2013年9月30日月曜日

多子、高齢者共存の町筋

道路上に書かれた
「けんけんぱっぱ」
娘の住んでいるところは多子、高齢者共存の町筋だ。娘が何を思ったか「この100mほどの道筋に子どもが25人いる。すごいでしょう」と言う。今、少子高齢化が社会問題になっているが、ここの場所だけは違うのだ。

午前中は、みんな保育園、幼稚園、小学校に行っているので静かだが、午後3時を過ぎると、子どもたちが道路に出てきて遊び出す。

元気な姿、笑い声が聞こえる光景はいいものだ。小さい子供をもつ母親も外に出て、お母さんたちも情報交換している。

道路には、「けんけんぱっぱ」がチョークで書かれている。

そういえば子どもの頃、同じ遊びをしたものだ。昔は土の上に石で書いていたが、、今はアスファルトの上にチョークで書く。

高齢者も多く住んでいる。高齢者は何かと言うと御荷物のように言われるが、いいこともあるのだ。

高齢者が住んでいる家の周りは、毎朝掃除がされているのできれいだ。

小学生が通ると「おはよう、元気」と声をかけてくれる。子どもは「おはようございます」とあいさつする。

私も、下の孫を連れて上の孫の通学に付き添っていたことがある(下の孫の遊びの一環)。年配の女性と知り合いになり、顔を合わせるとあいさつをするぐらいになった。

ところが、私でなく家内が連れ添っていると、その女性が「おじいちゃんは、どうされたのですか」と聞いてきたそうだ。

年配者は、お互いの安否を気ずかっているのだ。

高齢者向けにいろんな設備が開発
されている
大田区久が原にて
この付近の住宅は、1階がガレージと門で玄関は2階になっている。高齢者には不向きな住宅だと思っていたが、玄関と1階の門までリフトが設置できるのだ。「便利なリフトがありますね」と聞くと「おばあちゃんが居たときに作ったものです。区から補助が出ます。撤去するにもお金がかかって」と奥様が言う。

「このまま置いておけば、又使えますよ」というと「あ! 私たちがね」といって笑いあう。高齢者と共存できる設備は出来ているのだ。

こんなこともあった。

毎日、保育園へ孫の送り迎えをしている。ある日、用事があって1時間ほど遅れた。すると保育園から「おじいちゃんはどうされました。まだ保育園にはおいでになっていませんが」と確認の電話があったそうだ。

どこかで私が具合でも悪くなっているのではないかと心配してのことだったらしい。

元気な子供の声、年配者の存在はそれなりに存在意義があるのだ。

堺市長選、橋下維新の会敗れる

29日投開票の堺市長選は、橋下維新の会が敗れた。どういう展開になるか注目されたが、開票を待たずにテレビは竹山さん当確を報じた。出口調査で圧倒的に竹山優勢だったのだろう。

橋下さんの「僕の争点設定が間違っていた」という敗因を聞くまでもなく、「堺をつぶさない」、「堺は残す」は、分かりにくい争点だった。

この結果、橋下構想である大阪都構想は大阪市、大阪府で進めることになるのだろうが、橋下さんの求心力低下もあって前途多難だ。

「堺市長選と日本維新の会は関係ない」、「共同代表を辞めない」という発言も有権者にとっては理解できない。

今までの維新の会への支持は、橋下さんが言う「ファッとした民意」も橋下さん自身の言動で離れ、維新の会の衰退が始まっているのではないか。

民主党もそうだが、どうして野党はケジメが出来ないのか。負の遺産をどこまで引っ張れば気が済むのか。

逆に、ケジメが付けられないところに、「党の問題」があるのではないか。それでは、国民から離れていくばかりだ。

政界再編も含めて、日本維新の会はしばらくは様子見だろう。


関連記事
2013.9.22掲載
堺市長選:「堺を残す」「堺をつぶさない」の分かりにくい争点?

2013年9月29日日曜日

地球温暖化:IPCC第5次評価報告は各国政府を動かすことが出来るか

最近(1986~2005年)と今世紀末
(2081~2100年)を比べた気温
の変化
IPCC第5次評価報告書要旨(気象庁)
地球温暖化に対するIPCC第5次評価報告書が公表されたが、これで各国政府を温暖化防止に動かすことが出来るか。IPCCが27日の第36回総会で自然科学的根拠の根拠を公表した。根拠となる最近の知見をまとめたのだ。

第4次評価報告書では、その信用を失いかねない不祥事、記述事象のミスが指摘され、地球温暖化防止への対応も各国の思惑があり進展していない。それを打破するには第5次評価報告書の内容にかかっていたのだ。

気象庁のHPから第5次評価報告の要約を開いた。正式な報告書は2000ページに及ぶらしいが要約は15ページで私でも読むことが出来た。

主な結論として、温暖化については疑う余地はないが、最近15年の気温上昇率は、過去60年の上昇率より小さいという。つまり気温の上昇が「小休止」しているというのだ。確かに世界の年平均気温偏差を1981~2010年平均からの差(℃)で見ると、横ばいの傾向だ。一方、CO2濃度は上昇を続けているのでCO2人為説を否定する見方も出来る。

でも、これは自然現象の一環であって、また気温上昇へ向かうと専門家は見ている。

観測事実としては、海洋(0~700m)で水温上昇、3000m以深の海洋深層でも水温が上昇している可能性があると見ている。

氷河も世界的に減少し北極では積雪面積も減少し続けるという。

海面の上昇も、19世紀中頃以降の水位の上昇率は、それ以前2000年間の平均上昇率よりも大きいという。

温暖化の要因としては、人間活動が20世紀中頃以降、温暖化の主要因であった可能性が極めて高いと言う。第4次では90%だったが、第5次では95%まで上がった。

又、CO2の大気中の濃度増加は地球のエネルギー収支の不均衡に最も大きく寄与しているが、太陽放射は20世紀にわたるエネルギー収支の不均衡にほとんど寄与していないと言う。

天体物理学者、気候学者の自然変動説を切って捨てたのか。

エアゾロルや雲はエネルギー収支に最も大きな不確実性をもたらす。これはよく指摘されていることだが把握が難しい。理化学研究所や東大の研究チームがスーパーコンピューター「京」で全地球の大気の状況を精密にシミュレーションし、局地豪雨などの解明に期待出来るようになったと先日新聞で報道されていた。

そして、将来の予測として、2010~2035年の世界平均地上気温の変化を0.3~0.7度の間の可能性が高いと予測している。

1986~2005年を基準として、1986~2100年における地上平均気温変化と海面水位上昇を4つのシナリオで予測している

定位安定シナリオ(RCP2.6)では気温変化0.3~1.7℃、海面水位0.26~0.55m、中位安定化シナリオ(RCP4.5)では、1.1~2.6℃、0.32~0.63m、高位安定化シナリオ(RCP6.0)では1.4~3.1℃、0.33~0.63m、高位参照シナリオ(RCP8.5)では、2.6~4.8℃、0.45~0.82mとなっている。

これより、新聞で報道されている今世紀末、気温は最大で4.8℃、海面は82cm上昇するというのは、RCP8.5のシナリオなのだ。

本来であれば、排出削減対策が作成され、その緩和策を前提にシミュレーションし評価するところであるが、緩和策がないので将来の温室効果ガス安定化レベル、そこに至るプロセスの代表的なものを選んでシナリオを作成し、そのシナリオで予測、評価を行ったという。

その結果、地上では極端な高温の頻度が増し、中緯度大陸のほとんどが湿潤な熱帯域、極端な降水がより強く、頻繁になる可能性がある途指摘している。

益々強力になる台風、局地的豪雨、高温続き、熱帯夜など今年の異常気象は温暖化が影響していると皆思っているはずだ。

ところが不思議なことに、温暖化防止の特集、特別番組など見たことがない。やはり地球温暖化原因説、地球温暖化防止への取り組みが遅れているのが原因ではないか。

それでも、新しい見解としてCO2累積排出量と世界の平均地上気温上昇量は、ほぼ比例関係にあると言ってのける。

CO2濃度は工業化以前より40%増加し、CO2の約30%を海洋が吸収、海洋への炭素蓄積は海洋の酸性化を生じている。珊瑚礁などの死滅は海洋資源の減少に大きく影響していることは新聞でも報道されている。

