2019年5月29日水曜日

今日の新聞を読んで(253):ちぐはぐな日米首脳会談後の記者会見質疑


今回のトランプ大統領の訪日は何だったのか。日米首脳会談と銘打った会談も合意文書はないし、会談後の共同記者会見での質疑応答も日米でちぐはぐさが目立った。

令和に入り初めての新天皇皇后との会見はあったとしてもゴルフ、相撲観戦、炉端焼きなど出来すぎた「おもてなし」ではどうしようもなく、やっぱり日米貿易交渉、米中貿易交渉、対北問題、イラン問題、G20などでの会談内容によるが恐らくトランプ大統領にとっては好ましい成果ではなかったのだ。

トランプ大統領はいつも冒頭発言で不規則発言をすることで有名なので今回はどうだったか。

アメリカ大統領にしては異例の安倍首相と友人であることを強調している。これからも一緒に仕事をし多くの成功を収めるだろうという。何かしら譲歩を要求しているようだ。貿易不均衡は極めて大きい問題だが時間をかければ解決するという。

日本のメデイア、野党が注目したのは「8月には両国にとって非常に良い発表ができる」と一方的に期待感をにじませた。貿易不均衡は早急に是正すべきなのだ。

日本は多くの防衛装備品を米国から購入している。これが貿易赤字を大幅に引き下げるという。

F35Bステルス戦闘機は100機を超える約束をしている。イージスアジョアーなどを加えると5兆円の上る防衛費だ。「何か言うとシンゾ~はすぐ買ってくれる」とトランプ大統領は言ったことがある。今回の訪日で航空母艦化する「かが」を訪問したのも安倍総理に何か下心があったのだろう。

安倍首相の冒頭発言がゴルフなど「おもてなし」に言及し会談では国際社会が直面する課題、日米経済について突っ込んだ議論を行いたいとコメントしたのとは大違いだ。

共同記者会見後の質疑応答もちぐはぐさが目立った。

テレビの映像を見ていたらトランプ大統領が質問した記者の方を向いて耳に手を当て「私もその答えを聞きたい」と発言したが、何のことかと翌日の新聞で確かめた。

記者の質問は「日米貿易摩擦で自動車、自動車部品に6か月間追加関税をかけないと保証したのか」との質問だった。首脳会談の大事な争点だがトランプ大統領ははぐらかした。一方安倍首相は昨年の日米共同声明に基づき議論が行われておりさらに加速していくことでトランプ氏と合意したという。

トランプ大統領にとっては成果がなかったのだ。外人記者は厳しいところをついてくる。

日米貿易交渉の合意に向けたスケジュールについて聞かれると安倍首相は「日米双方ウィンウィンとなる合意とする考えだ」と答えたが、トランプ大統領は「重要な点を付け加えるとTPPは私には関係ない」と言い切った。TPPを離脱したのだから当然だろう。

トランプ大統領は、「私は米国の問題で、誰であれ他人が署名したものに縛られはしない」と付け加えた。日米貿易交渉での強い決意が見られた。

また、北朝鮮問題ではトランプ大統領は特異の考えを持っており、閣僚との考えの相違が明らかだ。

北朝鮮は「何をすれば国連安保理決議違反になるのか」「小型ミサイルなど意に介さないということか」の質問で、トランプ大統領は「金委員長は賢い人間だから北朝鮮の経済力を開発する道を探っていおり、核兵器ではそれが実現せず、悪いことしかもたらさないことを知っている」と言う意味の弁護をしている。小型ミサイル発射もトランプ大統領は気にしないというのだ。

安倍首相は北朝鮮による短距離弾道談ミサイルは安保理決議に違反し極めて遺憾なこと」と言うがトランプ大統領は「正恩氏は気を引きたかったのかもしれない。そんなことは問題ではなく、いつか合意が得られると思う」と言う。

この件に関しては米国から安保理決議に違反すると正式発表があった。

トランプ大統領に北の非核化を任せていいのか。6者協議に戻せないのか。トランプ大統領の一番の関心事はトランプ大統領ー金委員長の2人の特異な関係を保つだけではないのか。

日本の拉致問題に対しても金委員長に強く解決を促しているようだが、北の非核化で進展したとしてもアメリカは北に経済支援することなど考えていない。経済支援は日本、韓国、中国が担うべきで日本との関係を修復することが大前提なのだ。

協調路線をことごとく破壊していくトランプ大統領に先進国の首脳はどう評価しているのか。

イラン問題では安倍首相のイラン訪問が予定されている。安倍首相は日米で緊密に連携しながらイラン情勢をめぐる緊張情勢を緩和していきたいという。トランプ大統領は「イランに核放棄させ今の体制のままでも偉大な国になるチャンスはある」という。安倍首相の訪問で「何が起きるか見てみよう。誰も恐ろしいことが起きるのを見たくはない」ともいう。

これでは合意文書など出来るはずがない。大阪でのG20首脳会議も期待はできないのではないか。




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