2016年5月31日火曜日

北鎌倉「緑の洞門」開削問題:鎌倉市は文化財保存より都市開発優先か

北鎌倉「緑の洞門」
JR北鎌倉駅にて 2016.5.31
北鎌倉「緑の洞門」を鎌倉市は開削して拡張しようとしているのを文化人や住民らが北鎌倉の立派な文化財として保護しようと反対している。鎌倉市は文化財保護より都市開発優先なのか。

31日朝、久しぶりに鎌倉でアジサイ、鶴岡八幡宮の「ひこばえ」を見るためにJR北鎌倉駅のホームに降りるとフェンス越しに立て看板などで封鎖されたトンネルらしい物が目についた。

確かテレビで反対運動が起こっているトンネルなのかと思い、カメラに納めると、イスに座っていた男性が立ち上がって資料のような物を差し出してくれた。

「これが例のトンネルですか」と聞くと「そうです。テレビでも放送されたトンネルですが、市が開削しようとしているのです」という。

改札を出て資料を広げて見ると、神奈川新聞(2016.4.7)のコピーだ。

北鎌倉の景観の1つである素掘りの「北鎌倉トンネル」を市が開削工事をして安全で緊急車両も通れるように拡張しようとしているのに対して、文化人や住民が補強すれば安全が確保出来るので文化財として保存しろというのだ。

一方、市はJR横須賀線開通工事で岩塊、尾根は削られて大半はないと言うが、住民側は原型は残っていると学者らの調査を盾に反対運動を展開している。

チョット見ただけではよそ者には価値が分からないが、説明によるとこのトンネルを含む尾根は中世以来の景観で鎌倉の領域を下界から隔てた重要な「結界」なのだというが、横須賀線の開通や都市化で破壊され原型を留めていないらしい。

どうも鎌倉市は文化財保護よりも都市開発を優先するらしい。

先に、「武家の古都・鎌倉」で世界遺産登録を目指したが物的証拠不十分で登録が出来なかった。私も建長寺に世界遺産登録を目指しているというポスターを見て武家政権らしい物は何もないのに大丈夫かと心配したことがある。

お寺や切り通し、やぐら、漁港などから武家文化、武家政権を想像しろと言っても無理な話だ。

武家屋敷らしい物は土の中なのだ。これでは無理だ。

小学生らしい集団が先生に引率され、鎌倉に来ていた。鶴岡八幡宮を見て建長寺などに行くらしい。先生が「歩道は狭いから一列で歩け」と注意していた。

大仏や鶴岡八幡宮や建長寺などお寺しか見学するところはない。ある学校ではハイキングコースを歩くイベントもあるらしい。

確かに、鎌倉幕府跡と言えば清泉小学校角に「大蔵幕府跡」の碑が建っているだけだ。こんな所を見ても仕方ないが、火災等で宇都宮辻子幕府、若宮大路幕府と3度移ったらしい。

鎌倉市が鎌倉文化を後世にどう残していくか。昔の鎌倉は切り通しで外部から敵が入ってくるのを防いでいたが、今は都市化に晒されている。


北鎌倉の「緑の洞門」問題は小さな問題ではなく、大きな問題なのだ。

鶴岡八幡宮の「ひこばえ」
2016.5.31
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