一方で、ジオエンジニアリングと呼ばれる気候変動に対抗する技術が提案されているが、その手法、気候システムに与える影響について評価が不可能という。

たとえばSO2の注入、CO2を地中や海中に注入する技術のことを言っているのだろう。

低位安定化シナリオ(RCP2.6)の0.3~1.7℃に押さえるには各国政府は相当の対策を打ち出す必要があるが、今のような状況では無理だろう。

それでも、205年までに0.3~0.7℃上昇する可能性が高いというのだ。今は、気温上昇も「小休止」の状態だが、再び上昇に転じるのは間違いないらしい。

CO2人為説を採って世界的な削減対策を推進するのも大変な作業であるが、自然変動説を採って何もしないのもどうかとも思う。


観測値と人為起源、自然起源モデル
同上
やっぱり、シミュレーションのアルゴリズム、どういうデータをインプットしてこのような結果を導いているのかを知りたいところだ。

2013年9月28日土曜日

国会経産委での汚染水問題審査:主体性の乏しい東電に当事者能力見えず

衆院経産委に出席した広瀬社長
NHKニュースヲッチ9
2013.9.27
やっと閉会中の国会で汚染水問題を審査したが、主体性の乏しい東電に当事者能力の見えない内容だった。国会の衆院経済産業委で東電・福島第一原発汚染水問題の審査が27日開催され、テレビや翌日の新聞がその内容を報道している。野党第一党の民主党政権での事故だったためにブーメランを心配して開催に躊躇する面もあったが、遅まきながらやっと開催された。

東電の広瀬社長が、与野党議員の質問に答えていたが、肝心の国際舞台で「コントロール下にある」、「私が責任者」と発言した安倍総理は不在だったので拍子抜けのする審議となった。

テレビや新聞報道を読むと、汚染水問題は総理の「コントロール下にある」発言に調子を合わせる内容で、「湾の外に影響を及ぼすことは全然ない」という主張で自分もそう考えると言い、「海への影響はしっかりコントロール出来ている]という。

読売新聞2013.9.11 「汚染水3つの課題」
讀賣新聞(2013.9.11)の「汚染水3つの課題」の記事の中に港湾付近の汚染の変化が図示されている。2号機護岸付近の井戸水のトリチウム濃度は減少しているが40万ベクレル、水中カーテンが設置されている付近の護岸の海水ハ上昇傾向で3000ベクレル、港湾の入り口は0ベクレルだ。

これから見ると、確かに海への影響はコントロール出来ているが、要は大量の海水で希釈されて検出限界以下なのだ。管理されているのではなく、監視しているだけなのだ。

広瀬社長も説明していたが、事故直後は建て屋前、外洋の両方で高かったが劇的に低下を示したという。でも建屋前は大きな下がりはないという。データでもその通りだ。

いつまで「コントロール下にある」が通用するのか。

今議論になっている建屋の敷地周りを凍土壁で囲い汚染水を封じ込める工事について、事故直後に遮蔽壁の構築の計画があったが、1000億円という巨額だったために東電がためらった疑いもあるらしい。

470億円の国費を投じて凍土壁工事をやろうとしているが、民主党馬淵議員が政権時代も主張していた「粘土壁の工事を国費の投入がなくてもやっていく覚悟があるか」との問に、「実現可能性調査を踏まえ判断していく」と主体性の乏しい答えをしていた。

東電のこの事故で、今でも破産処理を主張する専門家も多い。これからどれだけかかるか分からない処理を国民に負担させることへの疑問だ。経営責任、株主責任、メガバンクの融資責任を共産党の塩川さんが問いただしていた。

広瀬社長は、「支援機構法の下で責任を果たす」と応えるのがやっとだった。

ただ一カ所、東電の責任に触れて言ったのは、タンクからの汚染水漏洩は現場の作業、管理の問題に起因するところが非常に多く、我々の責任が大きいと言うのだ。


こんな主体性のない東電に、福島第一原発事故の処理が出来るのか。

JR北海道は、ISO9000シリーズ(品質管理)を導入し保全の徹底を図れ

267カ所というレール幅異常箇所を放置していた事件はJR利用者に衝撃を与える結果になったが、公共交通機関の使命は、安全輸送の徹底だ。これを機会にISO9000シリーズの品質管理手法で保全の徹底をはかるべきではないか。

讀賣新聞(2013.9.28)によると、国土交通省の聞き取り調査で、野島社長は、「現場の作業を本社がチェックする仕組みが出来ていなかった」とか「社内に安全意識が完全に浸透していない」などの発言をし、保線が現場任せであったことを認めているようだ。

確かに、安全輸送には保線管理は重要な業務で、本社がタッチしていなかったことは、保線員の確保、保線予算などに影響があっただろうが、二重チェックが出来ていなかったことが異常放置事件に大きく関連していたとは思えない。

本来は、保線を実施する部門の担当者が「どう仕事をこなしていたか」、「異常が見つかった場合、放置すればどういう結果になるかの重要度によって処理の仕方をどうしていたか」、そういったことをしっかり調べないと、本当の要因は見つからない。又、社長が言うように漠然とした理由では対策を間違うことにもなりかねない。

確かにJR北海道は国鉄分離段階から、その経営の難しさは指摘されていた。安定基金6800億円の運用益で補完されるはずだったが、運用益も当初の半分に減っている。コスト削減は人件費削減、保安要員削減、設備更新の先送りで新旧設備の混在、冬場は除雪など思いがけない費用増もある。

同情すべき点も多いと思うが、公共交通機関として安全輸送に手を抜いていたこと自体は、批判されても仕方ないことだ。場合によっては企業基盤に大きく影響する。

やっぱり、ここはISO9000シリーズのような品質管理手法を採用して保全の徹底を計った方が良いのではないか。

JR北海道の職員がまともであれば、今回の事件の原因は一番よく分かっているはずだし、対策も分かっているはずだ。その仕事に従事している職員が一番よく知っているはずだ。

保線であれば、検査実施項目、頻度、標準状態(基準値)、標準(基準)を外れていた時の処置、処置の最終責任者などをしっかり決めて検査項目の見落とし、放置の撲滅を図ることだ。

これだけの不祥事だ。そう簡単には信頼回復は難しいだろう。まず、JR北海道のトップは責任をとって辞任し、ことの重大さを全職員に知らしめることだ。

2013年9月27日金曜日

一夜にして東電・柏崎刈羽原発審査申請へ:新潟県に何があったのか

一夜にして東電・柏崎刈羽原発審査申請への事前了解の報道に、一瞬新潟県に何があったのかと疑いたくなる急展開だった。地元の事前了解の手続きを無視しての東電の審査申請に泉田知事の抵抗は激しかった。社長の書類を突き返す姿が思い出される。

泉田知事は再稼働に向けて、福島第一原発の事故原因も明らかになっていないのだから、対策が活かせないと度々発言していた。至極真っ当な意見で賛同する者が多い。

再稼働に向けて住民の安全を守る対策を要求するのは県知事として当たり前のことだ。今までにも東電と県の担当者との間では話し合いがもたれていたのだろう。

その中で、地下に追加ベント設備を設置し、フィルター・ベントの使用は県の了解のもとに実施するという東電側の対策に県が了解したたようだ。

でもテレビでは、記者が「東京へ行ったのではないか」と知事に詰め寄ったが、泉田知事は「昨夜は遅くまで答弁のチェックをしていたので時間がなく、今朝早く担当者と話し合い決めた」という。

誰だって急転直下の解決は、政権からの圧力、経済産業省からの働き掛けがあったのではないかと疑うところだ。

おそらく圧力、働き掛けはあったと思う。安倍政権にとってアベノミクスを成功させ、成長路線に持っていくには、原子力発電の再稼働は必須の条件だ。強く圧力をかけることはあってもおかしくない。

「お前は日本経済をダメにしてもいいのか」と恫喝されても不思議ではないくらいだ。

また、地元自治体は既に再稼働を希望している。交付金が入らなければ村、町の財政はやっていけないのは明らかだ。働く人が減れば町も活気がなくなる

そして、今まで抱いていた不安材料も東電が真摯に対応してくれたという考えもあるだろう。

一方で、東電の経営も大きく影響する。1基原発を動かすことにより年に1000億円も収支が改善するとなると、無視できる状況ではない。銀行融資だって申請できなければ頓挫するのではないか。

さまざまな事情を勘案して新潟県は、判断したのだろう。

いずれにしても今回審査申請ができたとしても再稼働には地元自治体の了解が必要になるし、原発の敷地内を活断層が走っていると専門家はみている。

審査申請ができたとしても前途多難だ。








日本のトップセールスマン・安倍総理の「Buy my Abenomics」

テレビ朝日 報道ステーション
2013.9.26
海外へ原発や新幹線を売りまくる日本のトップセールスマン安倍総理がNY訪問で、世界経済回復には「Buy my Abenomics」の3語で十分だと言ったそうだ。講演では、まだ日本の国会で議論もされていない「大胆な減税」などの発言が飛び出し、国際公約を御旗に国内で異論も多い大企業寄りの税制改革を進めようとしている気がする。
                            
何やら民主党政権時の総理がやった財政再建→消費税増税の同じ手口を使っているのではないか。

チョット気をつけて見ると、野党生活の経験から自民党の政策は「国民目線」に変わったと衆院選で有権者に訴えていたが、今の安倍政権はその「国民目線」とはかけ離れた政策へ舵取りしたように思える面も見えてくる。

安倍総理のNYでの発言をテレビや新聞で拾ってみた。

レーガンやキッシンジャーなどに次いでハーマン・カーン賞をもらったという。ハーマン・カーンと言えば数十年前、「これからは日本の時代」と日本礼賛論を打った未来学者で私も当時出版本を購読したが、今は私の本棚にはない。「日本が元気になって世界をリードせよ」とでも言っているのだろうか。

安倍総理は2度目の登板と言い、日本経済の惨状たるや余りにも深刻で再度選ばれるきっかけになった。「私の射込んだ3本の矢は具体的な成果に結実しつつある」と自画自賛した。

世界経済回復には3語で十分、「Buy my Abenomics」と言い、日本がもう一度儲かる国になる「Japan is back」とも言い、規制改革をその突破口にするというのだ。「実行なくして成功なし」、アクションこそ成長戦略とも言い、意気込みを覗かせた。

米の経済界もアベノミクスで、「日本が再び本物のグローバル経済の一員として歩み始めた」と評価する。でも、国内ではグローバリゼーションが格差拡大に繫がり社会問題化している。「良き日本的経営」への見直しも経済財政諮問会議で議論に上がってきたほどだ。

更に安倍総理は、我が国への投資を喚起するために「大胆な減税」にも言及した。

法人税、実効税率下げ、復興法人税廃止を総理は念頭に置いているが、自民党税調、財務省と考えに相違が見られる。

アベノミクスもここまでくると企業の投資意欲を改善するしか策はないので、必死に企業、中小企業向け税制優遇策を煽っているが、本当に日本の企業は他国に比べて税金が高いのかというと諸々の税制を勘案すると、そうでもないらしい。そこのところをはっきりさせずに国民にのみ増税を強いているのではないか。

経済界も賃上げに前向きな動きもあるが、それも法人税下げ、規制改革などの結果次第だという。

そして更に、一定の年収のある場合、労働時間を規制せず、残業ゼロの解雇特区も国家戦略特区関連法案で出てくるらしい。これも大企業向けの政策だ。

なりふり構わぬ企業優遇政策だが、アベノミクスも賃上げで家計に再分配しなければ、国民の信任を失うとして、賃上げした企業への法人税減税を検討しているらしいが、その適用条件も緩和するらしい。

その一方で、消費税増税、社会保障の見直しなど国民への負担を強いている。

安倍総理にとっては、国民の生活より「アベノミクスの信任」こそ重要課題と見ているのではなかろうか。アベノミクスが信認を失えば安倍政権など一遍に吹っ飛ぶのだ。

時間が経つに従って、安倍政権の政策は「国民目線」から遠く離れていき、旧態依然とした自民党の企業、富裕層のための政治が垣間見られる。

米国での発言が、これからの国会審議にどう影響するか。集団的自衛権行使容認に向けた動きを含めて圧倒的多数の議席を背景にタカ派的動きも見せるが、国民目線から離れると大きな落とし穴が待っていることを忘れてはいけない。今は政策で安倍内閣は支持率が高いのだ(各メデイアの世論調査より)。



2013年9月26日木曜日

TV視聴率ランキング2,4,6位にNHKニュース:やっぱり災害時のNHKか

TV視聴率ランキング
朝日新聞 2013.9.26
TV視聴率ランキングで2,4,6位にNHKニュースがランクされた。やっぱり災害時のNHKか。今週の視聴率ランキングは、TBSドラマ「半沢直樹」の最終回の視聴率が40%台のどこら辺になるかで注目されていた。新聞を見るとトップで42.2%だ。でもほかに気になったのはNHKニュース(16日)が2,4,6位を占めていたことだ。視聴者の質が上がったのであればいい傾向だ。

何故、このような結果になったのか。

新聞で17日のニュースを見たら原因が分かった。台風18号が接近し16日午前8時前に豊橋市に上陸、関東甲信を通って東北へ進んだ。気象庁は午前5時5分、福井、京都、滋賀に「大雨特別警報」第一号を出し、避難指示は50万人に達した。

思い出すのは、観光地京都の代表的名所である嵐山の渡月橋が濁流に揉まれ、欄干に水しぶきが舞い上がっている映像だ。上流のダムが満水で放流する情報も伝わっていた。周辺の旅館、みやげ物店なども濁流が流れ込んでいた。

福知山市では市街地が冠水していた。

16日は、民放の情報番組も同じような映像、内容のニュースを流していたが、やっぱり災害時はNHKの情報頼みだ。

私も常に見ている「笑点」」も13.4%で17位に入っている。生活に笑うことはガンの予防に良いということで見ているのだが、内容も笑えて面白い。

記事のヒントにもなる。ずっと前に「自動車産業の自転車操業」というのがあった。米国の代表的産業であるGMが経営危機にかかっていた時の話だ。これをヒントに市民メデイアに記事を書いたことがある。

でも不思議なことがある。テレビ東京には、カンブリア宮殿とかガイヤの夜明けなどいい番組が多いが、何故ランキングに入ってこないのか。13%の視聴率はとれないのだろう。


2013年9月25日水曜日

今、必要なのは緊縮政策か、成長戦略か:どちらが将来の安心感に働くか

将来への安心感が経済を成長に導くというが、今必要なのは緊縮政策か、成長戦略か。ドイツ連邦議会選挙でメルケル首相の率いるキリスト教民主社会同盟が第一党になったが、連立を組んでいた自由民主党が退潮で連立解消になり、4年ぶりに最大野党の社会民主党と大連立政権を組むことになるらしいが社会民主党は欧州財政、金融危機対策の見直しを条件として挙げてきた。

メルケル首相は、欧州危機に対して緊縮財政、構造改革を要求していたが、社会民主党は成長戦略、失業対策を重視するために、メルケル首相はどう政策を見直すかが焦点になってきた。

緊縮財政か、成長戦略か。

EUの財政危機にあるギリシャ、スペインなどは財政赤字の削減、債務の縮小、公務員削減で失業者は増え、経済は悪化する一方で、デモなど社会不安が高まった。

そのためIMFなども緊縮政策要求一辺倒ではなく、成長戦略も考慮する動きになった。ドイツもEU内で方針見直しが期待されている。

でも、何故、財政危機に当たって緊縮財政が要求されるのか。無駄、放漫財政を非難されるのは当たり前だが、緊縮財政に頼る根拠は何なのか。

これには、ハーバード大学のアルベルト・アレシナ教授が数々の事例を検証した結果、「緊縮財政は経済成長をもたらす」という説にあるらしい。更に、カーメン・ラインハート、ケネス・ロゴフの論文である「債務残高がGDPの90%を超えると成長は大きく停滞する」に根拠を置くようだ。

しかしこの理論は、大学院生の検証で数値に間違いが見つかって批判されたが、考え方に間違いはないという結果になったらしい。

緊縮財政は、将来に安心感を与え、経済が成長するというのだ。

ケインズは、歳出削減→需要減少→生産、雇用の減少になると説き、こういうときは財政出動で総需要喚起が必要なのだという。緊縮財政はやるべきではないというのだ。

ノーベル経済学賞受賞のクルーグマン教授も、今は財政出動の時、緊縮財政はダメだといい、アメリカは就業者数30万人増(FRBは20万人)まで量的緩和をもっと続けろという。

そして、安倍総理のアベノミクスを「経済が分かっているとは思えないが、大方は正しい政策である」と妙な評価をする。クルーグマン教授のアドバイスを聞いた数少ない政府の一つらしい。

日本は債務残高1000兆円を超え、先進国一悪い財政状況にあり(これには異論もあり資産もその半分ほどあるので、問題ないという説もある)、IMF、G20からも財政健全化が要求されている。

今議論になっている消費税増税も社会保障と税の一体改革での議論であるが、安倍総理はむしろ経済成長による好循環を喫緊の課題としている。賃上げで家計を潤し消費を上げ成長路線に持っていきたいのだ。

財政健全化(緊縮財政)と成長戦略は、相反する政策のように見えるが、将来の生活に安心感を与えれば効果はある。

アベノミクスが成功すれば、世界にデフレ脱却の見本とすることができるとはクルーグマン教授の言だ。

今必要なのは、国民に安心感を与えるために経済学者は「どういう理論」を、政治家は「どういう政策」を提示することが出来るかだ。

経済成長のカギはこの辺にもある?











2013年9月24日火曜日

JR北海道異常放置事件:「どこに問題があったか」と問われれば「社長」だろう

JR北海道の人命に大きくかかわる保線不具合の放置事件は、あきれ返るばかりだが、「どこに問題があったのか」と問われれば、「社長だろう」と答えるしかない。知らなかったかどうかは分からないが、企業のトップに保線管理の重要性の認識がなかったこと自体が問題ではないか。

特急列車のトンネル内火災事故、そして貨物列車の脱線事故とJR北海道の重大な事故がつずく。

21日の記者会見で保線管理の責任者が、本線を含めた点検を「必要ない」と言っていたのに、国土交通省の緊急点検指示で実施した結果、補修の放置がまた見つかったのだ。

結局は、97件が判明し、20~22日に補修は終了したという。やる気になれば容易にできるのではないか。放置していたことに何か魂胆があったのではないかと疑いたくなる。

放置の要因に、上部への報告の失念、二重チェックの不徹底、組織のルールに関する幹部の思い違いなどが挙げられているが、究極的には職員の安全意識の腐敗だ。

社長は記者会見で「辞めない。安全のために今まで以上に働かなければならない」と殊勝なことを言ったそうだが、社長にこそ問題があったのではないか。

JR北海道全体の安全意識の改革には、「まず社長が引責辞任すべきだ」。それによって事の重大さを職員全員が再認識に意識の変革ができる。先の事故では社長が責任を感じて自殺した事例まであるのに全職員に反省のかけらも無かったのか。

今の保線管理責任者も辞任すべきだ。

企業のトップが責任を取らないことは、全職員に「それほどのことではない」というメッセージを送ることになりかねないのだ。

人材がいないのであれば、リストラされた人間から優秀な人材を再雇用することもできる。他の企業から引き抜くことも考えたほうがよい。

要は、今の幹部が病根なのだ。


関連記事
2013.9.28掲載
JR北海道は、ISO9000シリーズ(品質管理)を導入し、保全の徹底を図れ



[後記]
JR北海道のレール幅異常放置は、ついに267箇所に上った。発表する幹部も困り果てた顔だ。なにやら東電・福島第一原発の汚染水漏れ事故に似てきた。これでも今年にはいって脱線2件、出火件、白煙2件以上というのは少なすぎる感じもするが、ミスが事故に繋がるのはこんなものかと思ったりする。

でも、安全運転に徹しなければならない交通機関にとっては致命傷の出来事で、それこそ解体的出直しが必要だ。

私たちもJR北海道の経営の厳しさに対する認識が甘かったのではないか。

1987年の分割民営化でもJR北海道の経営の厳しさは指摘されていた。経営安定基金6822億円の運用益で補助されているが、1987年には498億円あった運用益が2012年には半分の254億円になっていた。

今は、こんなに大騒ぎされているためか、異常個所の指摘が直ぐに補修される状態になっている。だからやる気になれば出来るのだ。早く立ち直って欲しい。

次々に明るみになるレールの異常放置も267箇所にのぼった
テレビ朝日 報道ステーション 2013.9.25
(2013.9.26)


読売新聞 (2013.9.28)にも驚くべきニュースが載っていた。

JR北海道の野島社長が、国土交通省の聞き取り調査で、「現場の作業を本社がチェックする仕組みができていなかった」「社内に安全意識が完全に浸透していない」といったそうだ。

公共交通機関として安全輸送が社是と思うが、JR北海道は公共交通機関の体を為していなかったのだ。

今各社が取り組んでいるISO9000シリーズなど品質管理の手法を取り入れて体質改善に努める必要があるのではないか。
           
                                        (2013.9.28)








政界再編:メデイアは煽るが、軸がないのだ

各党の若手、中堅が集まって会合や勉強会を開くと、メデイアは「やれ新党の準備か」と色めき立ち政界再編を煽るが、如何にせん現状では軸がないのだ。いや、軸になりそうな人が動かないのだ。

軸になる政党も、それぞれが事情を抱えており内部抗争、分裂・解党の危機をはらんでいるのだ。これでは、政界再編など出来っこない。

MSN産経ニュースを見ていたら、産経・FNN合同の世論調査結果が出ていた。その中で「政界再編のあり方」を問うた結果、「新党を作る」20.2%、「共通政策で連合する政党ブロック」34.1%、「政策毎の連携にとどめる」39.6%で、「新党を作る」は1ヶ月前の76.3%から大きく下落した。

国民の政界への期待が薄くなってきたのか。

確かに、今の若手、中堅議員の先を見越しての会合、勉強会、たとえば「DRYの会」へ既成政党の党首が妨害しているニュースが流れる一方で、民主党や生活の党は「民主党」を軸に再編と言うし、日本維新の会は「解党し新党を」という。松井幹事長などは「勇気のないのは去れ」と、代表の顔色を見て勉強会への参加を躊躇する者を軽蔑する。

政策に賛同し政党の議員を支持するが、その後の政党替え、無所属への期待外れ、裏切り行為に有権者の政治不信が高まる。

ここはチョット待って、政界、各政党が落ち着くのを待ったらどうか。

民主党は、「民主を軸に」政界再編を目論んでいるが、今の民主党自身も憲法改正では分裂の可能性があるし、海江田代表では党はまとまらない。いつかは出直し代表選をやるべきだが、小沢さんが「民主党を軸に再編」を言っているのは海江田―輿石のラインでの話ではないのか。

みんなの党の渡辺代表は「党をなくさない」という。政党ブロック構想は渡辺さんのアイでデイアだが、党内はまとまっていない。政界再編者には離党を迫っている有様では、渡辺さんは軸となりにくい。内部抗争、党運営の透明化など基本的なことが出来ていない政党だ。

