2019年5月19日日曜日

時間給1000円:所得拡大により内需下支え、成長、分配の好循環確保か


新聞でも報道されているが5月14日の経済財政諮問会議で、早い時期に全国加重平均で時間給を1000円を目指すことを提言された。足下の景気動向に最大限注意し、成長と分配の好循環を持続可能にしていくためには「内需のしっかりした下支えが不可欠、賃金の底上げ効果で消費や需要拡大を目指せ」と民間委員3人が提言したのだ(5月14日令和元年第1回経済財政諮問会議議事録より)。

朝日新聞(2019.5.15)でも、消費税増税前に景気への影響を抑えるため最低賃金の引き上げを急いでいるのだろうという。安倍総理は2015年に最低賃金を年率3%引き上げ1000円を目指しているが今、874円、最低賃金の引き上げは効果が大きく、民間議員の試算では12~18年で合計125円上がったが、賃金所得は1兆2200億円、消費は9200億円上がったという。

ここで思い出した。国会で野党議員が「アベノミクスの成果」として「実質賃金はマイナス成長」と質問したことに安倍総理は「総雇用者所得は上がっている」と反論したのだ。経済指標の取り方で政策の評価が変わってくる。

当然に「実質成長率のプラス、マイナス」で議論すべきところを別の効果が上がっている「総雇用者所得」を持ち出しては同じ土俵の議論にはならない。

実質賃金は一人一人が景気回復を実感しやすいが、総雇用者所得は[一人あたりの賃金]×[雇用者数]は働く人たちに支払わされた賃金の総額でちょっと意味合いが違う。

いまは、人手不足で87万人の女性、55万人の高齢者の効用が広がっている。低賃金、非正規労働で働いているのだ。2018年に総雇用者所得が急に増えたのは女性の非正規労働が増え、平均賃金が下がったと専門家は分析している。

経済財政諮問会議では、最低賃金は消費に直結し効果が大きい。出席した菅官房長官も日本が世界的に見ても最低賃金は低い。人口と消費を考えると7割が地方で、所得と消費を拡大することが大事だと発言している。

「景気が悪くなったら消費税率引き上げを延期」と言う考えが多いが、税収を上げるための措置と考えるとマイナスだが、税金を集めて技術競争の勝負に使わなければならないという考えが披露され今出てきている「消費税増税延期」をけん制しているのか。

GDPの7割を占めるサービス業では賃上げはそのままコストになって収益を圧迫する。設備投資、IT導入支援、MAで中央が支援する必要があるとも言う。

賃金分析で専門家の結果が紹介されている。誰が失業し誰がプールから落ちるのか調査したら中卒以下の労働者が10年間で50万人いたという。こういった人たちの引きこもりなどにどう対応するか、就職氷河期世代への対応と含めて重要なのだ。

いつも思うが、新聞では報道されている内容が経済財政諮問会議で民間委員3人の提言としてお墨付きを与えたようなやり方だ。本当に3人が書いたとは思えない。必要なことをポイントし、担当部署の官僚が書き肉付けした内容だ。

安倍総理が出席し1時間の間に7件のテーマをどう処理したのか分からないが、これでお墨付きを得たとばかりに国会審議をおろそかにしてはいけない。審議会はあくまでも審議会だ。

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