2016年2月1日月曜日

何をしているのか経済学会:アベノミクスではデフレを脱することは出来ない

何をしているのだ日本の経済学会。アベノミクスでは脱デフレは出来ない。デフレは長期停滞の原因か、長期停滞の結果か。日本だけが長いデフレに苦しんでいる現状では海外の経済学説は通用しない。日本の経済学者がしっかりしなければならない。金融政策も日銀が異次元の量的・質的金融緩和策をとるが低金利下では効果がないという。

安倍さんは、民主党政権に変わろうとする時、日本経済再生に脱デフレをかかげ従来にない経済政策としてリフレ派の経済政策を採用、長期停滞の原因はデフレにあるとして市場に大量のカネを流す政策をとった。

しかし、政府、日銀は「景気は回復基調」と言い、安倍総理は「デフレは脱したと思うが後戻りしないとは言えない」という意味の発言をしていたように、脱デフレは念願ではあるが、宣言するには早過ぎる。

どうして、こうもデフレと金融政策が合わないのか。

デフレと金融政策をめぐる論争は混迷する現代マクロ経済学を反映しているというのだ(デフレーション 吉川 日本経済新聞出版社2013.1)。

経済学が混迷している間は日本経済再生なんて出来っこないのだ。安倍政権のYESマンの集まりである経済財政諮問会議だって当てにはならないし、日銀政策審議委員も9人中5人が安倍政権後の委員で4人が安倍政権前の委員、今回の「マイナス金利」政策も5vs4で決まったが、4人のうち1人は改選になるらしい。ますます安倍政権寄りの決定会合になる。

市場にカネをジャブジャブ流し、その結果日銀当座預金口座に250兆円もの現金が貯まった。今までは0.1%の利息を付けていたが、2月から0.1%のマイナス金利になるから銀行は利子を払って預けることになる。

嫌なら「貸し出せ」というのだが、投資できる「需要」があるのか。

内需拡大は我が国にとっては永遠の課題だ。中曽根内閣の時の前川レポート、福田内閣の時の21世紀版前川レポートともに国内需要の喚起をテーマにしたようだがうまく行かなかった。要は、企業の儲けを家計に再分配することに企業側が嫌ったためだ。

需要不足ではデフレは終わらない。

日銀の2%物価安定目標達成も17年前半に先伸ばしになった。物価上昇が覚束ないから半年単位で伸ばしているのだ。中期目標に変えるよう日銀決定会合で提案する委員がいるがいつも1vs8で否決される。海外の専門家も短期目標ではダメだという。

その要因の一つに挙げられるのが原油の下落だ。原油の下落は私たちの生活のとってはプラスのはずだが為政者はマイナスだという。産油国は価格維持のため減産に動く気配を見せているが原油価格の上昇はエネルギー問題で私たちの生活を直撃する。生活が苦しくなっても物価上昇に結びつけば良いというのか。

もう一つは中国の減速だ。上海市場の乱高下は世界市場に大きく影響している。「市場経済」に委ねると言うが、肝心なところでは計画経済が顔を出す。経済運営には問題がありそうでしばらくは右往左往だろう。

日本経済もGDPでも大きいウェートを占める中国人の「爆買い」も3兆円になるらしい。カネを外国でばらまくなと禁止の動き、制限の動きが出ているらしい。「爆買い」に合わせて設備投資といっている企業もあるだろうが調子に乗ったらひどい目に遭う。

日本もグローバル化で「日本式経営の良さ」がなくなった。終身雇用も潰れるし、海外企業との競争で賃金も下落した。アメリカでMBAを取得した人間が日本に帰ってきて経営改革に当たった。何のことはない1番やりやすい人件費の削減に手を付けたのだ。

今、政府、日銀は「賃上げ」を経済界に要求している。でも企業家は低賃金に慣れ、消費者は「安物買い」になれている。

経済運営に携わっている政府はどうか。安倍、菅、甘利のリフレ派vs麻生の財政再建派の構図だったが甘利さんの離脱でどうなるか。甘利さんの後の石原さんはよく分からないが財政再建派と聞いたことがある。となると官邸・経産省主導から経産省・官邸と財務省が対等な関係になったのか。

日本は借金が1000兆円を越え対GDP比200%を越え、海外からも財政再建を強く要求されている。先進国一悪い状態と言われるが、政府の掲げる2020年までに黒字化も6兆円の赤字だという。

でも、海外に純資産が600兆円ぐらいあり、それを考えると借金も先進国並みだと主張する経済学者もいる。だから「財政出動しろ」と言うことなのか。

昨年だったか、一時、国会予算委員会でこのことが議論になったのを覚えているが、質問者も答弁者も数字を並べただけで終わったのではないかと思う。何故もっとしっかり議論しないのかといつも感じる。

兎に角、我が国のデフレ脱却は無理のようだ。万一出来たとしたら「経済の悪循環」だろう。



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