2020年11月21日土曜日

今日の新聞を読んで(413):大規模水害で繰り返すダム建設、川辺川ダムの是非

 豪雨や台風で水害が広がるとぶり返すのがダム建設の是非だ。ダムには洪水防止の治水と発電、工業用水、農業用水確保の多目的ダムがあるらしい。必要性のあることもわかるが、上流、特に水没する部落の住民には負担が大きい。

一度は中止が決まった川辺川ダム構想も今回の数度の豪雨被害で県知事が建設を容認する表明をした。12年前は「ダムによらない治水」を主張、民主党政権の「コンクリートより人」政策で後押しされ中止が決まった経緯がある。

これが今年の水害で60人以上の死者が出、必要性が復活し、またまた流域住民が賛否に苦しめられることになる。

私も群馬県の八ッ場ダム建設で数年にわたり取材に訪れたことがある。八ッ場ダムの建設で川原湯温泉、名称吾妻狭が水没する。周囲の山は急斜面で岩崩での地形だ。地割れなどの危険も指摘されていた。

計画は50年前、反対運動も2種類あった。当初は建設反対だったが、最後は民主党政権時の建設中止で「建設中止反対」の運動になった。ある時、川原湯温泉街の飲食店で「反対運動はどうなっているのか」と聞くと、「どの反対運動か」と聞き返してきたことがある。そうか反対運動も2種類あったのだと感じた。

民主党鳩山政権で一時中止が決まったが、何を思ったのか「継続」が決まった。昨年完成し、試験貯水が始まったときに豪雨にあい、時間をかけての貯水実験が一気に満水になったという。利根川の氾濫防止も目的だったようだが、効果があったのか。新聞では氾濫がなかったということで八ッ場ダムの効果はあったとみているようだ。本当のところはどうか。

当時、ダムの是非が議論されていたが一番の問題は土砂堆積によりダムの貯水容量が減り寿命が短くなることだ。浚渫すればいいのだがそこまで考えているのか。下流の水不足、上流は石ころだらけで魚の住めないなどがあげられていた。

県内の近くのダムを取材に行ったが確かに土砂の堆積が大きい。擁壁周辺に溜まったり、ダムの入り口でたまったり状況はまちまちだ。

東京に住むと多摩川での豪雨時の水位は高くなる。先の豪雨で玉川近辺で洪水が発生したというニュースが流れたが、要は住民の反対で堤防工事が出来ていなかったためと言う。景観を害するから反対だったようだ。

ところが丸子付近になるとスーパー堤防構想がある。三菱自動車の工場跡地に高層住宅などを建設し地域開発がすすめられているが、堤防を強化するために河川側は堤防を高くし、住宅側はのり面を緩やかにとり堤防が決壊しないように設計されていた。しかし、スーパー堤防が設置されているのは一部分で、その上流下流は従来のままの堤防だ。気休めとしか言いえない。

民主党政権の時、連ほうさんが見学に来たことがある。やっぱり「費用vsコスト」だ。大きい河川で必要なところにスーパー堤防を築くには年数、費用が巨額になるのだ。

だからダムに頼ることにもなるのだろうが、「ダム頼りの治水」も問題なのだ。大きな河川と小さな河川が交差する場所でのバックウォーター対策、河川に堆積した土砂の撤去、曲がりくねった河川での河川水の対流により堤防が崩される状況、山崩れ、地割れ、橋や鉄道など水流に影響を及ぼす施設、洪水対策はいろんな問題が含まれている。被災者が「ここに50年住んでいるが初めてだ」というコメントを聞くことが多い。

気候の変動は急激なのだ。しかし考えなければならないのは「自然を巨大な技術でコントロールする」ことなどできないのだ。まず人災を防ぐソフト面での対策だ。



0 件のコメント: