2018年9月14日金曜日

憲法9条2項:違憲論が日本の世界での立ち位置をコントロールしていないか


憲法92項に起因する違憲論が日本の世界での立ち位置をコントロールしていないか。その改正案が今、自民党総裁選で最大の争点になっている。安倍さんは安倍草案(?)として2項を維持したまま自衛隊を明記する、自分の任期中に成立させたいと言えば、石破さんは2項を廃止して国防軍を設置する以前の自民党案を主張するが、急がないとも言う。

安倍総理は国会審議に任せていては埒があかないと集団的自衛権の閣議決定をしてしまった。憲法解釈を閣議で変更出来る道を開く暴挙に出た。当然、近隣諸国を初め世界は驚いた。中東紛争国で難民支援に当たっているNPO法人の現地担当者は、これで今までの日本の立場は理解されず、今後の活動は大変になるだろうと述懐していた。

平和国家であったはずの日本が、紛争国で米国寄りの活動をしてくることに危機感を抱いてきたのだ。

ところで安倍さんが主張する自民党草案はどんな内容になるのか。そこがはっきりしないのに自民党国会議員の8割が安倍支持だ。

朝日新聞(2018.9.14)の「教えて憲法」に今までの政府答弁、9条解釈の経過が記載されている。

その中で5412月の政府答弁を参考にすると「自衛を任務にし、その目的のため必要相当な範囲での実力部隊として自衛隊を有する」とでも言うのだろうか。

石破さんは92項を廃止し国防軍を設置する考え方で以前の自民党が検討してきたときの草案らしい。石破さんの話では安倍さんも同意していたという。それがここに来て何故、今までの案を放置し安倍草案とでも言うものを出してきたのか。

右翼保守の政治家だ。岸さんの流れを汲み、自民党の党是として憲法改正を自分の手でやるという固い決意を持ったのだろう。法学部出身とは言え、憲法を知らなさすぎる安倍総理の下で憲法改正は怖い。

安倍政権の元での憲法改正に反対する野党、国民は多い。自民党国会議員の中では憲法改正が出来ても国政選挙では無理筋な政策課題だ。最終的には実現しなくても「自分が最初に手を出した」実績だけでも良いのだろう。

違憲審査権を持つ最高裁も腰が引けている。下級審では違憲判断が出ても最高裁は、その訴え自体を退ける暴挙に出た。3権分立を意識しすぎか。

そうなると後は主権者たる国民が最終判断を下すしかない。

憲法学者も自衛隊違憲論が当時は支配的であったが、年が経つにつれ、日本の国際社会での仕事が増える結果、合憲とする御用学者が増えてきた。

そもそも憲法9条って何だったのか。

新憲法制定が検討されていた当時、幣原首相は戦後の日本の世界での立ち位置を考えるときに、「戦争放棄」しかないと考えマッカーサーに9条を直訴したが、逆にマッカーサーの方が驚いたという。幣原首相は世界に「日本は平和国家になること」を訴えたのだ。

一方、今、安倍首相は世界に何を訴えたいのか。国民の安全安心の国土防衛、世界平和維持活動への積極的な参加、貢献、何よりも米国、米軍に寄り添う姿だろう。

しかしそのPKOも多くの問題をさらけ出した。派遣地は紛争国で近くに弾丸が着弾する危険にさらされ、報告された日報は何故か隠蔽され、おまけにシビリアンコントロールにも疑問が湧いてきた。

そんな状況下でも憲法で自衛隊を明記しなければならないのか。


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