日本維新の会は「解党して新党結成」を主張する。道州制、都構想を推進するが、堺市長選の結果では内部分裂の危機にある。おまけに関西連合会からは批判されている。

石原さんには、徳洲会の選挙違反が飛び火するスキャンダルの恐れもある。日本維新の会も分裂、解党の危機だ。新党結成には都合が良いかもしれない状態ではあるが・・。

安倍政権が高支持率を維持している自民党だって安泰ではない。

賃金が上がらず、消費税増税、法人優遇政策だけが進めば支持率は下落が始まるだろう。アベノミクスの評価も変わってくる。

人事の先送りで党内不満が高まっているから支持率下落は党内ゴタゴタのきっかけになる。

強引な政治主導に官僚の反抗からスキャンダルも出てくるだろう。そうなれば第1次安倍政権の再来だ。

今は失政が目立たないが、これから重要な政策課題が目白押しだ。経済運営も含めて気が抜けない政局が続くのだ。


政界再編の動きは、もう半年後の各党の事情に決着が付くのを待つべきではないのか。

2013年9月23日月曜日

リニア中央新幹線:ほとんどがトンネルの中、東京・大田区も地下を走る

リニア新幹線ルート発表
朝日新聞 2013.9.19
リニア中央新幹線の計画をJR東海が18日に発表した。ほとんどがトンネルの中で、我が街、東京・大田区も地下を走る。東京―名古屋286kmを時速500km、最短で40分で走る。86%は地下で都市部は大深度地下トンネルだ。

発生が危惧されている南海トラフ巨大地震では、東海道新幹線のバイパスの役目を負う。

総工費5.4兆円、工期は10年、JR東海が全額出資すると社長がテレビ会見で発言していた。2020年の東京オリンピックに間に合わせ出来ないかとの要望にはキッパリ断っていた。

一番問題なのは、南アルプスを貫通する25kmのトンネルだという。どんなことが起きるか想像出来ないのだ。

記憶にあるのは、黒四ダム建設でトンネル工事は破砕帯にあたり異常出水で難航極め、開始しては止め、開始して止めの繰り返しで工期も随分遅れたことだ。このときのニュースは記憶にある。

東京・大田区は3.6kmを走る。
東雪谷1丁目には非常口を建設
私の住んでいる東京・大田区はどうなっているのか。JR東海のHPから「中央新幹線(東京、名古屋市間)環境影響評価準備書(平成25年9月)を開いてみた。

品川の東京都ターミナル駅を出ると直ぐ右にカーブする。5km毎に非常口が計画され、北品川4丁目に次いで、2番目の非常口が大田区東雪谷1丁目近くに出来る。その後はまっすぐ田園調布の下を川崎に抜ける。

私たちの街は、約3.6kmの地下トンネルだ。

計画によると非常口は直径30mの円筒縦坑だ。トンネルの換気、避難用階段、エレベータが設置される。

その設置場所である東雪谷1丁目に行ってきた。東急池上線洗足池駅で降りる。住宅が密集しているが、所々に公共施設、公園もある。そこら辺を利用するのだろう。

非常口が予定されている東雪谷1丁目一帯
計画では、公共施設や公園などを利用するという
計画図によるとトンネルの直径は13m、有効面積74m2、リニア上下2車線を作るようだ。最深部で40mと言う。

施工は実績のあるシールド工法で、一番安全な工法だ。ただトンネル工事などで発生する建設残土は1700,000m3でとてつもなく多い。出来るだけ再利用で発生量を減らすと言うが、地上で処理出来るのか。

活断層もあるらしい。地震対策は良いのか。最新の耐震基準で設計し、車両自身の脱線はないと言うが、断層がずれた場合はトンネルにもダメージを与え、決して安全ではない。地上と同じくらい危険ではないのか。

騒音、振動はどうか。地上部は防音壁などで対策できる。地下走行時の振動はどうなのか。

電磁波も問題だ。携帯電話の電磁波が脳に影響すると注意が喚起されていたことがある。リニアはどうなのか。

東京―名古屋、40分、11500円、ほとんどがトンネルの中。利用価値があるのか。行きは従来の新幹線、帰りは話の種にリニア新幹線と言うことにもなりかねない。

どこかの首長が、地上を走って景色を楽しんでほしいとトンネル計画に注文を出していたが、地下ばかり走るリニア新幹線に町おこしの期待が出来るのか。

波乱を含んだ中央新幹線計画だ。

思い出すのは、関西電力が莫大な資金で黒四ダムの建設を決めた時、当時の社長(名前が直ぐに思い出せない)が、「関西電力の財務から考えると、失敗したら関西電力がつぶれる」と朝日新聞のインタビューに応えていた。それだけ当時は電力不足に対する対応に迫ばれていたのだ。

それに比し、5兆円を超える工事費がJR東海の財務にどう影響するのか分からないが、大きな賭けにでた大義名分は何なのか。


TBSドラマ「半沢直樹」最終回:半沢次長出向、大和田常務降格の結末が予想できたか

22日のTBSドラマ「半沢直樹」最終回は見応えがあった。TBS久々の高視聴率を稼いだドラマだったが、この結末が予想できたか。勧善懲悪で終わらなかったところが見せ所だったのだろうか。北大路欣也演ずる中野渡頭取は常々「銀行は人間が大事」という意味のことを言っていた。取締役会後の頭取の下した処分は、香川照之演ずる大和田常務を常務職を外し取締役に降格、堺雅人演ずる半沢直樹次長は、部長職で子会社へ出向だった。

半沢の父は、良い製品、良い技術を持っていた町工場の経営者だったが、つなぎ融資を銀行に依頼したが断られ経営難で自殺した。その時の銀行の担当者が今の大和田常務だった。半沢は同じ銀行に入って復讐するのだ。

やられたら、やり返す「倍返し」が半沢の仕事に常について回った。

半沢は、金融検査など銀行の生死を賭けた難題に果敢に取り組み、行内の邪魔には「倍返し」で抵抗し解決していく半沢の仕事ぶりに共感する者が多かったはずだ。中野頭取も裏でそのことは評価していた。

それに情報収集で半沢に協力する上戸彩演ずる妻・花の存在も大きな感銘を受け、高視聴率に貢献したはずだ。

一方、復讐の相手となった大和田常務は、妻の経営難の事業に迂回融資するルール違反をやったし、半沢に協力する同期を懐柔し半沢の仕事を邪魔し続けた。半沢は証拠を元に取締役会で不正を糾弾する。

常務の悪事を追求し続けた同期の滝藤賢一演じる近藤が常務に懐柔され証拠提出をしなかったために半沢はピンチになるが、花の助けもあって取締役会では状況証拠で常務を追求した。

最後に、半沢は約束通り「土下座して謝れ」と迫る。大和田常務演じる香川の演出はさすが歌舞伎役者と感心した。

そして、取締役会後の頭取の2人への処分だ。

大和田常務は北か南への出向を覚悟して頭取室に入っていくが、処分は常務職を外し、取締役に降格だった。大和田常務は一瞬驚く表情だ。

一方の半沢は行内、同期の「部長職へ2階級特進」の大方の見方に反して、部長職で子会社の証券会社へ出向になった。予想に反した処遇に顔が硬直した。

中野頭取は、「銀行は人間が大事」という意味のことを言っていたが、半沢には取締役会でやったことはやり過ぎと批判していた。

頭取は人間として半沢の方に怖さを感じたのではないか。大和田は迂回融資など私利私欲の行為が目立ったが、人間としてはまだ使えると判断したのだろう。

勧善懲悪で終わらなかったことに、このドラマの見せ所を感じた。

安倍政権は「日本経済再生」を謳い、アベノミクスを強力に推進しようとしている。成長戦略に向け、中小企業の設備投資減税、研究開発投資にも優遇策をとるという。

しかし、量的緩和で市場に資金をジャブジャブ流すが、中小銀行は国債の保有を増加しているらしい。町工場、中小企業へ資金を流していないのか。

貸し倒れ、不良債権を考えると中小銀行も融資に躊躇するのだろう。貸し出したい会社には需要がなく、貸してほしいという企業は経営難だ。


軒先で裸電球の下で夜遅くまでガッチャンガッチャン下請けをやっていた45年ほど前の経済にはもう戻らないのか。

2013年9月22日日曜日

堺市長選:「堺を残す」、「堺をつぶさない」の分かりにくい争点?

