2018年9月21日金曜日

今日の新聞を読んで(180):「一強の驕り」が安倍圧勝を逃す


20日の自民党総裁選は「安倍一強のおごり」が圧勝を逃した。安倍さんや陣営はこの結果を予想していただろうか。メディアは安倍さんの勝利より石破さんの善戦を一様に報じる。石破さんの獲得票254票が予想を大きく上回ったためだ。

あれだけの石破包囲網、陣営による石破潰しの報道を見るたびに石破さんの不利を誰でも予想する。おまけに石破さんが望んだ2人による政策討論も、それを嫌う安倍さんのスケジュール調整で体よくかわされる始末で多くの機会を石破さんは失うことになった。

安倍さんは現役総理の立場を生かし、災害地視察や東方経済ホーラム出席など外交でパフォーマンスを示せばメディアはそれを垂れ流す。一方の石破さんは地方行脚で地味な活動に専念する。

それでも少ないチャンスを生かしたのが石破支持の斎藤農水相の「圧力」発言だった。メディアは2人が生出演した情報番組でこの圧力問題を取り上げ安倍さんはヘラヘラと弁解するのがやっとだった。このシーンを見て「まずい」と思った議員は多いはずだ。

「わたしは至らない人間」「反省すべきは反省し」と殊勝なことを言ったが、何故か民主党代表選の時不利と伝えられた小沢さんが「変わらなければならないのは私自身」と発言し挽回し当選した例を思い出す。

「モリカケ」問題でも国民の80%が安倍さんの説明を納得していないと、安倍陣営が避けようとするモリカケ問題にテレビは果敢に挑んだ。メディアへの不当な攻撃を繰り返している安倍さんへの反撃か。

安倍さんが強調する「アベノミクス加速で成長促進」も地方や中小企業は置いてきぼりだ。ポスト安倍と言われた岸田さん、野田さんも「アベノミクスの見直し」に言及したが何故か、安倍支持に変更した。アベノミクス批判はどうなったのか。

石破さんが地方、中小企業を重視した地方創出に力を込めた。安倍さんも同じ事を言ったが6年間の地方創生政策をどう総括しているのか。
唐突な憲法改正審議促進は国会審議を軽視するもので、安倍改正草案もはっきりしない。石破さんとの違いは見えたがどっちの方向に進むのか。友党の公明党は「急がない」という。優先順位からも国民の民意とはかけ離れている。これも「一強の驕り」とみるのか。

今回の選挙で「安倍さんの顔」では参院選、統一地方選は戦えないと見た自民党員は多いはずだ。安倍さんはどう思っているのか。野党は待ち構えている。

何故、こうも安倍さんを「一強」に仕上げていったのか。

自分の政策を進めるために日銀総裁人事、内閣法制局長官人事、官僚人事には内閣人事局を通じて介入、理想的制度も安倍さんは自分のために悪用し関係者を恐れさせた。総理として質の悪い乱暴な安倍さんに多くの側近連中が群がり、私欲をあさり異論を唱える政敵を潰しにかかった。

段々安倍さんに刃向かう自民党議員は減ってきて安倍金太郎飴の一切れに成り下がった。自民党議員のほとんどが安倍金太郎飴の一切れか、「冷や飯食い」に追いやられた。

これじゃダメだと声を上げる議員も出て来た。

「自民党は民主政治を守る政党でなければならない」と時事放談で言った自民党で憲法改正案を審議する船田元さんは今回の選挙で白票を投じたと言うし、「自民党はいろんな意見が出る政党」と発言をしていた小泉進次郎さんは石破支持に回った。

「選挙は政策を修正する機会」と言っていたのも自民党議員だ。

自民党にも自浄作用があるのだ。

でも、安倍さん自身がどう修正していくかだ。安倍さんの性格からいきなり政権運営を修正するなど考えられない。「3年という期間限定」の安倍内閣だから求心力維持のため従来のやり方を一層強化するのではないか。側近連中も自分たちの権威が落ちることは耐えられないはずだ。

安倍さんの暴走を止めるのは参院選、統一地方選そして早まるかも知れない衆院選で国民の判断をつきつけなければならないのか。


0 件のコメント: