応では2つの派に分かれているようだ。

一つ目は、株や不動産などの資産バブルは避けられず、もし起きて崩壊したとしても金融緩和で処理すれば良いというバブル容認論と2つ目は、バブルが崩壊するときの経済的な影響は甚大なのでバブルが起きないように予防に努める考えだという。

前者には量的緩和策を推進する黒田日銀総裁がおり、後者には日銀前総裁の白川さんがいるという。

どの中央銀行もデフレに陥ることを嫌がるので金融緩和に傾く。それが政府の意向とも合うというのだ。マイナス金利政策も政府の期待に応えたのだ。黒田総裁は2%物価目標達成のためには「出来ることは何でもやる」というが、バブルの種を蒔いているのだが成長率を高めることは出来なかった。これが3年間の異次元の緩和の現実だという。

低成長、デフレ脱却に向け「何でもやる」とはいえ、日銀の打つ手は限界に来ている。やったこともないことをやるには政権が言うように丁寧な説明が必要なのだろうが市場も混乱するばかりだ。

原油価格の下落は私たちの生活には打って付けだが物価上昇を目指す日銀、政府にとっては足かせになる。でも産油国の主導権争い、米国のシエールオイル問題もあり減産→原油価格上昇は無理のようだ。

中国経済の減速もやっかいなものだ。リーマンショック後、中国は50兆円を超える投資で7%を超える成長率で世界経済をけん引してきた。その恩恵にあずかった国は多いが、過剰な設備、過剰な労働人口が今中国の課題になっている。活路を海外に求めているがカネをばらまく無理な外交をやっているようだ。「市場の手に委ねる」と言いながら中央政府の計画経済は自由主義経済国には理解出来ないことが多い。

利上げに踏み切った米国経済も雇用状況は悪化し大統領選が終わって見ないと経済政策の舵取りもはっきりしないのではないか。クリントンさんを除き各有力候補者はエスタブリッシュメントを嫌い「政治改革」を訴えていることを考えると大きな変化があるかもしれない。

日銀も2%物価安定目標時期を17年度前半に先送りした。民主党・前原さんに言わせると4回目の先送りだという。もう先送りは出来ない。岩田副総裁、黒田総裁の責任問題も出てくるだろう。岩田副総裁は就任時の記者会見で「言い訳はせず2年で達成する。出来なければ責任を取る」と豪語したはずだ。それなのに言い訳ばかりやっている。

その時はアベノミクスの真価が問われる。税収増がアベノミクスの成果か、「底上げ」かが経済財政諮問会議で議論されるそうだが政権のYESマンの集まりだ。アベノミクスの成果だろう。

安倍総理は今日の予算委員会で「我々の政策で、もうデフレではないところまで来た」と言う意味の答弁をしていた。

リフレ派は経済では亜流だ。低金利下での金融緩和は効果が期待出来ないと言うのが主流だ。


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2012.4.17掲載

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