15日公告、29日投開票の堺市長選は、竹山vs西林、否、竹山vs橋下、無所属vs大阪維新の会の戦いの構図だが分かるような、分からないような争点だ。讀賣新聞(2013.9.22)によると現職の竹山さんがリードしているというが、負けた方が解体の危機なのだ。

竹山陣営は「堺は一つ、堺はなくさない」と言えば、西林陣営は「堺をつぶすことは考えていない。ワン大阪で堺を元気にする」と反論する。主張点が真っ逆さまなのだ。

東京都に住んでいると関係なかろうと思われるが関係あるのだ。大阪都構想の制度設計によっては少なからず他の自治体にも関係するし、橋下さんが負ければ日本維新の会の趨勢にも影響する。恐らく日本維新の会は分裂・解体だろう。

そこで、どういう経緯をたどっているのか、今までのメデイアの報道をめくってみた。

竹山さんは2009年、橋下さんの支持を得て堺市長選に初当選したが、翌年の2010年に大阪都構想が打ち出されて袂を分かち合うことになった。竹山さんも当初は都構想を目指しての協議会に参加しようと考えていたが、規約案に「協議会で構成する自治体の増減は全会一致・・・」という記述があり、一度参加すると抜け出せないことから参加を諦めたそうだ。

それから竹山vs橋下の戦いが始まった。

そもそもこの都構想は、大阪府と大阪市が下水道施設を道一つ隔てたところに持っているなど、二重の無駄な投資を行っていることを橋下さんが指摘し、当時の平松市長と論争を展開した。

今回の堺市と大阪府の連携も、公共施設の適正配置、効率的な事務処理を狙ったものだ。実際には真っ当な考えなのだ。更に、身近な区役所、都市経営、成長戦略の司令塔が一元化できる。

ところが、堺市は人口84万人で、折角政令指定都市になったばかりだが、大阪都構想になると7区に分割され、細かな住民のニーズ、サービスが出来なくなるというのだ。

しかし、まだ大阪都、特別区の事務分担、財政調整も明確にはなっておらず、2015年春に制度設計が出来、2014年秋に住民投票をする予定らしい。

だから、「堺は一つ、つぶさない」と言ってみたり、「堺をつぶすことは考えていない」と言ってみたりチグハグな論戦が見られる。これで竹山か、西村かの選択は難しいのではないか。

周りの自治体も竹山さん応援だ。

関西広域連合会の井戸兵庫県知事は、道州制に反対している立場もあり「堺を残す」と竹山さんを支持する。

こんな状況下で、堺市長選をやって竹山さんが勝てば大阪都構想は頓挫(?)、橋下さんの求心力は落ち、日本維新の会は分裂、解体の道を進むのか。

逆に西村さんが勝てば、大阪都構想は一歩前進するが、こんな状態で住民投票しても住民は選択に困るのではないか。

「堺はなくさない」、「堺をつぶすことはない」だけの争点で本当に良いのか。

関連記事
2013.9.30掲載
堺市長選、橋下維新の会敗れる



安倍政権高支持率は本物か:政策の失点が、今まで見つからなかっただけでは

安倍内閣の高支持率が続いているが本物なのか。国民の生活に大きく影響を及ぼす政策の失点が今まで見つかっていないだけではないのか。アベノミクスが正しい経済政策であるかどうか分からないが、口先政策で企業、国民のマインドが変わってきたが実体経済への効果はこれからだ。

15年もの長きにわたって経済成長の障害になってきたデフレからの「脱却出来そう」、「ここらで雰囲気を変えてみよう」との国民の願望にそって、企業、国民のマインドは変わってきた。

それに支持率が下がりかけたと思ったら、東京オリンピックの招致が成功し、また上昇傾向をたどる。

第1次安倍内閣との大きな違いは、郵政民営化で離党した造反議員の復党で国民の顰蹙を買い、国民生活に大きな影響を及ぼす公的年金問題で国民の信用を失っていった。官僚の反発でスキャンダルのリークもその要因であるとの見方も当時あった。

今回は、未だ失点と思われる政策は見つからないが、正念場を迎える政策課題は目白押しである。

来年4月からの消費税増税も増税の方向で進んでいるようだが、賃上げがなければ国民の家計負担は大きく物価高と相まって国民生活はダブルパンチになる。

万一、企業の儲けを家計に再分配することに失敗すれば途端に支持率は下落するだろう。そのことが分かっているので、安倍総理は政労使協議で「賃上げ」を経済界に要求しているが、成長戦略が先か、賃上げが先かのニワトリと卵の問答になっている。

東電・福島第一原発の汚染水問題は、IOC総会での「状況はコントロールされている」発言もあって問題解決を国際公約してしまった。先の現場視察でも「私が責任者になる」と言う。

国費を投入すると言っても莫大な金額だ。対策も後手後手であることは間違いない。先日の新聞で汚染水タンクの底盤のボルトの緩みが汚染水漏出の要因の一つだったことが報じられた。地盤工事も曖昧で不等沈下の危険が大きい。そうなれば早晩タンクトラブルに手がつけられなくなる。

それに、M8クラスの余震の発生も心配だ。9月20日2時25分に発生の震源域を福島県浜通とするM5.8,震度5強は余震とは言うが誘発地震だ。M8クラスの巨大地震が7年後まで起きない保障はない。万一発生し汚染水の大量流出、放射能の流出でもあれば一遍に政権は吹っ飛ぶだろう。

国政選挙はまだ3年半先といっても、日本の政治はメデイアの世論調査に大きく影響される(その善し悪しは別として)。

財政政策と財政健全化をどう両立していくか、健全化は国際公約で消費税増税も必須

消費税増税と関連し法人税下げなど法人優遇政策の是非

国債の信用確保に向けた日銀の金融政策、政府の財政政策

米国の出口戦略による日本経済への影響、日本での出口戦略をどうするか

憲法改正の動き、取り敢えず「集団的自衛権行使」容認議論

尖閣、竹島など中韓との間にくすぶる領土問題

どの政策をとっても、今後内閣の高支持を維持するのは難しい。スキャンダルだって何時出てくるか分からない。

家計負担増でいじめられれば、チョットしたことが内閣支持率下落のトリガーになりかねないのだ。

政高党低で政策決定への官邸主導に不満もあるようだが、反対などで党内がゴタゴタすれば民主党政権の二の舞になりかねない。そのことを分かっているから自民党内は静かだ。

これからの政局は難しい局面を迎える。内輪もめなどやっていられないのだ。


2013年9月21日土曜日

東京都地震危険度マップ上位地区:荒川区町屋4丁目、荒川6丁目に行って来た

狭い路地に木造住宅が密集
荒川区荒川6丁目にて
2013.9.21
東京都が地震発生時の危険ランキングを発表、その上位地区、荒川区町屋4丁目、荒川6丁目に行ってきた。建物倒壊危険度に液状化を加え、総合危険度に道路が狭く救助活動の難しさを表す「災害時活動困難度」を指標に加え、5133地区のうち最も危険の高い「5」が84地区になって、町屋4丁目、荒川6丁目は1.2位にランクされた。

特徴としては地盤の軟らかい荒川沿い、墨田川沿いに危険度の高い地域が広がっている。

21日、この2つの地域を見るために都営千代田線町屋駅に降りた。

第九峡田小学校 一時集合場所に
なっている 荒川6丁目
地図とにらめっこして荒川6丁目に向かうと直ぐに第九峡田小学校に出る。ここは災害時の一時集合場所になっており、ここから「尾久の原公園一帯へ」と書いてある。尾久の原公園は隅田川河川敷近くだ。

路地に入ると木造住宅が密集し、道路幅は狭い典型的な木密地域だ。「貨物車通行不能」の看板が掛かっている。

初期消火に力を入れているのだろう、各家の軒先に10リットルの赤いバケツがあり、消火用の水か入っている。雨水で補給できるように工夫した家もある。

勿論、小型消火器や大型消火器も所々に設置されている。

狭い路地なので通行不能の掲示
荒川6丁目
町内の掲示板には、「毎月1日都防災の日 みんなで火の元を点検しよう」と掲示されている。確かにそういう標語があったが、今は忘れていないか。

町屋2丁目に防災広場があり、防災器具、防火用水、防火バケツ、ぼうさい井戸もある。公園が防災広場になっているのだ。

ランキングに載ったからと言って落胆することはない。それなりに防火対策に工夫されているのだ。

私たち年配者は子どもの頃、NHKの「バス通り裏」を見ながら夕食をとったものだ。この付近も「小さな庭」や「路地」がコミュニケーションの場であったのだろうが、50年後の今、災害危険地域になったのだ。

防火用水のため各家に赤いバケツ
荒川6丁目
所々に空き家もあるが、皆生活している。再開発の動きはなさそうで、今はやりの小さな家の建設が始まっているところもある。


兎に角、防火活動に力点を置いて防災活動しているよう
だ。





町屋2丁目防災広場
防災器具倉庫、防災バケツ 防火用水 ぼうさい井戸

町屋4丁目も狭い路地に
木造住宅が密集

20日の政労使会議のニュースを読んで:経済成長が先か、賃上げが先かの論争?

