2018年3月14日水曜日

急接近する米、韓国、北朝鮮:それぞれの思惑の違いをどう乗り越えられるか


平昌オリンピック後、文・大統領の打った手であれだけ口汚くののしり合っていた米国と北朝鮮が急接近の気配だ。南北融和、満面の笑みでそんな芸当が本当に出来るのか。その折、トランプ政権で対話派のテイラーソン国務長官が辞任し、強行派のCIAポンペイオ長官が就任するという。

理由はある程度推測できるが、早速トランプ政権の対話への方針が変わるのか。それとも対話、軍事作戦の両面で北朝鮮に対応しようとしているのか。

韓国、文大統領には南北融和政策の公約がある。親北派なのだ。北の金委員長はそこのところをついている。オリンピックの不評に困っていた文大統領を南北統一チーム、美女応援団、芸術楽団の派遣で盛り返しに一役買おうとした。

南北首脳会談を目指しているが米国の意向も確認しなければならず、南北首脳会談の前に米朝会談が必要になる。文大統領は特使を派遣し調整、介入している。

米国トランプ大統領は中間選挙を控え、人気取りの政策が不足している。間際に鉄鋼、アルミの関税を提案したが、これも斜陽の鉄鋼、アルミ産業の稼働を増やし雇用を確保するための手段だが中国を始め貿易相手国から相当の批判を浴びている。

そこで今までの政権では失敗している朝鮮半島の平和、北の核・ミサイル開発凍結は米国の安全にも関わる事で金委員長の首脳会談提案に飛びついた。米国大統領が直接会談するのであるから「非核化」など内容の詰めが必要になるが、取り敢えず5月末と決まったようだ。当初は4月と言われていたので本当に驚く。

一方、南北対話を提案してきた北の金委員長にとっても経済制裁は効いてきた。国内は疲弊し暴動の恐れも出て来たのではないか。軍部までも掌握が無理になってきたのだろう。

南北対話が続いている間の核・ミサイル開発の凍結、金体制の安全を訴えている。そしてうまく行けば経済制裁解除と経済援助だろう。

核開発の凍結と言っても過去に3回約束したが反故にして今に至っている。テレビの前で冷水塔を破壊したが、すでに使っていない設備だった。約束を破棄した理由は北に不利な事が起こったためだろう。

北が約束を反故にするときは一方的に破棄するので対応の仕方がない。

南北朝鮮の「非核化」が何を言っているのか。北はIAEA監視団を受け入れての核開発の凍結か。更には韓国に駐留する米軍の核問題も含まれるのか。

金体制を維持すると言うことは人権問題はどうなるのか。テロ国家であるし日本は拉致問題を抱えている。北朝鮮内では金委員長の気に障ると無謀な惨殺を繰り返している。トランプ大統領は人権問題にどう対応するか。先には米国の大学生が拷問を受け死亡した事例もある。

米国、韓国、北朝鮮の各政権がそれぞれ問題を抱え、思惑の違いが出ているが、どうハードルを乗り越えるつもりか。

どうであれトランプー金会談に日本を始め北朝鮮近隣諸国の平和、安全が託されている。

ところが不思議に北朝鮮のテレビは今回の動きを報じていない。今まで敵対国だった米国にどうして急接近を図っているのか。北の国民に北の窮状を知られたくないためか。

北が報道するときは、トランプー金会談が決まった時だろう。北は「トランプ大統領が会いたいと言うからあってやることにした」というようなニュースになるだろう。

トランプ大統領、文大統領、金委員長と3人の弱り目が窮地を打開しようと急展開の対話、南北融和に進んでいるが「非核化」は金王朝の存在にも大きく影響する問題で妥協への手があるのか。本意、本気度がわからない。

会談が設定されてもリスクの大きい事に変わりはない。合意できなければアメリカに軍事作戦を容認することになる。国務長官交代はその布石だろう。 

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