経済界の賃上げの構造改革(?)を狙った政労使会議を期待していたが、メデイアのニュースを読んで、相変わらず三者の思惑の違いが見え隠れする。成長戦略と賃上げがニワトリと卵の関係だ。折角景気も好転の動きが見えてきたが経済成長には個人消費を活性化する必要があり経済界の動向が注目される。

それぞれ三者の考え方、言い分をニュースから拾ってみた。

安倍総理は、アベノミクスでデフレ脱却に向かっている今、企業収益、賃金、雇用の拡大で好循環につなげたいという。

そのためには、法人優遇とも思われる法人税実効税率の約2%の引き下げ、中小企業の設備投資減税、賃上げ(3%以上)企業に法人税減税、復興予算25兆円のうち復興特別法人税の1年前倒しで撤廃が上げられている。

これに対して、財務省は法人税1%下げで4000億円減収になるが、その代わりの財源をそう簡単に捻出できるものではないし、法人税減税が賃上げに繫がることには懐疑的である。

そのために安倍総理と財務省で対立している。安倍総理が消費税増税への判断を下す来月初めまでにさらに検討するらしい。

政権与党の一方である公明党の山口代表は「法人税だけ軽くするのは国民の理解が得られない」と至極真っ当な発言をしている。

使用者側はどうなのか。経団連の米倉会長は、企業が力をフルに発揮出来る環境整備が出来れば雇用も賃金も上がっていく。業績アップが大前提で、法人税減税は賃金上昇に繫がるという。岡村・日本商工会議所会頭も経済が成長しなければ企業収益は増えず、政府の成長戦略実現が賃上げに繫がるというのだ。

何やら、賃上げと経済成長がニワトリと卵の関係になっている。経済成長が先か、賃上げが先かだ。

労使で賃上げ交渉をやって来た連合の古賀会長は、持続的な経済成長のためには国民所得の向上、将来に対する不安の解消が大前提だと言い、非正規、中小企業の労働者の格差改善が重要だとも言う。

労働側にとっては、政府が賃上げに頭を突っ込めば連合などの立場がなくなる心配もあるようだ。

兎に角、要点は賃上げが先か、経済成長が先か。

財界でも経済同友会の代表幹事が「業績アップが見込める企業からベースアップにも踏み込むべきだ」という考えも出て来た。

経団連、日本商工会議所も法人税減税、成長戦略の実現などを要求するのも良いが、「おねだり」ばかりでなく、法人税下げの後にどんな展望が開けるのか、どんな成長戦略を望み、そのあとどんな展望があるのか。

もっと国民に説明しなければ、企業優遇の印象を与え国民の理解が得られないのではないか。

20日の夜のテレビニュースで流れた日米欧の賃金格差、現金給与と消費者物価の前年同月比をどう読むか。


経済界の責任は大きい。

日米欧の賃金推移
TBSテレビ ニュース23
2013.9.20














現金給与と消費者物価の前年同月比比較
NHK ニュースウォッチ9
2013.9.20


2013年9月20日金曜日

日本財政の危機的状態の真偽?、今消費税増税の必要があるのか

日本の財政の危機的状態は本当なのか、その真偽? 日本の債務残高が1000兆円を超え、財務省に言わせると対GDP比200%を超え先進国で最も悪く危機的状態で、IMF,G20からも財政健全化が喫緊の課題だと要求されている。今、消費税3%増税が議論され、安倍総理は意向を固めたというが、今この時期に消費税増税が必要なのか。

日本の財政で、私たちがよく目にするのは財務省の資料だ。債務残高の国際比較をみると2013年度で日本は224.3%、米113%、英110%、ドイツ86%で圧倒的に日本が悪い。一方純債務でみても日本144%、米90%、英78%、ドイツ49%だ(日本の財政関係資料 平成25年度予算案 財務省)。

でも、本当に日本の財政は危機的なのか。

元大蔵官僚で現在東北福祉大特任教授の宮本一三さんが、ZAKZAK20134.9.20「借金1000兆円は誇大表現!」で国の負債は1000兆円を超えているが、資産が600兆円あり、実際の負債は500兆円弱だという国のバランスシートを公開した。宮本さんはIMFへも出向し、旧大蔵省で時代は財政危機のキャンペーンの作成者でもあったというから信頼性はあるだろう。

その宮本さんの試算によると、対GDP比でも半減し、米国よりも良いという。

この債務残高も資産があるので実際には600兆円ぐらいで問題はないという意見は、週刊誌の記事で何度か目にしたことはある。

しかし、大メデイアは記事にしていないし、私も国会で日本の財政についてしっかり審議すべきではないかと記事にしたことがあるが、予算委員会で質疑された記憶がない。

今話題になっている消費税増税も社会保障と税の一体改革、財政再建のためだが、本当に今消費税増税の必要があるのか。

財務省は増税に必死であるが、それは増税によって予算編成に自由度が増すし、利権確保にも資するからだ。

国民に増税を強いながら、投資減税、法人税減税など企業優遇策が考えられている。政治は大企業、富裕層のためにあるといわれているが、それで国民が幸せになったためしはない。

国会を早く開き、日本の財政の本当の姿を審議し、国民に示すべきではないのかと思うが、野党第一党の民主党だって前政権で消費税増税へレールを走った経緯があり、審議となるとブーメランの危険もある。

メデイアは、財務省の意向で増税一辺倒の論陣を張ったが(読売新聞は増税先送り)、ここにきて新聞に軽減税率の適用を希望している体たらくぶりだ。

結局は、日本の財政の本当の姿をうやむやにして、消費税増税が進むのか。










福島第一原発視察:安倍総理のメンツをかけた「完全ブロック」再発言?

安倍総理の現場視察
2013.9.19 テレビ朝日
報道ステーション
19日の安倍総理の福島第一原発の現場視察後の「汚染水の影響は港湾内で完全にブロックされている」発言は、総理のメンツをかけた内容だった。やっぱり政治的には「完全ブロック」も、技術的には不可能なのだ。

「安倍総理の「私が責任者として対応したい」発言もどの程度信用していいのか疑問が残る。

港湾内と外洋はシルトカーテンで仕切られているというが、カーテンはポリエステル製で放射能を吸着する性能はなく、港湾内で放射能の汚染された泥が外洋に流出するのを防止するだけだ。

測定値も護岸付近は放射能が検出されても港湾出入り口で不検出で確かに海水で希釈されて不検出になっているだけの話だ。今のところ「港湾内でブロックされている」といっても嘘ではない。

政治的事情があって神にもすがる思いで出た安倍総理の発言も不思議ではない。

でも、あくまでも政治家の発言と考えるべきで、国民は実態を正確に認識すべきである。東電の発表が疑われるのであれば、サンプリング、測定を中立的な第三者機関に委託する必要もある。サンプリングの仕方で大きく数値が違うのだ。




2013年9月19日木曜日

財界も賃上げに動くのか

財界もやっと賃上げに動くのか。朝日新聞(2013.9.19)に掲載された「財界に賃上げ容認論」で「業績の向上が見込める企業は、この機会に賃上げを考えることが重要だ」という経済同友会代表幹事の発言が載っていた。やっと経済界も政府の要請を受けて賃上げの検討を始める機運が出てきたのか。

私も今までメデイアが言う前に、脱デフレには賃上げが必要の考えからブログに下記の記事を掲載してきた。

2013.1.20 経団連は積極的な賃上げでデフレ脱却に向かえ
2013.1.23 デフレ脱却を「賃上げ」からもできないか
2013.2.05 デフレ脱却のトリガー:賃上げか、企業収益か

その後、アベノミクスに欠けているのは賃上げ、家計への再配分という内容の発言が内外の学識者から相次いだ。

安倍総理も、アベノミクスの効果がいまだ実感されていないことに危機感を抱き、春闘で経済界に賃上げの要請をしボーナスなど一定の効果はあったが、基本給でのベースアップは成果はなく、政労使による賃上げの協議会がもたれることになった。

米倉経団連会長は「賃上げは政治主導ではなく、、労使で話し合うべきだ」との考えを示していたが、岡村日本商工会議所会頭ともども政労使の協議のメンバーだ。どういう態度で協議に臨むのだろうか。

そんな中で、経済同友会の代表幹事が「賃上げへの検討」をにおわす発言をしたことは意義がある。

具体的に、どういう雰囲気の中で発言したのか。経済同友会のHPから会見要旨を開いてみた。

記者会見で、長谷川代表幹事は「賃金、雇用などに関する政労使協議と賃上げ」について発言したようだ。

それによると、「賃上げについて、政労使協議をどう考えるか」との質問に、「企業には製品、サービスの供給者としての立場と賃金など報酬を通じて需要に貢献する立場の両方があり、上昇傾向に見通しのつく企業は経済を好循環につなぐために率先して賃上げを検討することが極めて重要である」と至極真っ当な考えを示した。

更に「賞与に反映して年収を上げているが、ベースアップまで踏み込むべきと考えるか」の質問に「そのつもりで述べた」と応じた。

業績好調が見込めれば、賃上げを検討すべきだという。

更に今、給与総額5%増で法人税減税も検討されているようだが、適用条件の5%は緩和し、阿吽の呼吸で協力していくことが必要ではないかともいう。

全くその通りだ。

残念なことは、長谷川代表幹事が政労使協議会のメンバーでないことだ。経団連、日本商工会議所も経済同友会に習うべきだろう。

我が国は10数年前から内需拡大をテーマに、前川レポート、21世紀版前川レポートが出されたが、「企業の儲けをいかに家計に再分配するか」で経営者の同意が得られなかったことがとん挫した要因になっている。

成長戦略は、政治よりも経済界の構造改革、経営者の意識改革にかかっているのだ。先に亡くなった経済同友会の代表幹事だった品川さんの「誰のための改革か」を思い出そう。




FRB・量的緩和/ゼロ金利維持へ:やっぱり止める時の方が難しいのだ

FRBは18日、大方の市場の予想に反して量的金融緩和、ゼロ金利政策の維持を決めた。中央銀行の関係者がいっていたことだが、止めるときの判断が難しいのだろう。止めるときの経済指標などの条件を明示しておかなければ市場は混乱し株価は上下するばかりだ。

昨夜まで、メデイアは100~150億ドルの緩和縮小があるだろうと見ていた。この程度では株価の下落もたいしたことはなかろうと見られていたが、200億ドル以上だと株も2%以上下落するらしい。

兎に角、止めるときのタイミングは難しい。米国経済もさることながら世界経済、新興国への影響も大きい。

今回の維持する理由は、経済指標の改善が十分ではなく、景気回復を更に確認する必要があるらしい。住宅ローン金利は上昇しているし、米国には財政問題がありデフォルトの危険もある。

労働市場も20万人の増を目途にしているが、新聞報道では19万人とか、16万人とか改善は見られるが弱いようだ。クルーグマン教授はもっと強気で30万人増まで量的緩和を継続せよと提案していた。

下振れリスクを予防するためにも、今回は緩和縮小を先送りしたらしい。それでも景気の改善が確認できれば、緩和縮小に向かいたいらしい。

経済指標は結構上下動を繰り返すが、緩和止め、縮小への経済条件をしっかりしなければ市場は動揺するばかりだ。「市場へメッセージを送れ」と指摘されるのもこのことを言っているのだろう。

米国は量的緩和縮小へ向け舵取りをしているが、日銀は量的緩和を拡大中である。「そんなに市場にジャブジャブ資金を流してどうするのだ」と感じざるを得ない。物価目標2%と関連し日銀はどう舵取りするのか。

量的緩和は始めるときよりも、止めるときの方が難しいのは確かだが、こんな金融政策にどっぷり浸かっていること自体が異常なのだ。今利も含めて早く正常化してほしいものだ。



2013年9月18日水曜日

地球温暖化対策:IPCCのCO2人為説の結果だけで「対策を」では説得力に欠けないか

読売新聞 2013.9.14
猛暑、豪雨、強力な台風の原因は地球温暖化であると言われるが、肝心の地球温暖化防止対策が遅遅として進まない。その要因にIPCCのシミュレーションでCO2人為説に立つ結果だけで「対策を」では、説得力に欠けるのではないか。

2013~14年にIPCC第五次報告書のとりまとめが報告されると言うが、今メデイアでその内容の一部が報道されている。朝日新聞2013.9.8「海面、2100年最大81cm上昇」、讀賣新聞2013.9.14「気温4.8度海面81cm上昇」、朝日新聞2013.9.16「温暖化止める道 探る」などだ。

確かに大気の状況は悪化している。大気中のCO2濃度は400ppmを越えた。日本の綾里で昨年の3月に越えたことが新聞に出ていた。ハワイのマウナロアでも越えたと最近報道された。

朝日新聞 2013.9.16
一方地球上の平均気温も100年で0.74℃の上昇が、最近は100年で0.79℃と上昇幅が高まった。平均気温が15.4℃といわれていたが、今は何度だろうか。

猛暑、強力な台風、集中豪雨と気候は悪化する一方で削減対策は進まない。

対策が進まない原因に、先進国vs発展途上国の思惑がある。排出量が1,2位の米中が削減に積極的でない。中国に至っては「発展途上にある大国」という論理で削減に抵抗している。

地球温暖化の原因に対しても、CO2人為説に疑いを持っている学者が論戦をはってきた。自然変動が要因でCO2ではないと天体物理学者らが反論しているのだ。

「その科学的真実を問う」と日本資源エネルギー学会がemail討論を企画したし、日本学術会議も討論会を実施したが、両者が持論を述べるだけで平行線のまま終わった。データの取り方、データの読み方、そしてお互いに「勘違い」を指摘し合う結果だったのだ。

でも、IPCCはCO2人為説に第4次報告では「90%以上」の確率と言っていたが、第五次では「95%以上」に引き上げるようだ(讀賣新聞2013.9.14)。益々CO2人為説にのめり込んでいく感じだ。

そんな中で、朝日新聞は「1990年代は、世界各国はIPCCが示す温暖化の科学を尊重していたが、最近は関心が低い。第五次報告書が交渉を大きく前進させるだけの衝撃とパワーを持っているかどうか」と重要な指摘をしている。

シミュレーションで導かれたCO2人為説、およびその予測がどういうアルゴリズム、どういうデータをインプットしたか。詳細な説明が必要なのではないか。「シミュレーションの結果がこうだから、対策を」だけでは説得力に欠けないか。

環境町の地球温暖化村だけの論理では、世界は動かない。

IPCC報告書原案の主な内容
読売新聞2013.9.14













スイスの研究者が発表した2100年の
気温上昇予測
朝日新聞2013.9.16











関連記事
2013.9.15掲載

IPCC第五次報告書:CO2人為説が優位なわけは?